9月に掲載された【鎌倉海びより】です。アップが遅れ申し訳ありません。
【鎌倉海びより】112 津波が来たら逃げよう
夏を惜しむように強い日差しが戻ってきた9月5日、鎌倉では『津波が来たら高いところへ逃げるプロジェクト』という防災イベントが市内各地で行われた。
2011年の東日本大震災は、海辺に住む鎌倉の人たちにも、津波に対する不安と関心を高めた。だが、時間が経過すると、不安は薄れていく。だからこそ、関心を持続させ「いま津波が起きたら、どこへ逃げるか」を自ら考える機会をつくろうと、3年前から、防災月間である9月の最初の土曜日に実施されているプロジェクトだ。
最初の年は鎌倉中心部の若宮大路沿いにある鎌倉生涯学習センターの外壁に東日本大震災で被災したビルの写真を原寸大で貼り出した。大津波に襲われるとどうなるのか。多摩美大の学生さんの発案で津波の現実を視覚的に訴えたのだ。昨年と今年は生涯学習センターだけでなく、南隣の鎌倉郵便局にも、廃墟と化した被災ビルの写真が張り出されている=写真。
プロジェクトは「このまちを愛する人をITで全力支援」するためのカマコンバレーというグループが中心になって主催者となる委員会をつくり、鎌倉市や郵便局などの公的機関や地元の企業、団体も共催や協力のかたちで加わっている。
津波が起きたら、どこに、どのようにして逃げるのか。お年寄りも一緒に避難するにはどうしたらいいのか。シンポジウムや映画上映のほか、実際に避難してみる「逃げ道体験」も市内各地で行われた。
企業が提供した備蓄用非常食による300円の非常食体験ランチ、簡単なクイズに正解するとボウサイダーというサイダーがもらえるコーナー…。災害は忘れたころにやってくる。だからこそ、忘れないアイデアがどんどん生まれてくる。この参加する楽しさは大切にしたい。