「結核に関する国連総会ハイレベル会合」に向けて記者ブリーフィング

ニューヨークの国連本部では926日(水)に「結核に関する国連総会ハイレベル会合」が開かれます。とはいえ、いったい何の会議?と思われる方もきっと多いでしょうね。実は私も重要な会議だということは承知しているのですが、その重要性の中身について突っ込んで尋ねられると、しどろもどろになってしまいます。

困ったなと思っていたら、日本記者クラブで「結核に関する国連総会ハイレベル会合」に向けた記者ブリーフィングが開かれました。付け焼刃の知識で恐縮ですが、結核のハイレベル会合の概要についてとりあえず紹介しましょう。

このブリーフィングはアフリカ日本協議会、日本国際交流センター・グローバルファンド日本委員会、結核予防会、ストップ結核パートナーシップが主催しました。国内および世界の結核の概況、日本における外国生まれの結核患者の動向と課題なども、それぞれの専門家から報告されましたが、そちらについては後日、改めて報告するとして、今回は主に外務省国際保健政策室の鷲見学室長による説明をもとに「結核に関する国連総会ハイレベル会合」とはどんな会議なのかをまとめてみました。

私の理解不足による思い違いがあるかもしれません。おかしいなと感じられるところがありましたらご指摘ください。言い訳兼前置きが長いですね。夜も更けてきたし急ぎましょう。

まずハイレベル会合とは何かというと、各国の大統領や首相といった首脳級の政治指導者が集まる会合です。めったには開けません。したがって今回は国連総会の通常会期がスタートするこの時期にまるまる1日を結核の討議にあてているわけですね。

目的は「2030年までに結核を終焉させる意思を示す」ということにあり、そのための首脳級宣言が採択できるよう現在、国際間の交渉が進められています。

この交渉については、今年1月からアンティグア・バーブーダ国連大使とともに日本の別所浩郎国連大使が共同ファシリテーターになり、NGOの事前ヒアリングや各国議員レベルの会合も含め、全加盟国が合意できる宣言案を作るための意見集約に尽力を続けています。

首脳級の会合が開かれる前にはだいたい1年前に担当閣僚(結核なら保健大臣)による会議が開かれるそうで、今回は昨年111617日にロシアで開かれたモスクワ会議(持続可能な開発時代のもとでの結核終結に向けた第1WHO閣僚会議)がそれに相当します。この時のモスクワ宣言については、私が仮訳を試み今年210日、HATプロジェクトのブログに4回に分けて掲載しました。あくまで参考ですが、時間を持て余している方はご覧ください。

https://asajp.at.webry.info/theme/048c3cc77a.html

 

 ハイレベル会合の宣言もこのモスクワ宣言がベースになるのでしょうね。ただし、各国間の調整はさすがに一筋縄ではいかず、最終草案が固まるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、想定されるポイントは以下のようになります。

 ・結核対策の実施強化

 ・持続可能な結核対策の資金

 ・研究開発の強化

 ・結核対策の進捗をモニターする仕組み

 ところでなぜ、いま結核でハイレベル会合なのかということも説明しておく必要がありますね。それは次回、近日中にお届けします。乞うご期待。