HIV陽性の乳幼児が服用しやすい抗レトロウイルス薬が開発され、米食品医薬品局(FDA)がその薬を承認したということです。国内ではあまり話題になっていませんが、国際的にはかなり反響の大きな動きのようです。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は6月5日付で歓迎のプレス声明を発表しました。また、エイズ・結核・マラリアの治療へのアクセス拡大を目指す国際的資金メカニズム、UNITAIDも6月3日にプレスリリースを発表しています。
開発したのはインドのジェネリック製薬会社です。国際的に抗レトロウイルス治療の普及が強調されながら、実はこれまでは子供が服薬を続けられるような状態ではなかった・・・。
『インドのジェネリック製薬企業CIPLAが製造した抗レトロウイルス薬のロピナビル・リトナビル合剤の小錠剤は、子供の食事に混ぜて服用することもできる。熱にも強いので、とりわけ子供の治療には、これまでの薬より使いやすくなる』(UNAIDS、UNICEF)
『[子供のHIV陽性者のケアと治療へのアクセスを確保するための世界的な努力が続けられているにもかかわらず、2013年時点では、世界のHIV陽性の子供320万人のうち抗レトロウイルス治療を受けているのは80万人以下である』(同)
『これまで、この配合剤のシロップはアルコール分40%を含むとてもまずいもので、しかも冷蔵保存が必要でした。今のところHIVと共に生きる子供たちの4分の1しか治療を受けていないという肯定しがたい現状は、子供たち用の製剤がなかったことにも関係しています』(UNITAID)
えっ、そういうことだったの!?と少々、がっかりするような内容も含まれています。まだまだ、やるべきことがたくさんあるということでしょう。
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UNAIDSとUNICEFのプレス声明は私の日本語仮訳をHATプロジェクトに掲載してあります。
子供の生命を救うためのHIV治療の新製剤 UNICEFとUNAIDSがプレス声明
子供が服用しやすい小錠剤の抗レトロウイルス薬承認
http://asajp.at.webry.info/201506/article_2.html
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UNITAIDのプレスリリースはUNITAID Japanから送っていただいた日本語訳をHATプロジェクトのブログに再掲しました。
FDA-アメリカ食品医薬品局、子供たちに優しいHIV治療薬を承認 (UNITAID Information No.28から)
http://asajp.at.webry.info/201507/article_1.html