【鎌倉海びより】116 波が来なければ開かない


 伝説の波は今年もおあずけ。2013年の大会を見ることができたというのは大変なことだったんですねえ・・・と改めて感じました。10日付SANKEI EXPRESSの連載【鎌倉海びより】です。


【鎌倉海びより】116 波が来なければ開かない
 http://www.sankeibiz.jp/express/news/151110/exg1511101000001-n2.htm

 今年は春先から台風が多かった。世間の風にあおられてそんな感じがする…というわけではなく、鎌倉の海も例年になく「波高し」の印象が強かった。

 ただし、10月最後の1日はなぜか、海も穏やかでしたね。その昔、新田義貞が剣を投じて海を鎮めた稲村ガ崎も、夕方はこんな感じ=写真。

 

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 北風が頬に冷たいせいか、土曜日なのに訪れる人も少ない。市内の商店街は「どうなってんの」と思うほどハロウィーンの変装をした子供たちの姿があふれていたのに…。若いお父さん、お母さんたちの関心がひたすらTrick or Treatに集中してしまったのかもしれませんね。

 稲村ガ崎沖はふだん、それほど荒海という印象ではないのだが、たまに「伝説の大波」が訪れることで知られている。

 イナムラクラシックは、その伝説の大波がやってきたときにのみ開催される、これまた伝説のサーフィン大会だ。

 「これぞ」という波が来そうになると、地元の実行委員会が開催2日前から全国の名だたるサーファーに待機をかけ、サーファーたちはゴーサインが出るのを待つ。

最近では2013年9月26日に第2回大会が開かれている。その前の第1回は1989年。つまり24年間も待ち続けた。前身のナガヌマクラシック時代を含めても大会はまだ4回しか開かれていないという。

 今年は8月20日から10月20日までウェイティング期間が設定され、この間にふさわしい波が立つのをひたすら待った。台風の多い年だったので、「あるいは」という期待もあったが、開催には至らなかった。

 波が来なければ開かない。残念ではあるが、妥協を排するこの姿勢はむしろすがすがしくもある。お楽しみはまた、来年に残しておこう。