緊急ウェビナー『米国・バイデン政権がコロナ・ワクチンの特許免除を決断!』(参考情報)

 日本では子供の日であり、連休最終日でもあった5月5日、米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ大使(通商代表)による注目すべき発表がありました。新型コロナウイルス感染症COVID-19のワクチンについて、米国政府が世界貿易機関WTO)のTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)に基づく知的財産権保護の適用除外を支持するという内容です。

 経済や貿易に詳しくないので、私にはまだよく理解できていないのですが、平たく言えば、欧米の巨大製薬企業が握っているコロナ・ワクチン特許の独占権を一時的に外すことで、世界のワクチン製造、供給能力を拡大し、途上国などが安価なワクチンを得やすい条件を整えようという試みです。

 ・・・と自分で説明を試みたものの、まだ咀嚼しきれていません。この問題については、アフリカ日本協議会の稲場雅紀さんが以前から積極的に国際的な情報収集と国内における発信を続けてきました。

 2020年10月にインドと南アフリカWTO知的財産権理事会に提案し、100カ国以上の途上国、新興国が賛成していました。ただし、米国や日本、そして欧州の先進諸国は反対の立場をとっており、対立が続いていたということです(ちゃんとフォローしていなくてすいません)。

 米国が今回、支持に転じたことで、国際社会の議論の趨勢は大きく賛同に傾いていくことになりそうです。日本はどうするのか。私のような高齢者で、ワクチンまだなの!?と思いつつ待っている身には、少々、悩ましい課題でもありますが、日本の分を途上国に回せということでなく、世界で広く必要な人にワクチンが届けられるようにする条件を整えるわけですから、実は私が早くワクチン接種の順番が回ってきてほしいと思う気持ちと対立したり、矛盾したりするものでもなさそうです(いまは、おとなしく待っているだけだし)。

 タイ大使の声明には次のような指摘もあります(あくまで私家版の仮訳ですが、最後に声明全文の日本語仮訳も紹介しておきますので参考にしてください)。

 『米国政府の目的は、安全で効果的なワクチンをできるだけ多くの人にできるだけ速く届けることです。アメリカ国民へのワクチン供給は確保されていることから、政府はさらに民間部門、および考えられるすべてのパートナーと協力して、ワクチンの製造と流通を拡大する努力を続けていきます』

 国内でのワクチン普及の努力を国際的にも生かしていくという発想でしょうね。

 

 稲場さんからは明日5月8日13:00~15:00に【緊急ウェビナー】を開催するというメールをいただきました。タイトルはちょっと長いのですが、以下の通りです。

 米国・バイデン政権がコロナ・ワクチンの特許免除を決断!
すべての人への公正な医療アクセスを求めてきた国際市民社会の力
日本政府も今こそ、特許免除の判断を! 

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 残念ながら私は同じ時間帯に身内の四十九日法要があり、参加できません。アフリカ日本協議会のウェブサイトにもお知らせが載っているので、ご関心がおありの方は、こちらをご覧ください。参加無料、要予約です。

 https://ajf.gr.jp/webinar20210508/

 

 参考までに、以下、米通商代表部の5月5日付プレスリリースの日本語仮訳です。あくまで私家版なので、間違いもあるかもしれません。英文で確認してください。 

 

Covid-19のTRIPS免除に関するキャサリン・タイ大使声明

米国通商代表部 プレスリリース 2021年5月5日

 

ワシントン - キャサリンタイ米国通商代表は本日、バイデン-ハリス政権がCOVID-19ワクチンの知的財産権保護の適用除外を支持するとの声明を発表しました。

「いまは世界的な健康危機であり、COVID-19パンデミックという尋常ならざる状況のもとでは尋常ならざる対応が必要になります。政府は知的財産権保護の必要性を固く信じてはいますが、今回はパンデミックの早期終結に向けてCOVID-19ワクチンに対する権利保護の放棄を支持するものです。また、その実現に向けて世界貿易機関WTO)におけるテキストベースの交渉に積極的に参加します。ただし、コンセンサスベース(参加者すべての賛成)を交渉の基本とするWTOの特性、および問題の複雑さを考えると、この交渉には時間がかかるでしょう。

米国政府の目的は、安全で効果的なワクチンをできるだけ多くの人にできるだけ速く届けることです。アメリカ国民へのワクチン供給は確保されていることから、政府はさらに民間部門、および考えられるすべてのパートナーと協力して、ワクチンの製造と流通を拡大する努力を続けていきます。また、ワクチン製造に必要な原材料を増やしていく努力も続けていきます」

 

タイ大使からのツィート

 尋常ならざる状況のもとでは尋常ならざる対応が必要です。 

米国は、パンデミック終結のために、COVID-19ワクチンのIP(知的財産権)保護の放棄を支持しており、その実現に向けて@WTO交渉に積極的に参加します。

 

 

 

Office of the US Trade Representative Press Release

Statement from Ambassador Katherine Tai on the Covid-19 Trips Waiver

05/05/2021

 

WASHINGTON – United States Trade Representative Katherine Tai today released a statement announcing the Biden-Harris Administration’s support for waiving intellectual property protections for COVID-19 vaccines.

 

“This is a global health crisis, and the extraordinary circumstances of the COVID-19 pandemic call for extraordinary measures.  The Administration believes strongly in intellectual property protections, but in service of ending this pandemic, supports the waiver of those protections for COVID-19 vaccines. We will actively participate in text-based negotiations at the World Trade Organization (WTO) needed to make that happen. Those negotiations will take time given the consensus-based nature of the institution and the complexity of the issues involved. 

“The Administration’s aim is to get as many safe and effective vaccines to as many people as fast as possible.  As our vaccine supply for the American people is secured, the Administration will continue to ramp up its efforts – working with the private sector and all possible partners – to expand vaccine manufacturing and distribution.  It will also work to increase the raw materials needed to produce those vaccines.”

 

 

Tweet from @AmbassadorTai:

 

These extraordinary times and circumstances of call for extraordinary measures.

 

The US supports the waiver of IP protections on COVID-19 vaccines to help end the pandemic and we’ll actively participate in @WTO negotiations to make that happen.