著名な劇作家であり、ニューヨークのゲイメンズ・ヘルスクライシス、ACT UP NYという団体の創設者でもあったラリー・クレイマー氏が肺炎のため84歳で亡くなりました。ニューヨークのメディアは現地時間27日に報じ、時差があるので日本に伝えられたのは28日になってからでしょうか。
恩讐を超えてといいますか、ACT UP NYの公式サイトに緊急の追悼声明が掲載されています。過去には喧嘩別れの状態になるなど、いろいろあったけれど、ラリー・クレイマーはラリー・クレイマー。偉大なレジェンドであります。
1990年代の半ばにACT UPのメンバーのジェームズ・ウェンジーに「ラリー・クレイマーとACT UPの関係はどうなっているの？」と尋ねたときには、「離婚した夫婦みたいなものかな」という答えでした。その後、長い時を経て関係は修復されたように思いますが、詳しいことは私には分かりません。
米東部時間28日午後8時から、ニューヨーク・マンハッタン7番街12丁目のニューヨーク市エイズメモリアル（こういう公園があることも知らなんだ）で追悼式と記念デモが行われ、世界中にライブストリーミングされるそうです。
時節柄、マスク着用、social distancingの集会になるようですが、それでも集まるというところにむしろ、ラリー・クレイマーの存在の大きさ、そしてパンデミックの拡大を許す勢力と闘い、様々な差別と闘いを続けることの重要さと切実さを感じます。
参考までに追悼声明と告知の日本語仮訳を作成しました。あくまで私家版の仮訳です。原文はACT UP公式サイトでご覧ください。
https://actupny.com/official-statement-upon-the-death-of-larry-kramer/
ラリー・クレイマー氏の逝去を悼むACT UP NY公式声明、および記念行進（5月28日、ニューヨーク市）告知
ACT UP ニューヨークの共同創設者であるラリー・クレイマーの訃報に接し、過去および現在におけるメンバーはひとしく、深い悲しみに沈んでいる。ラリーは1987年3月、政治的洞察力と激しい情熱、そして雄弁な怒りという特異な組み合わせによって、私たちの組織を立ち上げ、世界のエイズ活動家運動の原動力となった。
以後30年以上にわたり、ラリーは私たちの旗頭となり、私たちを鼓舞し、私たちと厳しく対立することもあった。
だが、良いときも、悪いときも、私たちはエイズ危機を終わらせ、犯罪的行為や無関心によって世界的な疫病が広がることに手を貸す権力の悪を打ち破るという目標に向けて前進を続けた。妥協することのない彼の正直さが、私たちをより大きな成果へと導いたのだ。
エイズの流行は終わっていない。ACY UPも、だ。ラリー・クレイマーを偲び、私たちはデモとロビー活動と抗議行動により、この疫病が広がることを許す勢力と闘い続ける。いまなお、このパンデミックの悪化させているホモフォビア、人種差別、女性差別、トランスフォビアとの闘いに立ち上がる。私たちは怒りとともに、そして最愛の同志の思い出のために前進を続けるのだ。
ニューヨークにおける追悼式と記念デモが5月28日米東部時間午後8時から7番街12丁目のニューヨーク市エイズメモリアルで行われる。このイベントはマスクを着用し社会的距離（social distancing）を取って）実施される。その模様はインスタグラム、フェイスブック、ツィターのACT UPNYページでライブストリーミングされる。ライブストリーミングに参加する人は、付属プラカードと#ThankYouLarryというメッセージのキャンドルともに写真を送ってください。
OFFICIAL STATEMENT UPON THE DEATH OF LARRY KRAMER AND NEWS OF THE MAY 28 MEMORIAL MARCH IN NEW YORK CITY
Members of ACT UP New York, past and present, pause in collective sorrow to acknowledge the passing of the group’s co-founder, Larry Kramer. Larry’s singular combination of political vision, fiery passion, and eloquent anger were the fuel that sparked our organization – and the start of the global AIDS activist movement — in March of 1987.
Over the next thirty-plus years, Larry was our beacon, our inspiration, and sometimes our nemesis. But through good times and bad, we moved forward in our quest to end the AIDS crisis and to identify and defeat the villains in power whose crimes or apathy allowed a disease to become a worldwide plague. His uncompromising honesty moved us to greater achievements.
The AIDS plague is not over. And neither is ACT UP. In memory of Larry Kramer, we will continue to demonstrate, lobby, protest, and fight the forces that allow this plague to flourish. We will stand up to the homophobia, racism, misogyny and transphobia that still aggravate this pandemic. We will move forward with anger and purpose in memory of our beloved comrade.
A New York City memorial service and commemorative demonstration will be held on Thursday, May 28 at 8:00 PM ET at the NYC AIDS Memorial, located on Seventh Avenue at 12th Street. The event will include mask-wearing and social distancing. We will be livestreaming on the ACT UP New York page on Instagram, Facebook and Twitter. People who are livestreaming are asked to post a photo with the attached placard and a candle with a message saying #ThankYouLarry.
