水ももらさぬカゴの結束 第23回国際エイズ会議ロゴ エイズと社会ウェブ版190

 第21回国際エイズ会議(AIDS2016)は2016年7月17日から22日まで、南アフリカのダーバンで開かれます。会議の公式サイトに載っている最初のメディアリリース(2014年10月27日付)はタイトルが・・・。

「国際エイズ会議が2016年、ダーバンに戻ってくる」

 あっ、そうか!と、ここで突然、気付いたりするのは少々(というか大々的に)わざとらしいと我ながら思いますが、ダーバンと言えば、2000年7月に第13回国際エイズ会議が開かれた都市です。15年前のあのダーバン会議はアフリカ初の国際エイズ会議であり、テーマは「沈黙を破れ」でした。黙っていたら見捨てられていく。その危機感と怒りが迫ってきます。

 

ダーバンまで行ったわけではないので、参加した人からのまた聞きですが、ザッキー・アハマット率いる治療行動キャンペーン(TAC)が抗レトロウイルス治療へのアクセスを求めて果敢な街頭デモを行い、低中所得国におけるHIV治療普及の大きな流れを切り開く契機となった記念すべき国際エイズ会議です。いま振り返って見ると、その1週間後に開かれた九州沖縄サミットとあわせ、2000年7月はエイズ対策史上、画期的な月でしたね。

 したがって、南アフリカにとっては、国際エイズ会議が「ダーバンに帰ってくる」ということは、オリンピックなど目じゃないくらいに重要なことです(たぶん)。そういえば来年は伊勢志摩サミットの年でもあるので、日本の積極的平和主義の存在感をHIV/エイズ分野で大いに示してほしいと個人的には思うのですが、どうなりますか。

 HATプロジェクトでは今年1月、新しい方のダーバン会議であるAIDS2016の公式サイトから、ロゴデザインの募集案内を日本語に訳して紹介しました。

 http://asajp.at.webry.info/201501/article_1.html

 ちなみに公式サイトのURLはこちらです。ロゴはすでに決定しており、ばんばん使われていますね。

 http://www.aids2016.org/

 

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  サイトのロゴ決定のくだりも日本語仮訳で以下に紹介しておきます。

 

受賞者:ジョン・ハナワルト(30)米国

デザインコンセプト: ロゴはアフリカ各地で作られているかごの編み目に触発され、大胆な幾何学模様でエイズリボンを再現している。それぞれにユニークなかごであり、編むことは社会活動にもなっている。水を汲んで運べるようにきつく編まれているのだ。文化的、経済的な重要性に加え、このかごはコミュニティの結束力のメタファーでもある。

 

選考理由:アイキャッチングなデザインに加え、会議組織委員会は、かごが水を漏らさないほど堅く編まれていること、そしてコミュニティの結束力のメタファーであることに惹きつけられた。ロゴが表わしているものと同じで、HIVへの対応にもコミュニティ、指導者、科学の間の連帯と約束が大きな影響を与えてきた。AIDS2016は、流行を克服する道を切り開くこうした力と活動を讃える会議になるだろう。

 

 

Design Concept: The logo recreates the AIDS ribbon out of a bold geometric pattern inspired by the distinctively patterned baskets woven in many parts of Africa. Each basket is unique and the weaving of them is often a social activity. They are woven so tightly that they are able to carry water. In addition to their cultural and economic significance, the baskets are a metaphor for the power of a tightly woven community.

 

Selection: In addition to the eye catching design, conference organizers selected John's logo because they were attracted to the idea of the baskets being watertight and used as a metaphor for ‘the power of a tightly woven community’. This same sense of solidarity and commitment - from community, leadership and science - has had a powerful impact on the HIV response. AIDS 2016 will celebrate this power and work to forge new pathways to overcome the epidemic.