恐るべきエディ・マジック オールブラックス3連覇ならず

 真っ先に伝えるべきなのは、イングランドが勝ったということか、それともニュージーランドが敗れ、W杯3連覇が消えたということなのか。よく分かりません。迷いますね。それほど、オールブラックスの強さは圧倒的に思えたのですが、負けるときは負けるものなのでしょう。ラグビーW杯の準決勝第1試合、イングランドニュージーランドの試合は26日午後5時から横浜国際競技場で行われ、イングランドが19-7でニュージーランドを破りました。

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 点差はわずか12点でしたが、イングランドFW陣の攻撃的防御の前にあの奔放なオールブラックスのプレーがことごとく(とまでは言えないものの、ほとんど)封じ込められ、終盤は打つ手なしの状態でした。

 え、もう知っている?

 そうでしょうね。日本代表はすでに準々決勝で姿を消しているとはいえ、にわかに盛り上がったW杯ラグビー人気は消えていません。

 本日もNHKが地上波で中継しました。視聴率も50%とは言いませんが、かなり高かったのではないかと思います。私の場合、本日は所用につき、朝から外出していたのですが、この一戦は見逃せないぞと思って大急ぎで自宅に戻り、午後4時48分ぐらいからテレビ画面にかじりついていました。

 どっちを応援していたかというと、これが微妙です。強いニュージーランドを見てみたい。その気持ちはもちろんありました。

 でも、このまま予想通りオールブラックスの優勝というのもなんだか・・・という感じでもあり、強いて言えばニュージーランド3連覇を阻む第二の刺客(第一は準々決勝のアイルランドでしたが返り討ちにあいました)イングランドに肩入れしたい気持ちの方が強かったかなあ(勝ち馬に乗りたがる性格は否定しません)。

 イングランドは立ち上がりから、果敢に攻め、鋭い前進で先制トライを上げました。ゴールも決めて7-0。これはエディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)のゲームプランだったのでしょう。

 ただし、このプラン自体にはとくに奇襲とか、秘策とかいうべき「けれん」があるわけではないのですが、元日本代表監督のエディ・ジョーンズ氏には「恐るべきエディ・マジック」とでもいいいたくなるような何かがあるのかもしれません。

 彼我の戦力を分析しつつ、打てるべき手を早めに打って流れを作る。どちらかというと正統的な選択肢の一つでしょう。それだけディフェンス陣の前に出る力に確信を置いていたのでしょうね。

 鍵を握るのは先制した後の戦い方です。なるべく相手陣でプレーをする。ディフェンスの早い出足とFW陣の強い当たりでニュージーランドが得意とするアンストラクチャーの混沌状況に対応し、湧き出るような攻撃の芽をこまめに摘んでいく。言うは易く・・・ですが、それを見事に具現化していました。

 この結果、相手の反則を誘うと確実にPKを決めて、セーフティリードに近づいていく。この戦い方が次第にニュージーランドの焦りを誘い、個人技と体力に優れた選手の多いオールブラックスも単発的な攻撃に走っては孤立してペナルティを重ねていく。そんな不本意な事態に陥っていったようです。

 イングランドのトライは結局、最初の一つだけ。あとはPKによる得点を積み上げ、常に比較優位の状況を崩さないようにしていました。もちろんFWの強さあっての戦術ですが、最初の思い切りの良さと、それに続く手堅さ。これがW杯、決勝トーナメントの戦い方の(すべてとは言いませんが、)一典型なのでしょうね。

 ニュージーランドもトライの数はイングランドと同じでした。それでも自分たちの持ち味を発揮しきれず、スコア以上に敗北感の強い試合だったのではないでしょうか。

 決勝は、明日の南アフリカウェールズ戦の勝者との対決になります。南アフリカが勝ち進んでくるのではないかという気もしますが、外れてしまうとみっともないので、予想は控えておきましょう。