鎌倉の海のまもり鳩 二代目参上

 どういうわけかこの2、3年、マナーが悪いとか、雰囲気がひどく荒れているといった批判を受けていた鎌倉の由比ガ浜海水浴場に、「これではいかん」ということで巨大な「まもり鳩」が登場しました。由比ヶ浜と材木座の海岸を分ける滑川の河口に登場した高さ3.3メートルの巨大砂像です。ん?海岸に人が集まっていますね。

 

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 鎌倉の海水浴場のマスコットである「まもり鳩」が巨大な龍の背中に乗っています。実は写真の鳩は二代目です。初代は梅雨明け直後、同じ場所に作成されました。こちらです。

 

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 ご覧のように見事な姿でしたが、なにせ砂の像です。しかも、風波寄せ来る海岸にあります。雨にも打たれます。日がたてば当然、崩れてきます。このため、8月に入っていったん取り壊し、1週間かけて二代目が作成されました。ふだんは鎌倉の仏像彫刻などに取り組む彫刻家の作品です。道理で。素晴らしいできばえですね。

 8月9日(日)、つまり本日午後3時40分から由比ヶ浜海水浴場で二代目の完成を期して記者会見が行われました。東京で連続猛暑日を記録した8日間よりはずいぶん過ごしやすくなったとはいえ、砂浜の会見は、熱中症に気を付けようが座右の銘の高齢層には少々きつかった・・・。鎌倉の海のまもり鳩砂像制作委員会の林正嗣代表、滑川海浜組合の小西美恵子組合長、由比ガ浜茶亭組合の増田元秀組合長、そして鎌倉の海水浴場のネーミングライツを持つ豊島屋の久保田陽彦社長の4人の記者会見は、ぐっと圧縮してまとめれば(すいません)、「誰もが安心して楽しめる海水浴場にしたい」という思いがこの砂像には込められています、ということでしょうか。

 プロジェクトの主体は鎌倉で様々な企画に取り組むカマコンバレー有限責任事業組合の有志ということで、林さんもその一人なのでしょうね。海水浴場を愛し、誇りに思う人たちだからこそのアイデアはかなり大きな波及効果を生み出しているようです。最初の写真をもう一度、見て下さい。なぜ、人が集まっていたのか。灼熱の砂浜を匍匐前進(まさか)でぐぐっと近寄ってもう1枚。

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 まもり鳩の砂像の前では、鎌倉市内の覚園寺浄智寺、仏日庵(円覚寺塔頭)、極楽寺明王院の5寺院8人のお坊さんが午後4時過ぎから開眼法要を行いました。海の安全を願い、誰もが楽しめる海水浴場にという呼びかけに宗教界が呼応する。この何と言うか、インクルーシブなエクステンションこそが、イノベーティブなエンパワメントといいいますか・・・いきなりカタカナだらけになってすいません。こうやって誰かが何かをしたいと思って動き始めると、いろいろな立場の人たちが、それなら・・・と加わっていく。この感じがいいですね。

 記者会見で久保田社長は「鳩を使ってもらって、協力しないわけにはいきません」と話していました。分かる分かる。「鎌倉の海のまもり鳩」には砂像だけでなく、海水浴場のマナーを育むための様々な企画があるそうで、その一つが、下の写真のパトロールならぬ、ハトロール。

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 これから1日3回、砂浜を巡回して「砂浜で飲酒はだめっポ」などと海水浴場のルールを呼びかけるそうです。だじゃれもここまでくるとついつい、あっけに取られっポ、と受け入れてしまうものかもしれません。理解を超えた説得力に期待したいと思います。

 このほか、まもり鳩LINEスタンプというのも販売するそうで、「制作管理費を除く収益のすべてが海水浴場の環境保全、マナー向上の活動費になります」ということですが、そもそもおじさんはLINEすらやったことがなく、そのスタンプとなると想像を絶する世界でした。理解できる方はこちらをご覧ください。
 http://yuigahama.sos.gr.jp/sandart