五月雨に時代の波も聞き分けん

 先ほども少し紹介しましたが、高浜虚子1910年(明治43年)から亡くなる1959年まで由比ガ浜に居を構えていたそうです。

 雨がやんだかと思ったら、またパラつきだし、早々と梅雨が来たような一日でしたが、それでもまあ、近所でもあるし・・・ということで、傘を差しながら訪ねてみました。暇をもてあましているわけではなく、仕事疲れを癒す束の間の小散歩であります(いちいち断らなくていいから)。

 

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 折しも・・・というか待っていたんだけど、電車が踏切を通過します。単線の線路を走る江ノ電は上り線、下り線とも12分間隔で走行しています。つまり6分ぐらい待っていれば上下どちらかの電車が来る計算です。通過した電車は下り鎌倉行きでした。

 藤沢-鎌倉間を走る江ノ電の起点は藤沢駅なので、藤沢行が上りになります。藤沢と江の島の間で開通し、だんだんと鎌倉まで延びていったようですね。

 

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 虚子旧宅跡の石碑です。ここにも『波音の由比ガ浜より初電車』という句が刻まれていました。昭和から平成を超えて、もう令和になっちゃったけど、この一句、なんかいい感じですね・・・と、いまにして思う。初電車はもうずっと前に出ちゃったけれど、踏切に静寂が戻ると、雨音にまじり、寄せては返す時代の波音も聞こえてきそうです。

 

由比ヶ浜vs七里ヶ浜 江ノ電が海沿いを走るのはどっち?


 昨夜遅くになって降り始めた雨が昼過ぎまで・・・ということで、小人が閑居していると、ろくなことは考えませんね。
 いわんや、小人未満のおじさんおや、さっきから細かいことが気になっています。
 昨日の「稲村ヶ崎・磯づたいのみち」でお見かけした、高浜虚子の一句。
 

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 こちらですね。『波音の由比ガ浜より初電車』。海沿いに江ノ電が走っています。
 でも、江ノ電由比ガ浜の海岸沿いは走らないので、この絵はちょっと誤解を与えるかもしれません。この構図で江ノ電が走っているのは七里ガ浜沿いなんだけど・・・。
 高浜虚子が住んでいた家は、江ノ電由比ガ浜駅に近い線路沿いにあったので、もちろん虚子には夜明けの由比ガ浜の波の音も、初電車がガタゴトと走り抜ける音も、聞こえていたと思うけれど、由比ガ浜地区の線路は、海岸とは少し離れた町中(当時は別荘街だったでしょうね)を走っているので、絵とはイメージがやや異なります。
 つくづく小物だなあと自らを省みつつも、ついつい余分な一言。

 鎌倉やかつお卯の花初電車

 夕方になって雲が垂れ込めてきました。散歩に出ると、風も冷たい。

 

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 青空と新緑に慣れた目には、稲村ケ崎を望む海辺の風景もどこか荒涼とした雰囲気に変わっています。冬景色とまでは言わないけれど・・・初夏の空はうつろいやすいのでしょうか。

 

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 回れ右をして由比ガ浜から逗子方面を望む。引き潮で砂浜が広いですね。その広さが解放感よりもむしろ寂寥感を誘います。身に染みてうら悲しと言いますか。
 それは秋でしょ。あっ、そうか。年寄りは感じやすいから初夏でもついついため息をついちゃうよ。

 砂浜からの帰り道。国道134号沿いの歩道は、関東ふれあいの道の一つで「稲村ヶ崎・磯づたいのみち」と呼ばれているそうです。

 ん? 歩道に何か・・・。

 

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 東西南北に鎌倉ゆかりの俳句や短歌が配置されていました。

 

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 東は高浜虚子、南は松尾芭蕉ですね。

 

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 西は与謝野晶子の有名な短歌。

 

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 そして、北に配されているのは・・・すいません、存じ上げない方でした。調べてみると、仙鳥さんは江戸時代中・後期の鎌倉の俳人1802年に亡くなり、『卯の花くもり』という追善句集が編まれたそうです。

