『非犯罪化の促進に向けた新たな法的原則』 エイズと社会ウェブ版641

 法学、法曹分野の専門家による国際NGOである国際法律家協会(ICJ)が国際女性デーの3月8日、各国の刑事法による不当な犯罪化に対し、人権を基盤として非犯罪化を促す新たな法的原則を発表しました。
 原則の発表にあわせ、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトにFeature story(特集記事)が掲載されているので、日本語仮訳を作成しました。API-Net(エイズ予防情報ネット)でご覧ください。
 《UNAIDS 非犯罪化の促進に向けた新たな法的原則を国際女性デーに発表》
https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet069.html
 『3・8原則と呼ばれるこの新原則は、セックス、薬物使用、HIV、性と生殖に関する健康、ホームレス状態、貧困に関わる行為を犯罪とみなす法律に対して、人権に基づくアプローチを採用し、見直す必要があることを示しています』

  

 すいません、画像は3.8原則の表紙ですが、日本語に訳したのは原則ではなく、特集記事の方です。原則そのものは分量も多いし、訳そうとするとかなり苦労しそうなので、悪しからず。その特集記事によると、3.8原則作成のきっかけとなったのは、ICJとUNAIDS、そしてと国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が2018年にワークショップを主催したことでした。『刑事法が人権にもたらす有害な影響に法律関係者はどう対処すべきなのか』が議論され、『裁判所や議会、アドボケート(政策擁護者)、検察官を支援し、人権に及ぼす法律の有害な影響に対処する』ための一連の法的原則をまとめることになったそうです。
 『さまざまな分野の専門家や利害関係者からのフィードバックとレビューに基づき、5年がかりでまとめられています』
 ずいぶん時間がかかった印象ですが、原則を確立するには必要な時間だったのかもしれませんね。
 「当初は、性と生殖に関する健康と権利、合意に基づく性的行為、性自認、性表現、HIVの非開示・曝露・感染、薬物使用および個人使用目的の薬物所持に対する刑事法の影響に焦点を当てていました。その後、市民社会など他の利害関係者の意見に基づき、ホームレス状態と貧困に関連する犯罪も含めています」
 いずれもHIVと大きくかかわりのある領域ですね。発表は国際女性デーにジュネーブで行われていますが、そういえば1週間前の差別ゼロデー(3月1日)にUNAIDSが掲げたキャンペーンテーマも『Save lives: Decriminalize(非犯罪化が命を救う)』でした。テーマ策定の背景には長い蓄積があったわけですね。そういうことだったのか・・・と浅はかにも今頃になって気づいた次第。
 ところで、一連の原則とはどんなものなのか。時間がかかりそうですが、今から英文のレポートを読んで勉強し・・・といっても、かなり大変そうなので、法律に詳しく、英語にも堪能な方がサクサクとお読みいただけるようならば、要点をかいつまんでお教えいただければ幸いです。