名残は尽きませんが、SANKEI EXPRESS休刊に伴い、連載コラム【鎌倉海びより】も本日(3月29日)付で終了となります。先日、一足先に最終回を迎えた【湘南の風 古都の波】ともども、長い間のご愛読ありがとうございました。
【鎌倉海びより】126 わが内なる海辺を取り戻せ
http://www.sankeibiz.jp/express/news/160329/exg1603291000001-n1.htm
東日本大震災からはすでに1年が経過していた。それでもまだ、どこかに海辺を避ける意識が残る…。この連載がスタートしたのは2012年4月である。それまでの1年は、被災地から遠く離れた鎌倉でも、海辺を歩く機会がめっきり減っていた。
これはまずい。冬は寒いので、砂浜に出る機会はもともと少ない。
でも、春になったら話は別だ。わが内なる忌避感を克服し、海を取り戻さなければならない。大げさに言えば、そんな意図のもとに連載を開始した。暮らしは低く、思いは高く…というか、まあ、よく続きました。今日、最終回で126回目です。
春分の日をはさむ今年3月の3連休は、残念ながらあまり好天に恵まれずに終わったが、それでも由比ガ浜海岸にはたくさんの人が繰り出していた=写真。
マリンスポーツを楽しむ人、犬を散歩に連れる人、ぼんやりと海を見ていたい人。みんな表情が明るい。そもそも海辺の魅力は…などと改めて説明する必要もなさそうですね。子供たちはもう、裸足になって波打ち際を走り回っている。
連載が続いていた4年間、鎌倉にもいろいろなことがあった。世界遺産登録は残念ながら失敗に終わった。国際社会は何をしているのだと、かつて国連担当記者だった私などは怒り心頭だったが、おじさんが怒ってもどうにもなるまい。いつか再チャレンジの日が訪れることを期待しよう。
鎌倉の海辺は映画やTVドラマにもたびたび登場した。作品の評判が高いと、近くに住んでいるだけで、ついうれしくなる。海水浴場の風紀の悪化が批判されることもあった。こちらはいま信頼回復の途上にある。試練を通し、より魅力的で新しい海水浴場像が生まれることを期待して連載の最後のごあいさつとしたい。