年明け早々にお伝えしたように今年は秋に第13回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP2019)が開かれます。何かの参考にしていただけるかもしれないと思い、公式サイトのトップページをザクっと日本語に訳してみました。
会議のテーマ “Getting our act together –progress, barriers and opportunities for 2020 and beyond” はとりあえず、『力を合わせていこう-2020年およびその先に向けた成果、障壁、展望』としてあります。
もうちょっとましな訳し方はないの、とお叱りを受けそうですね。キャッチ―な訳があれば、すぐに差し替えたいと思いますのでお知らせください。
ICAAPといえば、2005年に第7回会議が神戸で開かれているので、ご存知の方も多いかと・・・あまり多くないか、いまとなっては。
世界レベルの国際エイズ会議が隔年開催なので、原則としてその間の年に地域レベルの会議として開かれています。
原則として、というのは、これまでにそうならないこともあったからです。そもそも神戸会議は2003年の開催予定でしたが、SARSの流行が国内に広がることを懸念して、いったん延期とし、そのさらに2年後の2005年に開催しています。つまり、一回飛ばしてしまったわけですね。かく言う私も、組織委員会の中で「飛ばし」を強く主張した者の一人でした。
また、前回の第12回会議は2015年にバングラデシュのダッカで開かれる予定でしたが、準備態勢が整わず、開催は半年遅れて2016年になっています。
この時のトラウマといいますか、その後、次期開催都市がなかなか決まらず、もうICAAPは開けないのではないかといった観測も一時は流れていました。
ICAAP2019の公式サイトに転載されているUNAIDSのグラフ(下に掲載、英文のままで悪しからず)でも分かるようにアジア太平洋地域のHIV/エイズの流行は決して軽視できるような状態ではないのですが、各国の政治指導者の間では「もうエイズはいいだろう」といった感覚が広がりだしているようで、会議の開催は難しくなっています。
神戸のICAAP当時ですらそれでずいぶん苦労しましたが、最近はもっと厳しいでしょうね。治療の進歩とその普及を含めた対策に一定の成果が上がり、エイズ対策は一時の危機的状況から比べると、少し緊張感が緩んでいる印象があります。エイズ対策に対する各国の政策的な優先順位も大きく後退していると言わざるを得ません。
今回はオーストラリアのパースが手を挙げ、なんとかかっこうがついた感じですね。オーストラリアで開催されるのは第1回のキャンベラ、第6回のメルボルンに次いで3回目となります。いささかオーストラリアに頼りすぎという印象ではありますが、背に腹は代えられないというところでしょうか。
まあ、開催が決まってよかったとは思います。ただし、不安材料もあります。いざ準備を本格化させようというこの時期になって、ICAAPの重要な支え手である国連合同エイズ計画(UNAIDS)が自らの内部管理能力をめぐり、大きな批判にさらされている状態だからです。準備はスタートしたものの開催は依然、前途多難と言わざるを得ません。
もちろん、それは会議が必要ないということではありません。むしろこれまでの対策の成果がようやく出始めたものの、依然として道半ばにあるいまこそ、こうした機会を持つことの重要度はむしろ増しているというべきでしょう。中間的な成果に安心して自己満足にひたっている場合ではない。この点は強調しておかなければなりません。
会議が域内各国のHIV/エイズ対策を大いに力づける機会になるとともに、グローバルな対策の立て直しにも寄与することを期待したいと思います。
公式サイトはこちらです。
ICAAP 2019 – Progress, barriers, and opportunities for 2020 and beyond
まだ短いお知らせ程度の内容しか掲載されていません。以下トップページの日本語仮訳です。短いものですが、それでも「ちょっとこれはどうなの」という部分がテーマ以外にも多々あると思います。適訳があればお知らせください。
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コミュニティ、臨床医、資金提供分野の指導者が一堂に会するこの刺激に満ちた分野横断的会議にご参加ください。会議のテーマは『力を合わせていこう-2020年およびその先に向けた成果、障壁、展望』です。
1 アジア太平洋地域におけるHIVとエイズに対応し、成果に向けた可能性と課題を把握するためにコミュニティはどのように活動できるのか。
2 臨床医など保健医療提供者が、エビデンスに基づき、質の高い予防と治療を提供するには、どのような能力を強化する必要があるのか。
3 各国政府や市民社会のステークホルダーを含め対策に責任を持つ人たちが、2020年中間目標とその先を見据え、資金の確保と実現可能な環境を実現するには何が必要か。
そして、アジア太平洋地域が抱える課題の解決には、どのような協力が必要なのか。
このウエブサイトの更新を常に参照してください。最新情報を掲載します。
アジア太平洋地域は2020年の高速対応目標に大きく後れを取っています。成功例はまだわずかであり、しかも、ばらつきがあります。世界の中でも最も急速、かつ爆発的に流行が拡大している地域の一部も含まれています。ICAAPは対策推進の触媒になることを目指すと同時に、その実施を妨げる障壁の打破に向けた議論や行動も重視しています。
We invite you to join us at this exciting multidisciplinary conference which will bring together leaders from the community, clinicians and funders.
The conference will explore the theme “Getting our act together –progress, barriers and opportunities for 2020 and beyond”.
1. How can communities fully engage in the sector response to identify, solve and act on challenges and opportunities to achieve significant gains in the response to HIV&AIDS in Asia and the Pacific regions?
2. How can clinicians and other health service providers build their capacities to properly implement high quality and evidence based impactful state of the art prevention and treatment interventions?
3. How are responsible duty bearers including governments and civil society stakeholders held accountable to ensure that both resources and an enabling environment to solve inaction to achieve the interim fast track goals set for 2020 and beyond?
And how, together can we collaborate on and explore solutions to act to get the job done in the Asia and Pacific regions?
Make sure you refer to this website for regular updates. More information will be added to as it becomes available.
The Asia and Pacific regions seriously lag behind in the progress to the interim 2020 fast track goals with few success and very uneven distribution of achievements. The regions also host some of the fastest growing and most explosive epidemics globally. ICAAP will act as a catalyst but also focus for dialogue and action to resolve some of the barriers to implementation.