改めてGIPAをたどる エイズと社会ウェブ版244

 パワーポイントのスライド作成の練習用にGIPA原則の資料を作ろうと思い、UNAIDSの過去の文献を探してみたら、おお、ありました。2007年にGIPAに関するPolicy Brief(政策方針)が発表されています。

 個々の政策や課題について、これまでの経緯をコンパクトに説明し、今後はどういう考え方で取り組んでいくのかという方針を示す文書です。各国や国際機関、市民社会組織に向けた提言も載っています。

 コンパクトとはいえ、訳すとなるとちょっと手間がかかりそうだなと思っていたら、貧すれば鈍する・・・じゃなかった、窮すれば通じるといますか、これもまた、ありました。Policy Briefをさらに圧縮して紹介したFeature Story(特集記事)が同じ2007年のUNAIDS公式サイトに載っているではありませんか。嬉しくなって、そちらの日本語仮訳を作成し、HATプロジェクトのブログに掲載してあります。

 《『UNAIDSがGIPA強化の新たな方針』2007年3月30日GIPA関連文献》

 http://asajp.at.webry.info/201609/article_1.html

 

 「新たな方針」と書いてありますが、2007年の話なので、そのあたりは誤解のないよう、よろしくぅ、というお断りをしたうえで、ちょっとサワリを・・・。

 

『GIPAはHIV陽性者が同等のパートナーであることを確認し、「サービス提供者」はHIVに感染していない人で、HIV陽性者は「サービスの受け手」であるといった単純で誤った考え方を打破するものである』

 

 このくだりは前にもどこかで紹介したような記憶があります。さて、どこだったかと考え始めると年寄りは眠れなくなっちゃうので、再掲しておきました。それでは次の引用。

 

 『HIV陽性者の参加度を測ることは容易ではないし、厳密な科学的方法があるわけでもない;ただし、コミュニティが率先して自らの健康の改善に取り組めば、対策が成功する可能性が高くなることは経験的に示されている。個人およびコミュニティがHIVに感染しやすくなる要因に関し、HIV陽性者には直接的な経験がある。結果として、プログラムの開発と実施に陽性者が関与することにより、妥当で受け入れやすく、効果の高い対策を進められるようになる』

 

 GIPAは有効だというエビデンスはあるのか・・・、みたいなことを四の五の言わない点に私などは好感が持てます。対策が成功する可能性が高くなることは経験的に示されている・・・いいねえ。

 

『「HIV陽性者の参加と貢献は、世界の公衆衛生の進歩を示す最良の事例の一つです。私たちは自らの感染を明らかにしたら石をもって追われ、殺されてしまうような状態から、国際的な政策を策定するために世界の指導者とともに招待されるところまでこぎ着けました」とボリビアHIV陽性者ネットワークのグラシ ア・ビオレタ・ロス代表は話す。「なすべきことはまだ、あまりにも多く残されているとはいえ、歴史的にも誇るべき大きな変革をもたらしてきたのです」と彼女はいう』

 

 かなり傍観者的ではありますが、新聞記者として一応、エイズ取材を長く続けてきたので、このあたりの成果の素晴らしさは改めて強調しておきたい。

 ということで、まだまだ引用したいところがありますが、後はHATプロジェクトのブログをご覧ください。

 スライドは9枚にまとめました。改めて見ると、文字ばっかりでプレゼン用にはちょっとつらいか。とりあえず年表の分を一枚、載せておきます。

 

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  あまり大した年表ではなかった・・・。