今日はまたとてつもなく冷え込みそうですね。ま、春遠からじということで。本日のSANKEI EXPRESS紙に掲載された連載コラム【鎌倉海びより】です。
【鎌倉海びより】70 夏みかんの町
年の初めの寒波が少し緩み、1月の終盤は比較的、暖かい日が多かった。助かりますね。体も楽です。
ちょっと暖かくなると、もうこのまま春にならないかなあなどとついつい思ってしまうが、鎌倉もそこまで甘くはないぞ。海からの風が一気に北風に変わり、日が暮れる頃には急速に冷え込むこともある。油断はできない。まだまだ寒波の一つや二つは覚悟しなければなるまい。
ともあれつかの間の暖かさに誘われて、海辺に近い路地を散策していると、この季節は夏みかんが目につく。庭から張りだした枝にたわわに実っていますね=写真。
「夏みかん」という名前とは裏腹に実のなる季節は冬である。冬の日差しをたっぷり浴びて、酸っぱい中にも甘さが熟成されていくのでしょうね。
参考までに書いておくと、いま鎌倉で見られるのは、実は夏みかんの変種で甘みの強い甘夏(あまなつ)であることが多い。神奈川県立フラワーセンター大船植物園に電話で問い合わせたところ「50年前は夏みかんが中心でしたが、20~30年前からは大半が甘夏でしょう」ということだった。
もう少しネットで調べてみよう。農水省のウェブサイトによると、夏みかんは《山口県長門市仙崎原産で、明治初年に萩市で全国に先駆けて経済栽培され、萩のなつみかんとして全国に出荷》されている。甘夏は夏みかんから枝変わりした変異種で《昭和10(1935)年に大分県津久見市の川野豊氏により発見》されたという。
湘南では昭和34(1959)年に天皇皇后両陛下のご成婚を祝い、葉山町が夏みかんの苗木を町内に配った。年代的に見て、こちらは甘夏でなく、夏みかんでしょうね。そうか、ご近所ではあるし、もう少し暖かくなったら葉山も訪れてみよう。