世の中の関心が政局一色になるような時期はこれまでにも何度もありました。そのたびに、これまた何度も書いてきたのでお題目のようになってしまいますが、どんなに大きなニュースがあっても、HIVというウイルスは「世の中も忙しいようだから、それじゃあ、しばらく感染するのは控えておこうか」などと考えたり、希望に翻弄されたり、解散総選挙に遠慮したり・・・というようなことはありません。感染の条件が成立したときに感染するという極めてシンプルな行動原理のもとに動いており、だからこそ逆にもろもろの社会条件が流行の動向を左右することになります。
出るのか、出ないのか、やめるの? やめないの?・・・とざわざわした職場環境で日常業務をこなすめぐりあわせになってしまった東京都職員の皆さんにはご同情申し上げますが、業務の遂行は粛々と進めていただく必要があります。
・・・ということで、あ~あ、今日も前置きが長くなってしまいました。申し訳ありません。東京都メルマガ「東京都エイズ通信」の第121号が発行されました(それが言いたかったの?)。
今年1月2日から9月24日までの都内の新規HIV感染者・エイズ患者報告数が掲載されています。( )は昨年同時期の報告数です。
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HIV感染者 273件 (276件)
AIDS患者 69件 ( 82件)
合計 342件 (358件)
HIV感染者数は昨年同時期と同程度、AIDS患者数は昨年同時期を下回っています。
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昨年同期との比較で言うと、8月までは、HIV感染者報告は今年の方が多く、エイズ患者報告は昨年の方が多い(つまり今年の方が少ない)というかたちで推移し、合計では今年の方が多くなっていました。
しかし、9月までの集計では、感染者報告、患者報告ともに昨年より少なく、したがって報告数の合計も昨年より減っています。報告から推定される流行の同行は、横ばいの状態が依然、続いているのか、それとも減少のトレンドに転換しつつあるのか。そうだとすると、それはT as P(予防としての治療)の成果なのか、もう少し様子を見る必要があります。