 

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 鎌倉や かつお卯の花 初電車。つないで誤魔化すなって、もう。

あれ、いつの間に UNAIDSのシディベ事務局長がマリの保健社会福祉相に就任 エイズと社会ウェブ版388

国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長が退任し、出身国であるマリの保健社会福祉相に就任しました。すでにUNAIDSの事務局があるジュネーブを離れ、マリに戻って母国の大臣になっているそうです。

どうなっているの!?という感じですね。日本からは遠く離れた欧州とアフリカの動きなので、私は公式サイトの情報しか知らないのですが、ずいぶん身勝手な行動のように感じられます。

突然の辞任・・・というとちょっとニュアンスが違いますね。早期辞任自体はもともと織り込み済みだったからです。少し説明しておきましょう。

シディベ氏は昨年、UNAIDS事務局内のセクハラ疑惑への対処をきっかけにした外部委員会の調査により、強権的で身勝手な組織運営を厳しく批判され、辞任を求められていました。

このため昨年12月のプログラム調整理事会では、シディベ氏自身が任期を半年前倒しして、今年6月末で退任することを約束し、即時退任だけはようやく免れた経緯があります。

シディベ氏が何とか半年間でも粘ろうとした表向きの理由は、今年6月のプログラム調整理事会で《秩序ある指導者の交代》を果たしたいということでした。もっともらしい理由を掲げて即時退任論を退けたわけですが、そうなると、じゃあ何で6月を待たずに、いま辞めちゃうのということが、どうにも説明がつきませんね。

後任の事務局長の選任については、候補者の自薦他薦を受け付け、多数の候補者リストの中から数人の最終候補者を絞り込む作業を開始しようとしている段階のようです。いま辞めるのなら去年の12月に潔く辞めておくべきだったのではないかと私などは思います。これじゃあ、秩序あるも何もないでしょう。

もっともらしい理由を付けて退任時期を半年間、引き延ばし、しかも、その途中で今度は自分の都合でさっさとジュネーブを離れてしまう。これはないよねと私は思います。

実は自分の次のポスト探ししか考えていなかったということでしょうか。

当面は管理総務担当のグニラ・カールソン事務局次長が事務局長臨時代理を務めるということです。昨年11月末から12月初めにかけて来日し、大阪の世界エイズデーイベントや日本エイズ学会にも参加されたので、日本のエイズ対策関係者の中にも、その時にお会いした方がかなりいらっしゃるのではないでしょうか。

ま、シディベ氏の身勝手な行動への批判はあるにしても、新たな暫定体制の方が組織としてはよほどすっきりします。とりあえず、この体制でUNAIDSが当面、なすべきことを粛々と進めていけるのなら、新事務局長の選任は年末ぐらいまで延びる可能性もありそうです。

UNAIDSの公式サイトには、58日付で『ミシェル・シディベ氏がマリの保健社会福祉相に任命されたことを祝福』というプレス声明が掲載されています。誰ですか、『いなくなることを祝福』などと陰口をたたいているのは。えっ? 私だけでしたか。

プレス声明の日本語仮訳も私家版で作成しました。以下に掲載しておきます。やたらとほめたたえているので、途中で訳すのが嫌になってきました。でも、まあこれも資料ではあります。辞めていく人は悪く言わないというのが、国際機関の作法なのかもしれません。

欧米メディアの報道はまだチェックしていませんが、こちらにはおそらく厳しい論評が並ぶでしょうね。

 

 

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ミシェル・シディベ氏がマリの保健社会福祉相に任命されたことを祝福 UNAIDS

 UNAIDS事務局長として世界のHIV対策に大きく貢献したことに心から感謝

  UNAIDSプレス声明 

 https://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2019/may/20190508_michel-sidibe

 

ジュネーブ 201958 UNAIDSはミシェル・シディベ氏がマリの保健社会福祉相に任命されたことを祝福する。シディベ氏は20091月、第2UNAIDS事務局長および国連事務次長に就任し、以後10年にわたってその職にあった。

