音楽業界を中心にエイズ啓発活動に取り組んでこられたAAA(Act Against AIDS/アクト・アゲインスト・エイズ)が7月20日、27年にわたる活動に幕を下ろしました。公式サイトに『Act Against AIDS活動終了につきまして』というAAAの事務局と 松﨑澄夫代表によるお礼と報告の文章が掲載されています。
『もちろんエイズは依然としてこの世に存在し、日本でも新たな感染者が報告されています。しかしながら、私たちの活動がエイズについて考えたり、友人や家族、パートナーと会話するきっかけ作りとなる、と同時に日本における社会貢献活動の活性化にも、わずかながらでも寄与できたのではと考えています』
AAAが設立されたのは1993年7月20日でした。当時、私はニューヨークにいたので、日本からのニュースで設立を知り、「ほう、こんな動きが」と驚くとともに、「どこまで続くやら」というやや懐疑的な感想も持ったものです。
その懐疑は見事に外れたわけですね。もちろんエイズは続いています。でも、AAAの発足当時と比べれば状況は大きく改善されています。
音楽業界がその影響力をキャンペーンに生かしてこられたことが、HIV/エイズに対する理解を広げ、多くの人を勇気づけてきました。活動終了は残念でありますが、その功績は決して小さくありません。
私は1996年夏に帰国し、そのすぐ後で当時事務局長だった久野義治さんに昼食をごちそうになったことがあります。HIV/エイズについて是非、ご教授願いたいということで、調子に乗ってあれこれと講釈をたれた覚えがあります。
久野さんは大手レコード会社で敏腕を発揮され、引退後のいわばライフワークとしてHIV/エイズの啓発に取り組み始めたところで、私の見当はずれの発言にも、笑顔で「そうですか」とうなずいておられました。さすがに食えないおじさんだなあと思いつつも、その久野魔術に魅了され、エイズ&ソサエティ会議を通じて長くお付き合いさせていただくことになりました。
したがって、私にはAAAといえば久野さんという印象がいまも強く残っています。
活動は終了するものの公式サイトは11月30日まで残っているということなので、AAAのこれまでの活動、およびその成果についてはそちらをご覧ください。
久野さんをはじめ、AAAを通じて知り合うことができたたくさんの皆さんにこの場を借りて改めてお礼を申し上げます。長い間、本当にありがとうございました。