【鎌倉海びより】118 映画の町の女性たち

 2015年も残りわずかですねえ。今朝は北風が寒かった。和田塚駅まで歩いて4分なのですが、そのわずかな時間でも十分、寒い・・・。本日のSANKEI EXPRESSに掲載された【鎌倉海びより】です。

 

【鎌倉海びより】118 映画の町の女性たち

 11月のぽかぽか陽気が師走直前から真冬に一変した。寒風が吹き抜けると、この1年はどんな年だったのかと振り返る機会も増えてくる。

 鎌倉は春から夏にかけて「映画」で盛り上がった。江戸時代に駆け込み寺だった東慶寺が舞台の『駆け込み女と駆け出し男』、現代の4姉妹を描く『海街diary』がヒットしたからだ。

 とくに後者は、いまの鎌倉の何気ない風景があちらこちらに出てきて、現役鎌倉住民の心をすっと揺さぶっていく。

 近所の青果店のおじさんも、そのまんま店の主役でちらっと出演していた。

 単線の線路に無人駅。通勤でお世話になっている江ノ電和田塚駅(わだづかえき)も控えめに出てくる。鎌倉駅の次に停車し、海までは徒歩5分くらい。まさに海街の駅である。

 映画では夜の場面で4姉妹の長女が一人、駅を降りる。こんな感じだろうか。無人駅だけに、夜はどこか寂しげで、人恋しさが募る=写真。

 

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 懐かしさのあまり、映画の公式サイトをのぞいてみたら、第7回TAMA映画賞の最優秀作品賞・最優秀女優賞・最優秀新進女優賞、および第39回山路ふみ子映画賞の作品賞・新人女優賞を受賞したと出ていた。1年を回顧する映画賞がさらに発表されると、『駆け込み女と駆け出し男』ともども受賞のニュースが増えるかもしれませんね。

 11月26日には原節子さん死去の報が伝えられている。95歳。亡くなったのは9月だったという。

 42歳で引退した後は鎌倉で静かに暮らし、マスメディアにも一切登場しなかった。「伝説の大女優」と呼ばれた女性の私的な生活を妨げずにいた鎌倉という町を少し誇りに思う。