国内のHIV感染者・エイズ患者報告数について厚労省エイズ動向委員会がつい先日、は昨年1年間の確定値を発表したばかりですが、今年に入ってからも報告の減少傾向は続いています。
東京都が昨日、発行したメルマガ東京都エイズ通信の第132号を見ると、今年1月1日から8月28日までの報告数が集計されています。
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平成30年1月1日から平成30年8月28日までの感染者報告数(東京都)
※( )は昨年同時期の報告数
HIV感染者 227件 (252件)
AIDS患者 43件 ( 64件)
合計 270件 (316件)
HIV感染者数、AIDS患者数ともに昨年同時期を下回っています。
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報告数の合計で比較すると46件(約15%)の減少です。最近の傾向を見ると、2014年には514件でしたが、2015以降の3年間は435件、464件、464件と400件台の半ばで推移しています。(東京都エイズニューズレター)
今年は・・・といった予測は時期尚早かもしれませんが、300件台になる可能性もありそうです。
大づかみにいえば、東京都の報告数は全国のほぼ3分の1です。その増減は全国の傾向にも大きく反映されるでしょう。逆にいうと、東京の減少に隠れて東京の外に目を転じると実は増加傾向を示している地域もあります。国内全体の動向だけに目を奪われていると、それが分かりにくくなってしまうかもしれません。紋切り型の指摘で恐縮ですが、それぞれの地域の現状を把握し、その事情に即した対応を進めていくことが、動向委員会報告レベルでの減少傾向時代に入ったとすれば、ますます大切になります。
また、東京都内の減少傾向についても、何がその要因となっているのかを把握し、いま機能しているものについては「もうそろそろいいだろう」と手を抜いてしまうのではなく、減少傾向とはいえ新規HIV感染報告は報告ベースでさえすでに200件をこえている(月平均にすると30件近い)事実を直視する必要があります。効果が認められるものには持続的な施策を展開していくこと、そして、予防のためのサービスが十分に届いていない人口集団や年齢層、地域などの特性を把握し、そこにいる人たちと協力して予防と支援の対策をきめこまかく進めていく戦略眼がますます求められそうですね。