HIV感染を知る人の割合がキーポピュレーションではあまり高くない(UNAIDSデータから) エイズと社会ウェブ版520

takakunai  国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに掲載された調査データの紹介です。2020年末までに達成を目指していた90-90-90ターゲットの最初の90は、HIVに感染している人の90%が検査で自らの感染を知ることが目標です。キーポピュレーションの場合はその割合が60%台にとどまっています。 

www.unaids.org

 グラフと日本語仮訳を後ろの方に載せてあるので、参考までにご覧ください。

 日本ではどうなのか。もう少し普及率は高いように思いますが、それでも90%には達していないのではないでしょうか。

 データに詳しい方がいらしたら、お教えください。

 キーポピュレーションで検査の普及が進まないのはなぜなのか、どうすればいいのかということは、これまでさんざん議論されてきましたが、それでもなかなか普及は進みません。新型コロナウイルスの流行によりHIV検査の普及にどのような影響がどこまで及んでいくのか、この点もまだ把握しきれていませんが、状況が一段と厳しくなることは予想されています。

一般論になってしまって恐縮ですが、検査はだれのために必要なのかという基本を踏まえ、実施を妨げる様々な障壁に対応しながら、辛抱強く提供の機会を広げる努力をさぐり続けるしかないのでしょうね。

 

 グラフ

 HIV検査により感染を知った人の割合 キーポピュレーション別平均  2016-2019年

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 ・セックスワーカー(53カ国) 67.2%

 ・ゲイ男性など男性とセックスをする男性(68カ国) 66.5%

 ・注射薬物使用者 (39カ国) 61.9%

 ・トランスジェンダーの人たち(14カ国) 65.3%

 

  自らのHIV感染を知る人の割合がキーポピュレーションでは比較的低い(UNAIDSデータから)  2020年10月26日 

HIV感染の高いリスクに曝されているキーポピュレーションの間では、HIV検査普及のギャップが大きく、自らの感染を知る人の数は十分とは言えません。HIVの予防と治療にはHIV検査が不可欠です。感染が分からなければ、生きるために必要なHIV治療を始めることもできなくなってしまいます。

調査で得られたデータを分析すると、セックスワーカーおよびゲイ男性など男性とセックスをする男性の間では、世界平均でほぼ3分の2が、過去12か月以内にHIV検査を受けたか、以前にHIV陽性であることが分かっている人で占められています。HIVの場合それは、HIV陽性者のほぼ3分の1がいまなお、自らの感染を知らないでいるとみなければなりません。この検査ギャップは、注射薬物使用者の間ではさらに大きくなっています。こうした調査は、キーポピュレーションが利用しやすいサービスがあるところで行われることが多いので、検査の普及度を実際より多めに見積もってしまうおそれもあります。

 

 

 

 

 

Key populations have suboptimal knowledge of their HIV status

26 OCTOBER 2020

 

There are significant gaps in HIV testing among key populations at higher risk of HIV infection, resulting in suboptimal levels of knowledge of their HIV status. HIV testing is a critical gateway to HIV prevention and treatment services. Without knowledge of HIV status, people cannot access life-prolonging HIV treatment services.

Analysis of data from special surveys shows that, on average, about two thirds of sex workers and gay men and other men who have sex with men globally either had taken an HIV test and received the results within the past 12 months or had previously tested positive for HIV—meaning that about one third did not know their HIV status. This testing gap was even larger for people who inject drugs. These surveys are often conducted where key population-friendly services are available and may overstate overall testing coverage.