 保健と開発分野で人を中心にしたアプローチを進め、社会正義を擁護する真の代表的人物として、シディベ氏はエイズ対策に目覚ましい貢献を果たし、世界中で何百万という人の生命を救い生活の改善を助けてきた。

 抗レトロウイルス治療を受ける人の数は2010年の800万人から2017年の2170万人へと、シディベ氏のUNAIDS事務局長就任以来、170%2.7倍)も増加している。

 「事務局長としてUNAIDSで働き、世界のエイズ対策に貢献できたことは私にとって大きな栄誉です」とシディベ氏は述べた。「すべてのUNAIDSパートナー、スタッフ、そしてとりわけHIVに影響を受けているコミュニティの皆さんにお礼を申し上げたい。皆さんこそがこの成果を可能にしたのです。皆さんの固い決意があったからこそ、何百万という人の生命を救うサービスが提供できました。さらにこの道を進み、常に人びとを一番に考え、サービス提供を続ければ、エイズ終結は成功するでしょう」

 HIV新規感染ゼロ、差別ゼロ、エイズ関連の死亡ゼロというシディベ氏のビジョン、およびすべての人に保健医療サービスを確保するための倦むことのない活動により、HIVは引き続き世界の重要課題として位置付けられている。彼が連帯と責任の共有を世界に呼びかけたことで、低・中所得国のためのHIV対策資金は、2010年の159000万ドルから2017年の206000万ドルへと3割以上増えている。各国に自立を求めた結果、低・中所得国のHIV資金の56%は国内予算で賄われており、長期にわたる持続的な対応が可能になっている。

 HIV予防、治療、ケア、支援へのユニバーサルアクセスに向けたシディベ氏の働きかけにより、2015年末までにHIV陽性者1500万人が抗レトロウイルス治療を受けられるようにするという目標は、7カ月前倒しして実現している。社会的に最も弱い立場の人や排除されがちな人を重視したことで、薬物使用者、ゲイ男性など男性とセックスをする男性、セックスワーカー、受刑者、移住を余儀なくされている人たちといった声なき人たちが、声をあげられるようになった。

 すべての子供がHIVに感染して生まれないようにすることの必要性を強く信じ、子供の新規HIV感染をなくすよう呼びかけた結果、『2015年までに子供のHIV新規感染をなくし母親が健康に生きていくための世界計画』で優先国とされている21カ国では、2009年と比べると小児HIV感染が60%減少している。

 シディベ氏は任期中、キーポピュレーションを明示し、地域的・世界的な高速対応目標を取り入れたHIV分野の2つの重要な国連総会政治宣言の先頭に立ってきた。また、HIVを性と生殖の健康の中に位置づけ、結核や子宮頸がんなど他の疾病と統合した対応を打ち出すなど、人権を基本にした包括的アプローチを重視し、エイズ対策の孤立を回避することに成功した。

 「長期にわたってUNAIDSを支援していただいたアントニオ・グテレス国連事務総長にはお礼を申し上げたい」とシディベ氏はいう。「さらに1987年にユニセフの職員としてコンゴ民主共和国で働き始めてから、20年余り後に国連事務次長になるまで、私を育ててくれた国連システムにも感謝したい。私に与えられた機会には常に感謝しています」

 HIVに最も大きく影響を受けている国々は、シディベ氏が呼びかけた90-90-90ターゲットの実現を目指し努力を続けている。HIV陽性者の90%が自らの感染を知り、感染を知った人の90%が治療を受け、さらにその90%が体内のウイルス量を低く抑えるという目標である。現状では、自らの感染を知っているHIV陽性者は全体の約75%と推定され、HIV検査の普及と抗レトロウイルス治療の拡大が大きな課題となっている。

 彼がパートナー機関とともにHIV予防連合の設立を呼び掛けたことが、HIVの一次予防に向けた政治的意思の強化と持続、および新規HIV感染を止めるためのサービス提供への責任を明確化した新たなHIV予防2020ロードマップを生み出している。

