改めてもう一度、お知らせしておきましょう。明日(3月21日)午後7時からです。ふるってご参加下さい。
エイズ&ソサエティ研究会議(JASA)第125回フォーラム『エイズ予防指針見直し傍聴報告』
《感染症法に基づくエイズ予防指針は1989年に告示されて以来、ほぼ5年をメドに見直しが行われています。医学研究の成果や社会的環境の変化などを踏まえ、流行の現状により即した対策を実施していくための見直しです。これまでに2度にわたる改訂があり、今回が3度目の見直しとなります。
昨年12月に厚生科学審議会エイズ・性感染症小委員会で検証作業がスタートし、今年2月までに3回の会合が開かれました。4回目の会合は4月になる見通しです。
今回はエイズ・性感染症の2つの予防指針の見直しが同時に進められていることが大きな特徴です。また、エイズ予防指針については最近のHIV治療の進歩と研究の成果を踏まえ、予防としての治療(T as P)の考え方をどこまで指針に反映させるか、HIV感染にまつわる社会的な諸課題への対応にそうした発想がどのように影響していくのかが焦点となっています》
日時:2017年3月21日(火)午後7時~8時半
場所:ねぎし内科診療所(地下鉄丸ノ内線四谷三丁目1番出口)
東京都新宿区四谷三丁目9 光明堂ビル5階
http://www1.odn.ne.jp/negishi-naika/basho.html
参加費:1000円
問い合わせ:エイズ&ソサエティ研究会議事務局 yz235887@za3.so-net.ne.jp
まだ、検討の途中段階における外野席からの報告ですが、ちょっと考えを整理しておきましょう。今回のエイズ予防指針見直しの特徴です。
1 性感染症予防指針と同じ場所で同時に検討が進められている。
2 HIV/エイズ対策の保健化ないしは医療化といわれる世界的な動きが議論に反映される傾向が強い。
3 GIPAの原則などまったく考慮されず、委員にはHIV陽性者もキーポピュレーション(日本では個別施策層に想定される人たち)のメンバーも明示的には入っておらず、議論への参加は初回の3人の参考人にとどまっている。
4 HIV陽性者であることを明らかにして意見陳述を行った参考人3人がともにHIV/エイズ対策における偏見、差別との闘いの重要性、人権重視の必要性を強調した。
5 委員の一部からは人権に関する言及はあくまで医療の範囲にとどめてほしいといった意味不明の発言もあった。
(蛇足)5番目については、発言をとがめるために項目としてあげたわけではありません。ましてや発言を制限すべきだと主張したいわけでもありません。委員の皆さんにはのびのびと自ら思うところを語っていただきたい。
ただし、傍聴した範囲でははっきり聞き取れなかったこともあって趣旨がよく理解できず、印象的な判断として、ああ、現状はここまできているのかと感じ、ややぼう然ともしました。
個人的には、「今回の見直しにおいて」というほど短期ではないにしても、いわゆる「エイズ対策の医療化」が主流を占める現在の国際的な議論の流れが、どこかで変わる局面が出てくるのではないかと秘かに考えています(また、そうした傾向が少しずつ出始めているようにも思います)。
その場合、流れが変わるということは対策の一段の深化を意味することだと思う一方、それはいま以上に対応が困難になること、いわば世界のエイズ対策がもう一度、大きな壁に突き当たる時期を迎えるということなのかもしれません。私の単なる個人的な感想があくまで杞憂に過ぎないことを願っています。