トランプ米大統領意中の人ということで・・・世銀新総裁就任 エイズと社会ウェブ版382

世界銀行のデイビッド・R・マルパス新総裁が49日、就任しました。任期は2024年までの5年間です。president.worldbankgroup.org

 

 

 世銀の総裁は前任のジム・ヨン・キム氏が今年2月に任期半ばで辞任したことから次期候補者の公募が行われ、314日の公募締め切り時点で名乗りを上げたのはトランプ米大統領が指名した米財務次官(国際問題担当)のマルパス氏だけでした。つまり、他に選択肢はなく、新総裁はその段階でもう確定していたわけですね。45日にワシントンで開かれた理事会で正式に選出された時にも全会一致だったそうです。

 透明性が確保された選出プロセスということではあるのでしょうが、トランプさんの意中の人に対抗する候補者は結果としていなかった。世銀総裁のポストはやっぱり米国の指定席だったということで、う~ん、なんだかなあという印象もまたぬぐえません。

 キム前総裁も韓国系米国人でオバマ政権当時に就任しています。ただし、21世紀の初頭には世界保健機関WHO)で3by52005年までに300万人にHIV治療を提供する計画)という画期的なプロジェクトの推進役を果たすなど、もともとは保健、開発分野で活躍する医学者でした。それまでは財務や金融畑から選ばれるものと思われていた世銀のトップとしては、異色の人選だったといっていいでしょう。

それに比べると、新総裁は「アメリカファースト」を掲げる大統領の意中の人であり、なおかつ米国の財務次官からの転身です。米国以外からは名乗りを上げる候補者が皆無という極めて分かりやすい「透明性」の経緯も含め、時計の針が大きくもとに戻ってしまったような印象でもあります。

ま、これから活躍が期待される方に先入観のみでものを言うことは慎みたい。中国への対応に関しては、できれば凄腕を発揮してほしいなあという思いもあり、マルパスさんでよかったと言えるような活躍を期待したいですね。