 彼が女性・女児の生活状態の改善を約束したことが、女性・女児にHIV予防と治療のアクセス、および紛争状態や紛争後の平和構築時における性的暴力の予防と対処に関する2011年の安保理決議1983につながった。

 コミュニティの力に対するシディベ氏の強い思いが、コミュニティ主導のHIV対策への道を開き、HIVサービスへの理解を広げ、治療の継続を支え、HIV陽性者の生活の質を高めるための支援ネットワークを生み出すゲームチェンジャーになった。

 シディベ氏の関与と決断、情熱があったからこそ、政府首脳、HIV陽性者、影響を受けているコミュニティ、ドナー、ファーストレディ、議員、市長、市民社会、科学者、若者やHIVプログラムの指導者といった人たちが同じテーブルに着き、誰も取り残すことのない解決策を検討し、エイズ終結に向けて持続的な行動をとることも可能になった。

 シディベ氏はUNAIDSと世界のHIV対策を鼓舞する指導者だった。UNAIDSは彼が努力を傾注してきた日々に心からお礼を申し上げたい。シディベ氏は発表と同時にマリの保健社会福祉相に就任し、新たな役割を担うことになった。UNAIDSの事務局長の任務には当面、総務管理担当のグニラ・カールソン事務局次長が臨時代理としてあたることになる。

 

 

 

UNAIDS congratulates Michel Sidibé on his appointment as Minister of Health and Social Affairs of Mali

UNAIDS extends its heartfelt thanks to the Executive Director of UNAIDS for his outstanding contribution to the global response to HIV

 

GENEVA, 8 May 2019—UNAIDS congratulates Michel Sidibé on his appointment as the Minister of Health and Social Affairs of Mali. Mr Sidibé served as the Executive Director of UNAIDS for more than 10 years after being appointed as the second Executive Director of UNAIDS and Under-Secretary-General of the United Nations in January 2009.

A true champion for a people-centred approach to health and development and a strong advocate for social justice, Mr Sidibé has made a remarkable contribution to the AIDS response, helping to save and improve the lives of millions of people around the world.

Since Mr Sidibé took up his position as Executive Director of UNAIDS, there has been a 170% increase in the number of people accessing antiretroviral therapy, from 8 million in 2010 to 21.7 million in 2017. There has also been a 45% drop in AIDS-related deaths—from 1.7 million in 2008 to 940 000 in 2017—and new HIV infections have been reduced by 22%—from 2.3 million in 2008 to 1.8 million in 2017.

It has been an honour for me to serve UNAIDS as its Executive Director and contribute to the global AIDS response,” said Mr Sidibé. “I would like to thank all UNAIDS partners and staff and especially community members affected by HIV, who have made our successes possible. With their steadfast commitment and resolve, we have been able to bring life-saving services to millions of people. If we stay the course and do the right thing, always—putting people first and delivering results for people—we will succeed in ending AIDS.”  

Mr Sidibé’s vision of zero new HIV infections, zero discrimination and zero AIDS-related deaths, and his tireless advocacy to ensure that all people have access to health services, have kept HIV at the top of the global agenda. His calls for global solidarity and shared responsibility have seen resources for HIV increase by more than one third, from US$ 15.9 billion in 2010 to US$ 20.6 billion in 2017 in low- and middle-income countries. His advocacy for country ownership helped to ensure that 56% of HIV resources in low- and middle-income countries now come from domestic sources, promoting long-term sustainable responses to HIV.

His commitment to the concept of universal access to HIV prevention, treatment, care and support meant that the goal of reaching 15 million people living with HIV with antiretroviral therapy by 2015 was achieved seven months ahead of schedule. His focus on the most vulnerable and marginalized has given a voice to the voiceless, including people who use drugs, gay men and other men who have sex with men, sex workers, prisoners and people on the move.

A strong believer that no child should be born with HIV, his leadership in calling for the elimination of new HIV infections among children contributed to a 60% reduction in new paediatric HIV infections since 2009 in the 21 priority countries of the Global Plan towards the elimination of new HIV infections among children by 2015 and keeping their mothers alive.

