「当面」がちょっと引っかかるけれど・・・。グローバルファンドに8億ドルの拠出

 世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)の第5次増資(2017~19年)に対する日本の拠出額は8億ドルとなります。ドルベースで見ると、第4次増資(2014~16年)と同額ですが、円ベースでは46%の増額ということです。3年前はそれだけ円高が激しかったということでしょうね。

 グローバルファンド生みの親と言われ、今月26、27日の伊勢志摩サミット議長国でもある日本としては今回、かなりがんばった金額として評価できそうです。参考までにグローバルファンド日本委員会のサイトを紹介しておきましょう。

fgfj.jcie.or.jp

 この金額は安倍晋三首相が20日、首相官邸で開かれた第1回「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合」で伊勢志摩サミットに向けた開発分野の国際貢献策を明らかにする中に含まれています。外務省のサイトにはPDF版資料「G7伊勢志摩サミットに向けた我が国の主な貢献策」が同日付でとしてアップされているので、こちらも参考にしてください。
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000158289.pdf

 この資料によると、1中東地域の安定化のための協力、2国際保健、3女性の活躍推進、の3点が「G7議長国としての具体的貢献策」の柱です。国際保健分野に関しては『感染症対策,保健システム強化を通じたUHCの推進への貢献,予防接種の推進,日本企業による創薬等を推進するため,国際保健機関(グローバルファンド,Gavi,GHIT等)に対し,総額約11億ドルの支援を実施(特にグローバルファンドについては当面8億ドルの拠出を目指す)』と書かれています。

 『特に』とグローバルファンドを強調している点は大いに評価したいところですが、その後の『当面8億ドル』という奥歯にもののはさまったような書きぶりは少し気になります。

 『当面』を素直に解釈すれば、とりあえず8億ドルの拠出を約束しておくけど、後でもっと出す用意もありますよという意味なのかと思ってしまいますが、どうもそういうことではなさそうです。むしろニュアンスとしては逆で「8億ドル拠出することはするけれど、2017年から19年までの3年間で支払うとは限りませんよ」と期限をぼやかす意味での「当面」のようです。

 日本経済の先行きがどうなっちゃうかも予測しにくいご時世ですから、明記してしまうことにはためらいがあったのでしょうか。「3年以内に必ず」というのはいま、政府関係者にとって禁句なのかもしれませんね。

 しかし、日本は昨年12月に東京で増資準備会合を主催するなど、来年から3年間のグローバルファンドの増資に関しては主導的役割を担っている国です。この期に及んで拠出時期をあいまいにして含みを残しておくようなやり方はどうなんでしょうか。国内的には「日本は堅実だから」みたいな言い訳が成り立つのかもしれませんが、国際的には往生際が悪いという印象を与えかねません。ここは「2017年から19年までの3年間に」というメッセージをきちんと示せるようにしてほしいですね。