COVID-19臨床経過 高山さんの概念図が分かりやすい


 著名な臨床医であり、現在は厚労省新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策にあたっている高山義浩さんが、これまでの各種報告に基づき、「典型的な臨床経過」を概念図にまとめ、Facebookに公開されました。ほ~っと感嘆のため息をつきたくなるほど分かりやすく整理されています。
 ご本人から許可をいただきましたので、当ブログにも再掲載します。

 

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 高山さんのFacebookには、さらに分かりやすい説明も付されているのですが、アクセスできない方もいるので、僭越ながら私が理解できた部分を中心に紹介しておきましょう。

 
 まず、水際対策と今後の対応策について。
 『敵を知ることで、戦い方も見えてきます。そのための封じ込め(時間稼ぎ)でしたから、まずは発生初期における目的は達成したと言えます。次は流行の立ち上がりに向けて、個人、家庭、学校、施設、病院、事業者・・・ それぞれに必要な備えをとりましょう』

 (注:《まずは発生初期における目的は達成したと言えます》の部分は《まずは発生初期における目的に至ったと言えます》に訂正されたそうです。こちらの方がより実像に近いと思うので、私の書き込みも訂正してそれに揃えました)

 この一言だけでも気持ちがずいぶん落ち着きます。いままでは時間稼ぎ、つまり準備期間だったのだ。恐怖と不安で浮足立った状態を脱する意味でも重要な時間を稼いだといえるようになるかどうか。それは今後の対応次第ということにもなります。そのための準備期間でもありました。
 図にもあるように臨床経過は軽症と重症化の2パターンに分けて考えられます。
 『感染してから発症するまでの潜伏期間は5日(1-11日)ぐらいで、入院を要するほどに重症化するのは、さらに10日(9.1-12.5日)経ったころだと見積もられています。感染力が強いのは、発症から3~4日目ぐらいだと考えられていますが、重症化すると感染力も維持されて院内感染を引き起こしやすくなっています』
 圧倒的に多いのはおそらく軽症です。高山さんのざっくりとした印象で言うと『若者の重症化率と致命率は、ほぼゼロ%』、一方で高齢者の場合は『感染した高齢者の1割ぐらいが重症化して、1%ぐらいが死亡するのではないか』ということです。
 すでに私は高齢者の範疇に入っているので、1割とか1%とか言われても、意外に少ないねという感覚ではなく、肺炎にはなりたくないなあとどうしても思ってしまいます(40代のころNYで肺炎にかかり、入院せずに回復はしたもののけっこう苦しかったことがあります)。
 『というわけで、これから私たちは何をすべきか。もはや、流行を抑止することは主たる目的ではなくなってきました(やれることはやるべきですが)。むしろ、重症化する人を減らし、とくに新型コロナに感染して死亡する人をできる限り減らすことに力を注ぐべきです』
 たぶん1週間ぐらいの風邪でなおってしまう若い方も含め、どう対応したらいいのかも高山さんのFacebookには書かれています。やっぱり原文にアクセスしてもらった方がいいかなあ。お手数をおかけしますが、ぜひ探してみてください。
 それほど大変なことが必要なわけではなさそうですが、大変だなあと思う方もいらっしゃるかもしれません。私のような憎まれっ子ではない高齢者も世の中にはたくさんいらっしゃるので、風邪かなあと思ったら高齢者じゃない方も7日間、よろしくお願いします。
 『なお、風邪症状に過ぎないのに新型コロナかどうかを確認するためだけに、救急外来を受診することは避けてください。そこには、体調を悪化させたハイリスク者がたくさん受診しているのです。彼らへ感染させないように協力してください』
 この点も大切ですね。医療の提供体制が安定的に維持できるようにすること、本当に治療が必要な人が安心して治療を受けられることはいつも大事なのですが、いまはとりわけ重要です。少しずつの配慮、どうかよろしくお願いします。