During his tenure, Mr Sidibé spearheaded two of the most successful United Nations General Assembly political declarations on HIV, which named key populations and included ambitious regional and global Fast-Track Targets. He has successfully advocated to take AIDS out of isolation, encouraging a holistic human-rights based approach to include HIV as part of sexual and reproductive health and integrate responses to interlinked diseases, including tuberculosis and cervical cancer.

I would like to thank United Nations Secretary-General António Guterres for his long-standing support to UNAIDS,” said Mr Sidibé. “I am also grateful to the United Nations system for allowing me to develop my career, from when I started as a short-term junior professional in the Democratic Republic of the Congo for the United Nations Children’s Fund in 1987 to becoming Under-Secretary-General of the United Nations some 20 years later—I am eternally thankful for the opportunities I have been given.”

The countries most affected by HIV have rallied behind Mr Sidibé’s call to reach the 90–90–90 targets, whereby 90% of people living with HIV know their status, 90% of people who know their status are accessing treatment and 90% of people on treatment have a suppressed viral load. Some 75% of all people living with HIV now know their HIV status, and focus has been increased on HIV testing and expanding antiretroviral therapy.

His call with partners to establish an HIV prevention coalition led to a new HIV Prevention 2020 Road Map to strengthen and sustain political commitment for primary HIV prevention and establish accountability for delivering services at scale in order to stop new HIV infections.

His commitment to improving the lives of women and girls galvanized action for Security Council resolution 1983 in 2011, which focused on ensuring access to HIV prevention and treatment for women and girls, on the prevention of, and response to, sexual violence related to conflict and on post-conflict peacebuilding.

Mr Sidibé’s strong belief in the power of communities has paved the way for community-led responses to HIV, which have proved to be a gamechanger in increasing the uptake of HIV services and in creating support networks to improve adherence to treatment and quality of life for people living with HIV. 

His undeterred commitment, dedication and passion has allowed Mr Sidibé to engage heads of state, people living with HIV, affected communities, donors, first ladies, parliamentarians, Mayors, civil society, scientists, young people and HIV programme leaders alike, bringing everyone around the same table to galvanize action to end AIDS by developing focused and sustainable solutions that leave no one behind.

Mr Sidibé has been an inspirational leader of UNAIDS and for the global response to HIV, and UNAIDS extends its heartfelt thanks for his years of dedicated service. Mr Sidibé will take on his new role as Minister of Health and Social Affairs of Mali with immediate effect and will be replaced ad interim by UNAIDS Deputy Executive Director, Management and Governance, Gunilla Carlsson.

 

 

焼け跡に 人影も絶え・・・

 ほかにやることはないのか、とお叱りを受けそうですが、仕事の合間にちょっとだけ昨日の火災現場の様子を見てきました。現場百遍ならぬ、一遍だけです。

 

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 もう誰もいませんね。もともと無人の物置小屋でしたから。それでも巻き添えにあって負傷する人もなく、よかった。

 

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 材木座海岸の東の端、ほとんど和賀江島に近いところですね。10連休の最終日に起きた海辺の火災、原因は何だったのでしょうか。

『抗レトロウイルス治療のHIV感染防止効果に関する追加的エビデンスを歓迎』UNAIDS エイズと社会ウェブ版387

抗レトロウイルス治療によるHIV感染予防の効果に関するPARTNER2研究の結果が英医学誌LANCETに掲載されました。治療を継続し、体内のウイルスが抑制されているHIV陽性者からは、他の人にHIV性感染することはないということを欧州のゲイカップル約1000組の調査から結論付けています。

抗レトロウイルス薬の予防効果に関するPARTNER研究は2010年から進められ、2016年に南アフリカのダーバンで開かれた第21回国際エイズ会議(AIDS2016)でその結果が報告されています。

T as Pエビデンスとして大いに注目され、U=Uキャンペーンの根拠にもなっていますが、当時は異性間のカップルに比べると、男性の同性間カップルでは感染リスクが高いのではないかとの疑問もあり、さらに同性間のカップルを対象に調査を継続していったのがPARTNER2研究でした・・・ということはうろ覚えですが、人づてに聞いたことがあります。詳しいことは専門の方に改めてお聞きした方がよさそうですね。

