4336 【鎌倉海びより】83  傍若無人は許されない


 本日のSANKEI EXPRESS紙に掲載されたコラムです。昨日は大慌てで原稿の後ろ半分を差し替えました。

 

【鎌倉海びより】83  傍若無人は許されない

http://www.sankeibiz.jp/express/news/140805/exg1408051130001-n1.htm

 

 砂浜にひしめくようなビーチパラソルが少しまばらになったあたり。由比ガ浜海水浴場の西端に近い坂ノ下海岸には、週末になると空色のノボリが翻る。

 子供たちが安心して夏の海を楽しめるように、今年から新設された「キッズ&ファミリービーチ」だ=写真。

 

  

 鎌倉の海水浴場は昨年、風紀の乱れが指摘され、子供たちにはかなり居心地の悪い環境になってしまった。地元の海の家の組合の調査では、海岸での飲酒、とりわけ砂浜にテントやシートを広げ、酒盛りをして騒ぐようなグループが、海浜の雰囲気を悪化させる最大の要因になったという。

 今年はその二の舞いを避けるため、地元では寒さの厳しい冬の頃から対策の会議が持たれ、海水浴場のマナー向上を目指す鎌倉市の条例や海の家の自主規制ルールの強化などさまざまな方策が打ち出された。

 キッズ&ファミリービーチもその一つ。海水浴期間中の毎週土日と祝日、お盆期間に設けられる。安全確保にはライフガードも重点的に目配りをし、こうした空間が困った大人の抑止力にもなるといい…とここまで書いてきたところで、地元の努力を踏みにじるような事件が起きた。

 由比ガ浜海水浴場で8月3日午後、海上自衛隊の18歳の隊員が21歳の女性に乱暴し、鎌倉署に翌日、強姦容疑で逮捕された。隊員は事件の前に同僚らとビールや酎ハイを飲んでいたという。たくさんの人の努力の積み重ねも、鎌倉市の条例によるマナー向上の呼びかけも裏切られてしまったことになる。

 たくさんの人が集まる夏の海辺だからこそ傍若無人の振る舞いは許されない。呼びかけが守られなければ、砂浜での飲酒は禁止するような強い姿勢が神奈川県や鎌倉市にも必要になるだろう。