12月1日の世界エイズデーはすっかり世界に定着していますが、制定が決められたのは1988年1月のエイズ予防対策世界保健大臣サミットでした。大急ぎで準備をしてその年の12月1日が第1回となりました。つまり今年は30周年ということになります。その節目の年のテーマが国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトで紹介されています。
『Know your status』(感染の有無を知ろう)
ん? と思われた方もいるかもしれません。テーマは『UPDATE! エイズ治療のこと HIV検査のこと』じゃなかったの? おそらく意識高い系の方なのだと思います。整理しておきましょう。
厚労省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱する2018年世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマです。
・『Know your status』(感染の有無を知ろう)
UNAIDSによる世界に向けた2018年世界エイズデーのテーマです。
東京都もおそらく、新しいキャンペーンテーマを近く公表するのではないかと思います。ま、それは公表時点でまた紹介するとして、世界と日本の2つのテーマを並べてみると、共通しているのは、HIV治療の大きな進歩により、HIV検査を受けることがますます大切になっていますよというメッセージです。UNAIDSのフィーチャーストーリーには『自らの感染を知らない人たちに働きかけ、その人たちが質の高いケアと予防のサービスにつながれるようにする必要があります』と書かれています。でも、現実は・・・というと、「道はまだ遠い」と言わざるを得ません。どうしてなのか。
『残念なことにHIV検査を阻む障壁は数多く残っています。スティグマと差別はいまも人びとをHIV検査から遠ざけています。検査における個人情報の保護はいまなお重要な課題なのです。体調を崩し、症状が出てから初めて検査を受ける人がまだたくさんいます』
こういう文章を読むと、流行の拡大状況は国や地域によって大きく異なるとはいえ、抱えている課題は国内も世界も驚くほど共通しているのだなと改めて感じます。
国内キャンペーンのテーマについてはコミュニティアクション公式サイトのキャンペーンテーマのページをご覧ください。
UNAIDSのテーマについては日本語仮訳を以下に掲載しておきます。
どちらも短い文章なので、あわせてお読みいただければ幸いです。
2018年世界エイズデーのテーマは、誰もがHIV感染の有無を知るよう呼びかけ
2018年9月17日 UNAIDS Feature story
30周年の節目となる今年の世界エイズデーのテーマは「Know your status(感染の有無を知ろう)」です。
1988年以来、エイズ対策は大きな成果を上げてきました。現在ではHIV陽性者4人中3人が自らの感染を知っています。それでもまだ、最新のUNAIDS報告書が示しているように「道は遠い」と言わなければなりません。自らの感染を知らない人たちに働きかけ、その人たちが質の高いケアと予防のサービスにつながれるようにする必要があります。
治療を拡大し、すべてのHIV陽性者が健康で生産的な生活を送れるようにするにはHIV検査が不可欠です。90-90-90ターゲットを達成し、HIV予防の方法を選択して自分自身と愛する人を共に守れるようにすることも大切です。
残念なことにHIV検査を阻む障壁は数多く残っています。スティグマと差別はいまなお人びとをHIV検査から遠ざけています。検査における個人情報の保護はいまも重要な課題なのです。体調を崩し、症状が出てから初めて検査を受ける人がまだたくさんいます。
検査アクセスを拡大するために、新しい方法がたくさんあることはいいニュースです。自己検査、コミュニティベースの検査、複数の病気の検査が人々に自らのHIV感染の有無を知る助けになっています
HIV検査プログラムを拡大しなければなりません。そのためには、政治の意思と投資が必要です。革新的なHIV検査のアプローチも必要になります。
今年の世界エイズデーでは、HIV感染の有無を知ることの重要性に理解を広げ、HIV検査を妨げている障壁を取り除くためにともに行動しましょう。
世界エイズデーについて
世界エイズデーは1988年のエイズ予防対策世界保健大臣サミットで制定が決まりました。以後毎年、国連機関や各国政府、市民社会がエイズに関連するその年々のテーマのキャンペーンに参加しています。
World AIDS Day 2018 theme encourages everyone to know their HIV status
17 September 2018
This year’s theme for World AIDS Day, which will be marking its 30th anniversary on 1 December, will be “Know your status”.
Significant progress has been made in the AIDS response since 1988, and today three in four people living with HIV know their status. But we still have miles to go, as the latest UNAIDS report shows, and that includes reaching people living with HIV who do not know their status and ensuring that they are linked to quality care and prevention services.
HIV testing is essential for expanding treatment and ensuring that all people living with HIV can lead healthy and productive lives. It is also crucial to achieving the 90–90–90 targets and empowering people to make choices about HIV prevention so they can protect themselves and their loved ones.
Unfortunately, many barriers to HIV testing remain. Stigma and discrimination still deters people from taking an HIV test. Access to confidential HIV testing is still an issue of concern. Many people still only get tested after becoming ill and symptomatic.
The good news is that there are many new ways of expanding access to HIV testing. Self-testing, community-based testing and multidisease testing are all helping people to know their HIV status.
HIV testing programmes must be expanded. For this, we need political will and investment, as well as novel and innovative approaches to HIV testing that are fully leveraged and taken to scale.
Join us this World AIDS Day in raising awareness about the importance of knowing one’s status and calling for the removal of all barriers to accessing HIV testing.
About World AIDS Day
World AIDS Day originated at the 1988 World Summit of Ministers of Health on Programmes for AIDS Prevention. Since then, every year United Nations agencies, governments and civil society join together to campaign around specific themes related to AIDS.