ということで、また聞きの、そのまた、また聞きになってしまって恐縮ですがPARTNER2研究の報告を歓迎するプレス声明を国連合同エイズ計画(UNAIDS)が出しています。

この研究については昨年7月、アムステルダムで開催された第22回国際エイズ会議で報告されさんざん話題になったようにも思いますが、何か新しいことのように歓迎して見せるのが国際機関のたしなみというものなのでしょうか。論文が医学専門誌に掲載されることは研究者仲間にとっては大切なことなんでしょうね、きっと。

声明によると、治療の普及の現状は『2017年現在で、推定3690万人のHIV陽性者の59%2170万人)がHIV治療へのアクセスを得ており、47%が体内のウイルスを低く抑えた状態を維持している』ということで、2020年の90-90-90目標の到達は厳しそうです。成果は成果として、今後はそれを踏まえて考えていくとしても、それでも公衆衛生上の脅威としてのエイズ終結に向けて、道はまだ半ばです。個人的には、世界の関心がこれだけ盛大に薄れ、なおかつUNAIDSの組織としてのガバナンスにも冷ややかな視線が浴びせられていることを考えると、掛け声は掛け声として継続するにしても、実は掛け声であることも自覚しつつ、じゃあ、どうしたらいいのということを考えていくべきではないかと思います。

それがこれからの課題であることを頭の少なくとも片隅ではしっかり意識したうえでの話なのですが、UNAIDSは『すべてのHV陽性者が抗レトロウイルス治療へのアクセスを得て、効果の高い治療を継続していけるようにするには様々な協力が必要になる』としています。誰と誰の間で、どんな協力が必要になるのか。四の五の言わずに、みんな検査を受ければいいんだ・・・とほとんど言いかけているお医者さんにお会いすることもまれにあります。でも、世の中に対して、あるいは性感染症に対して、そこまで浅薄なエビデンスが示されているわけではないでしょうとも個人的には思います。

以下、日本語仮訳をご覧ください。

 

 

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 抗レトロウイルス治療のHIV感染防止効果に関する追加的エビデンスを歓迎

 HIV陽性と陰性のゲイカップルを対象にしたヨーロッパの大規模研究で、効果的な治療を続ければHIV感染が防げることを確認 (201953日、UNAIDSプレス声明)

 http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2019/may/20190503_partner2-study

 

ジュネーブ 2019.5.3 HIV陽性者が効果的な抗レトロウイルス治療を続けていれば、他の人へのHIV感染は起きないことを示したPARTNER2研究の結果をUNAIDSは心から歓迎する。パートナーの一方がHIV陽性で他方は陰性のゲイカップル約1000組を対象にしたこの研究では、HIV陽性者が効果的な抗レトロウイルス治療を受け、体内のウイルス量が抑制されていれば、カップル間のHIV感染は起きないことが示されている。

 「素晴らしいニュースです。治療を続け、ウイルスを抑制できているHIV陽者には感染性がないという確証が得られたのです」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長は語る。「これはHIVにまつわるスティグマの解消を助け、HIV陽性者の自信と自尊感情を高めることができる強力かつ前向きなメセージになります」

 8年間の研究の終了時点までに、HIVに感染した人は15人だった。ウイルスのスクリーニングにより、感染はHIV陽性のパートナーとは関連がなく、カップル以外の相手からの性感染だったことが示されている。14カ国が参加したこの研究により、8年間で472件のHIV感染が回避されたと研究者らは推定している。

 UNAIDSはこの研究結果により、早期に検査を受け、効果的な治療を受けられるようになる人が増えることを期待している。ここ数年、抗レトロウイルス治療の普及は大きく広がっている。2017年現在で、推定3690万人のHIV陽性者の59%2170万人)がHIV治療へのアクセスを得ており、47%が体内のウイルスを低く抑えた状態を維持している。すべてのHV陽性者が抗レトロウイルス治療へのアクセスを得て、効果の高い治療を継続していけるようにするには様々な協力が必要になる。

