「キーポピュレーションの重視を」 国連ハイレベル会合に向けアジア太平洋地域から提言 エイズと社会ウェブ版566

 6月8-10日の「エイズに関する国連総会ハイレベル会合」に向けて、アジア太平洋地域のキーポピュレーションによる6つの域内ネットワークと各国のHIV/エイズ関連NGOが共同声明を発表しました。12項目の提言を中心とする声明の内容は、取りまとめの中心となった域内ネットワークの一つ、APCOMの公式サイトで見ることができます。

 https://www.apcom.org/unga-hlm-2021/

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 提言は英文ですが、日本から賛同団体に加わった特定非営利活動法人akta、特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が、国内でも広く認識を共有してもらうために日本語仮訳を作成しました。こちらはコミュニティアクションのサイトでPDF版をダウンロードできます。参考にしてください。

 アジア太平洋地域のキーポピュレーションにとって優先すべきニーズと課題の統合を意味のあるかたちで求める エイズ終結に関する2021年政治宣言に向けた提言』 

 http://www.ca-aids.jp/features/284_keypopulation.pdf

 

 APCOMサイトの紹介文によると、提言は策定プロセスの最終段階である4月28、29日に開かれた2つのウェビナーの参加者66人とオンライン調査の対象となった59人の意見を踏まえたうえでまとめられています。

 ウェビナーはAPCOMと国連合同エイズ計画(UNAIDS)アジア太平洋地域事務所とアジア薬物使用者ネットワーク(ANPUD)が共催して開かれたようです。APCOM大使であるJVRプラサダ・ラオ元インド保健相(HIV/エイズ担当大使)、マイケル・カービー元オーストラリア最高裁判事(LGBTQIの人権担当大使)、ラツ・エぺリ・ナイラティカウ元フィジー大統領(パシフィック担当大使)を中心に討議が進められ、APCOM域内顧問グループのデデ・オトモ議長が閉会のあいさつを行いました。

 APCOMのミッドナイト・プーンカセトワタナ事務局長は「アジア太平洋地域のキーポピュレーションが集まり、大きなノイズ(声)を上げることができました。この地域の新規HIV感染の98%がキーポピュレーションとそのパートナーで占められているという恐るべき事実に対処するには、対策資金の32%をキーポピュレーション主導の対策に投資する必要があります」と述べています。

 声明はANPUD、APCOM、APN+(アジア太平洋HIV陽性者ネットワーク)、APNSW(アジア太平洋セックスワーカーネットワーク)、APTN(アジア太平洋トランスジェンダー・ネットワーク)、ユースリードの6つの域内ネットワークを含めた35の域内組織から承認を得ており、国連総会議長や国連事務総長、ハイレベル会合共同ファシリテーターらに提出されます。

 APCOMはゲイ男性など男性とセックスをする男性(MSM)の保健課題に焦点を当てたアジア太平洋地域の域内ネットワーク組織です。HIVに関連する活動を中心に出発し、セクシュアルヘルス、メンタルヘルス、薬物使用などにも活動の枠を広げてきました。また、差別、スティグマ、保健課題の犯罪化といった人権や法的課題にも取り組んでいます。