「そのうち」は必ず来ない TOP-HAT News 第160号

 

 70年を超える人生の中でも、今年はあまりいい年ではなかったように思う。まあ、齢を取って出不精になっていることもあるんだけど、会社を辞めたら年に2回ぐらいは旅行もして・・・などと思っていたのですが、その機会も奪われ、ま、その分、出費は抑えられたからいいんだけど、楽しさは中くらいなり、といいますか。

 11月21日から23日まで、東京の高輪プリンスホテルで開かれた第35回日本エイズ学会学術集会・総会はハイブリッド開催になりました。私の場合、21日と23日は自宅でリモート参加とし、真ん中の22日だけ会場を訪れました。

去年はバーチャル開催だったので、お目にかかるのも久しぶりという研究者やアクティビストの方々も多く、「やっぱり、こうやって顔を合わせるのは、いいですなあ」などという挨拶がてらの会話もあちらこちらで聞かれた。

一方で、リモート参加にもそれなりの利点はあり、TOP-HAT News 第160号(2021年12月)では、そのあたりの感想を書き、「できれば来年の学会もハイブリッドで」というお願いも付け加えておきました。

ハイブリッドの良さのひとつとして、後でオンデマンド配信を見ることができるという利便性の高さも挙げておきましたが、私の場合は結局、見逃したセッションを実際に後で観るということはないままに終わっています。「そのうちに」と思っているうちに公開期限の12月24日は過ぎてしまい、怠惰な性格を改めて再認識する結果になりました。この性格はもう変わらないな・・・。

 

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        第160号(2021年12月)

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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに ハイブリッドの将来性

 

2 来年の国際エイズ会議(AIDS2022)もハイブリッド開催に

 

3 HIV治療薬とコロナワクチンの公平な普及を求めビデオ動画

 

4 はじめてのトランスジェンダー

 

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1 はじめに ハイブリッドの将来性

 2021年の第35回日本エイズ学会学術集会・総会は久しぶりの東京開催となりました。調べてみると、特定非営利活動法人ぷれいす東京の生島嗣代表が会長を務めた2017年の第31回学会以来4年ぶりでした。

 第35回学会の俣野哲朗会長(国立感染症研究所エイズ研究センター長)は公式サイトの主催者あいさつで次のように書いています。

 『HIV パンデミックは、無症候感染者からの「みえない感染拡大」制御の難しさを人類に知らしめましたが、その後、肝炎ウイルス、HTLV に引き続き、2020 年のCOVID-19 のパンデミックで、「みえない感染拡大」の脅威を再認識するにいたっています』

 その「見えない感染拡大」のために昨年の第34回学会はWEB開催を余儀なくされました。今年も会場での現地開催とWEB配信を併用するハイブリッド学会です。

 会期は11月21日(日)から勤労感謝の日の23日(火)まで。会場は港区高輪のグランドプリンスホテル高輪でした。ただし、大半のプログラムはWEBでライブ配信もされ、一部のシンポジウムやセッションは12月20日まで、オンデマンド配信で会議登録者に公開されていました。

 エイズ学会の学術集会・総会は、学術分野の専門家と臨床医、行政官、そしてHIV/エイズ対策の現場で様々な活動に取り組むNPOHIV陽性の人たちが集まり、プログラム発表以外にも貴重な交流の機会を提供するユニークな学会です。懐かしい人とも、初対面の人とも直接、会って、ざっくばらんな話ができるのは、対面の学会の大きな魅力ですね。

 一方でオンラインのプログラムがあれば、会場が遠かったり滞在費がかさんだりといったことを気にすることなく、必要な情報を得ることができます。1日だけ参加して懐かしい人たちとの交流を深め、同じ時間帯にプログラムが重なって出られないセッションがあっても、後からオンデマンドで視聴が可能になる。これもまた使い勝手がよさそうです。両方あればいいなあ・・・ということで、主催する立場の方は大変でしょうが、参加の機会を広げ、関心を持ってもらえる人を増やすという観点からすれば、今後の学会はハイブリッド開催が中心になっていくのではないでしょうか。

 少し気が早いかもしれませんが、来年の第36回学会は11月18日から20日まで、静岡県浜松市アクトシティ浜松で開かれる予定です。テーマは『Resistance~耐性との闘い/差別との闘い』。COVID-19のパンデミックで病原ウイルスの変異株出現への不安が高まり、差別やスティグマ、社会的な排除と格差といった問題が再び大きくなっています。

 しかし、HIV/エイズ対策には、耐性ウイルスとも社会的な差別や偏見とも、40年かけて闘い続けてきた経験の蓄積とそれを生かす教訓(失敗も成功も含め)があります。この経験を生かさない手はない。貴重なテーマです。できれば来年もハイブリッド開催の準備を進め、「闘い」の実を上げられるよう組織委員会の皆さんにはご尽力を期待したいと思います。

 

 

2  来年の国際エイズ会議(AIDS2022)もハイブリッド開催に

 2022年夏にカナダのモントリオールで予定されている第24回国際エイズ会議(AIDS2022)もハイブリッド開催になります。会期は7月29日(金)~8月2日(火)。公式サイトではすでに参加者の登録受付が開始されています。

 https://aids2022.org/

 国際エイズ会議は2年に1回、開催される大会議です。1994年には横浜で第10回会議が開かれています。思えばもう27年も前のことですね。

2020年の第24回会議は当初、米国西海岸のサンフランシスコ・オークランドで開催予定でしたが、コロナの流行拡大を避けるため、会場での開催は断念しバーチャル会議となりました。

 モントリオール会議のテーマは「re-engage and follow the science.」です。re-engageは「再び参加する」という意味ですが、ニュアンスとしては「科学的事実を踏まえ再出発を」という感じでしょうか。

 

 

HIV治療薬とコロナワクチンの公平な普及を求めビデオ動画

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は世界エイズデーの12月1日、英サセックス公ハリー(ヘンリー)王子とウィニー・ビヤニマ事務局長がナレーションを担当したビデオ『HIVとCOVID-19の由々しき共通性』を公開しました。

 動画は英語ですが、世界エイズデー当日にUNAIDSが発表したプレスリリースの日本語訳がビデオとともにAPI-Netで紹介されています。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet057.html

 プレスリリースによると、ハリー王子は「エイズの歴史から学び、COVID-19 ワクチンへの不公平なアクセスを克服すること、すべての人が最新の HIV 薬と技術を利用できるようにすること」を世界に促しています。

 

 

4 はじめてのトランスジェンダー

トランスジェンダー当事者とアライ(支援者)らのグループが運用するサイトが開設されました。

 https://trans101.jp/

 『昨今トランスジェンダーについての様々な情報があふれています。このサイトは、普段トランスジェンダーを身近に感じていない人でも、情報の交通整理ができるように作られました』