 いまなおHIV感染の多くは、自らが感染していることを知らないでいる人からの感染で占められている。HIVに感染した直後の数週間もしくは数カ月以内は、他の人へのHIV感染のリスクはが最も高くなる。ウイルス量が増え、しかも自らはHIVに感染したことを知らず、治療も受けていないので、ウイルス量の抑制にもつながらないからだ。このことはコンドーム使用と曝露前予防服薬(HIV陰性の人の予防目的による服薬)を含む一連の継続的なHIV予防の努力が必要なことを示している。

 

 

Press statement

UNAIDS welcomes additional evidence that effective antiretroviral therapy stops transmission of HIV

Results from a large-scale European study among serodiscordant gay couples show that adherence to effective treatment prevents transmission of HIV

 

GENEVA, 3 May 2019—UNAIDS warmly welcomes the PARTNER2 study results that show that HIV transmission does not occur when a person living with HIV is on effective antiretroviral therapy. The study, which enrolled nearly 1000 gay couples in which one partner was living with HIV and the other was not, showed that where the person living with HIV was taking effective antiretroviral therapy and had a suppressed viral load, there was no HIV transmission within the couple.

 This is excellent news. People living with HIV now have confirmation that provided they take treatment regularly and are virally suppressed, they are not infectious,” said Michel Sidibé, Executive Director of UNAIDS. “This gives a strong, positive message that will help to reduce the stigma around HIV and improve the self-esteem and self-confidence of people living with HIV.”

By the end of the eight-year study, 15 people did become infected with HIV. Virus screening showed that none of the new infections were linked to the HIV-positive partners in the study, but came from a sexual partner outside of the couple. The researchers estimate that within the study, which took place across 14 European countries, around 472 HIV transmissions were averted over the eight years.

UNAIDS hopes that the results will encourage more people to get tested early and take effective treatment. In recent years there has been a huge scale-up in the roll-out and uptake of antiretroviral therapy. In 2017, of the 36.9 million people living with HIV, 59% (21.7 million) had access to treatment and 47% were virally suppressed. Concerted efforts are needed to ensure that all people living with HIV have access to and adhere to effective antiretroviral therapy.

A large proportion of HIV transmission still occurs before people know their HIV status. The risk of HIV transmission is highest in the weeks and months immediately after infection, when the viral load is high and the person who has contracted the virus is unlikely to know their status, is not on treatment and is not virally suppressed. This demonstrates the critical importance of continuing HIV prevention efforts, including condom use and pre-exposure prophylaxis—medicine taken by an HIV-negative person to prevent HIV.

最終日どこか寂しい10連休

 どこかに出勤しているわけではないので、あまり関係ないと思っていた10連休でしたが、個人的には何もないようでいろいろとありました。そうそう、お休みの間に元号も平成から令和に代わっていましたね。
 10連休昭和は遠くなりにけり ちょっと盗作っぽいけど、まあ、いいか。
 鎌倉は昨日まで大変な人でしたが、最終日はさすがに静かになりました。車も少ない。観光地は全国的にそうだったのかもしれませんね。
 最終日どこか寂しい10連休。というわけで、散髪に行ったらどっと疲れが出て、久々に昼寝をしてしまいました。
 目が覚めると、けたたましいサイレンの音。窓の外を見ると、少し離れたあたりで黒煙がもくもくと立ち上がっています。
 材木座海岸の砂浜にある小屋が燃えたそうです。「漁業関係者が使用する物置」ということで、幸い負傷者もなかったのですが、国道134号沿いで映像が派手だったせいもあってテレビのニュースではけっこうやっていましたね。
 

headlines.yahoo.co.jp


 出火直後の映像も流されていました。
 ちょっと前なら、意味もなく現場に駆け付け、野次馬の一部を構成していたと思いますが、さすがに今日は寝起きでぼーっとしていたせいか、ベランダから黒煙の写真を撮るのも忘れていました。戦後生まれの昭和育ち。時代から取り残されつつあります。