世界保健機関(WHO)のUHC親善大使に就任 武見恵三参院議員

 参院選挙の公示間近という時期にはやや違和感がありましたが、武見恵三参院議員が世界保健機関WHO)のユニバーサル・ヘルス・カバレッジUHC)親善大使に任命され、その就任発表会が627日午前、東京・千代田区ホテルニューオータニ東京で開かれました。WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長も出席し、委嘱の辞を述べるとともに、武見議員との間で委嘱状に署名を交わしました。

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 テドロス事務局長は2829の両日、大阪で開かれるG20サミットに参加するために来日しました。しかも、武見議員は今回が改選の選挙なので、ちょっと悩ましい日程設定ではありますが、こうならざるを得ないのでしょうね。そもそも参院選直前にG20サミットを開くという窮屈な日程がある以上、致し方ないのかもしれません。

 

 したがって、時期的には少々、注目率が低下した嫌いはありますが、UHCに焦点を当てたWHOの親善大使に武見議員が就任したということ自体は非常に重要なことではないかと思います。

 親善大使というと何となく飾りの肩書のような印象もなくはないのですが、武見議員の場合は、保健基盤強化やUHCの実現に向けた世界の動きに長年にわたり寄与した実績があり、なおかつSDGsの目標3としてのUHCの達成は2030年に向けた世界の共通目標でもあるからです。

・・・とはいえ、こう書いているそばから、そもそもUHCって何?という疑問が私などは沸いてきます。日本の健康保険みたいなものですよといった説明もできないことはありませんが、それが可能な国が世界でいま、どのくらいありますか・・・と問われると、そこで話は終わってしまいます。

 話を終わりにしないように、ま、日本の健康保険もその一つの形ではあるんだけど・・・と苦しい説明が続くと、説明する方も、される方も、なんとなく理解できるような、できないような割り切れなさを抱え込んでしまうことになりがちです。

 

 そうならないように、というのがおそらくWHOが武見議員を親善大使に委嘱した狙いでしょうね。就任発表会の主催者である日本国際交流センターJCIE)の資料にはユニバーサル・ヘルス・カバレッジUniversal Health Coverage: UHC)について以下のように説明されていました。

 《WHOによる定義では「すべての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、必要なときに支払い可能な費用で受けられる状態」のこと。》

 なるほど、これは重要です。

 けれども、じゃあUHCは日本語でなんて言うのと聞かれると、実はなかなか適切な名称が思い当たりません。原稿を書く時にも、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとカタカナで長々と記述するか、頭文字のUHCで済ませてしまうか・・・。

 研究者や英語の堪能な方にはそれでいいのかもしれませんが、私のような日本語ネイティブにそれで理解しろと言われたって、そりゃ無理でしょうと自分で自分に毒づいている状態です。

 

 おっと相当、脱線してきました。表記はUHCのままでお許しいただくとして、発表会に戻りましょう。

 テドロス事務局長は委嘱の辞の中でUHCについて、WHOの高い優先課題であり、すべての人の健康の権利を守るための最善の方法であると語っていました。そして、日本がその輝ける先駆者であることにも言及し、次のように語っています。

 日本は豊かになったから保健システムへの投資を始めたのではなく、経済的には弱かった時期から投資を続け、だからこそ今日の繁栄を築くことができました。この教訓はすべての国にとって大切です。UHCは道義的に大切なだけでなく、経済的にも重要な課題です。

 (すいません、「」の中の文章にしていないのは、正確な引用かどうか自信がないからです。でも、おおむねそういうことを語っていました)

 続いて麻生太郎副総理兼財務相笹川陽平WHOハンセン病制圧親善大使といった方々のスピーチがありましたが、重ねてすいません、ここでは割愛します。

 武見議員は、就任あいさつの中で、UHCについて取り組むようになった自らの長い経緯について報告しています。その中でも大きな転機となったのは、20077月の参院選挙で落選し、いわば浪人の時代にハーバード大学公衆衛生大学院の研究員として国際的な医療制度の比較研究を行ったことだそうです。グローバルヘルスやUHCの研究や政策活動の基盤がここで培われたということでしょうか。スピーチは非常に興味深いものでしたが、私の方がだんだん疲れてきてメモを取るのが追い付かなくなってしまいました。不正確なことを書いてご迷惑をかけてもいけません。おそらく日本国際交流センターの公式サイトで紹介されることになるでしょうから、そちらをご覧ください。 

www.jcie.or.jp

速報を見ると『UHC2030年までに達成し、人々の健康が守られ、それぞれの国が政治的および社会的にも安定して発展できるよう、UHC親善大使としての役割を果たしたい』と述べています。

 参考までに付け加えておけば、この発表会を日本国際交流センターが開催したのは武見議員が同センターのシニア・フェローだからだそうです。

 時期が時期だけに、麻生副総理も武見議員も参院選に言及していました。当然かもしれません。ただし、UHCに関して言えば、選挙に落選し浪人時代を経験したことが、武見さんにとっては逆にポリシーメーカーとしての大きな飛躍につながったような印象も受けます。そう考えると、当落にはこだわらない方がいいんじゃないのとも思いますが、これはあくまで外野席の見方。WHOにしても、親善大使が前議員になるよりも、現職議員であってほしいと思っているかもしれませんね。