報告から何を読み取るか 東京都エイズ通信第112号

 メルマガ東京都エイズ通信の第112号が発行されました。今年の最終号ですね。12月18日までの都内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数が掲載されています。昨年は報告数が減少していましたが、今年はまた増加に転じているので、ここ何年かの傾向でいえば、横ばいの状態が続いているといえそうです。

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平成28年1月4日から平成28年12月18日までの感染者報告数(東京都)
  ※()は昨年同時期の報告数

   HIV感染者     356件 (345件)
   AIDS患者       95件 ( 68件)
    合計        451件 (413件)

 HIV感染者数、AIDS患者数ともに昨年同時期を上回るペースで報告されています。

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 報告数は12月18日までとなっているので、今日までの10日間にまた少し増えるかもしれませんが、大きな流れで言えば、なんとかこの状態を維持し、さらに減少に転じることができるかどうか。東京オリンピックパラリンピックの開催を3年半後に控えていることもあり、首都のエイズ対策も正念場です。
 来年は東京でエイズ学会が開かれるので、話題として取り上げられる機会も増え、その結果として検査を受ける人が増えれば、感染報告の数字がさらに増加することもあり得ます。報告の数字はあくまで報告ベースのデータであり、実際の感染の趨勢を示す者ではありません。ただし、経年的にたどっていけば、ある程度の方向性は見えてくるのではないかと考えることもできそうです。

 当たらずといえども遠からず。素人考えではそんな印象も受けますが、専門家の皆さんが分析すると、どんな評価になるのでしょうか。おりしも厚労省ではエイズ予防指針の改正に向けた検討が進行中。単に報告が増えたか減ったかということだけでなく、そうした要因を含め現状をどう評価するかということも課題の一つになります。