『時代の流れをつかみ、最大限の成果をあげる』 エイズと社会ウェブ版275

 

 世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)のマーク・ダイブル事務局長の離任演説(日本語仮訳版)がグローバルファンド日本委員会の公式サイトに掲載されています。 

fgfj.jcie.or.jp

ダイブル氏は米国の医師、行政官で、米大統領緊急エイズ救援計画(PEPFAR)を統括する米グローバル・エイズ調整官(国務次官補級)などを経て、20131月、グローバルファンドの事務局長に就任。リーマンショック2008年)後の資金難の時代を乗り切り、グローバルファンドを国際保健分野でもとりわけ高い成果をあげる組織に立て直して今年531日に退任しました。

 離任演説では現状を『エイズ結核マラリアの流行を終わらせるための大きな転換期』ととらえるとともに『転換期とは、成功と失敗のどちらに転ぶか分からないということでもあります』と流行終結に対する安易な楽観論を戒めてもいます。演説のタイトル通り『時代の流れをつかみ、最大限の成果を上げる』ことができるかどうか、成否はまさに、これからの数年間(日本でいえば東京オリンピックパラリンピックが開かれるあたり)にかかっています。

『世界中が相互に深く結びついている現代の社会では、他の人が安全でないのに、自分が安全でいることなどできません』

繰り返し指摘されてきたことではありますが、地球規模の感染症対策の最前線で闘ってきた指揮官の最後の言葉は、改めて肝に銘じておく必要があります。

なお、グローバルファンドの次期事務局長の選出は今年秋になる見通しで、それまではマライケ・ヴェインロクス官房長が事務局長代行を務めています。