『トランスジェンダー女性選手の決断』 エイズと社会ウェブ版416

 ラグビーのW杯日本大会は9月20日開幕ですね。つまり今週の金曜日、開幕戦は日本代表vsロシア代表。世界ランクでは日本の方が上ですが、ロシアFWはサイズも大きく力も強い。W杯出場チームともなれば、そもそも日本代表にとって楽に勝てる相手はありません。選手の皆さんには、キックオフからしっかりと前に出て、受けに回らないように初戦に臨んでほしいですね。
 ということで、世の中がラグビーで盛り上がっているときに恐縮ですが、現代性教育研究ジャーナルNo102(2019年9月15日発行)の連載『多様な性のゆくえ One side/No side』第29回は、熊本で11月30日に開幕するハンドボール女子世界選手権大会を取り上げました。12ページに掲載されています。

トランスジェンダー女性選手の決断』
https://www.jase.faje.or.jp/jigyo/kyoiku_journal.html#current_number

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《オーストラリア代表チームのハンナ・マウンシー選手はトランスジェンダー女性であり、2013 年の男子ハンドボール世界選手権では男子オーストラリア代表チームで出場している》
 実はハンドボール女子世界選手権大会が開幕する前日の11月29日まで、熊本では第33回日本エイズ学会学術集会・総会が開催されます。セクシュアリティにかかわる社会的な差別や偏見の解消は、HIV/エイズ対策の分野では極めて重要な課題です。
 一方、女子ハンドボールのオーストラリア代表は大会初日の30日にさっそく試合が予定されています。予選ラウンドのグループBでデンマークと対戦するのです。
 考えてみれば、今年のエイズ学会、そして12月1日の世界エイズデーは、2020年東京五輪を前にした最後のエイズ学会であり、世界エイズデーです。
 巨大スポーツイベントとセクシュアリティの課題は学会の会場でも当然、話題になるでしょう。
 《「オリンピックは参加することに意義がある」というクーベルタン男爵の言葉も現代的な文脈の中で再認識すべきではないか》
 全力を尽くして勝利を目指す。もちろん、トップアスリートにとって、この点は極めて重要です。そのことに疑問を挟みたいわけではありません。
 ただし、参加の枠組みをどうとらえていくか、競技の公平性と参加の多様性との兼ね合いをどうとらえていくか。スポーツと政治のかかわりも含め、この点も常に大きな課題であり続けています。
 セクシャリティに関して言えば、スポーツ界には一定の解決策も示されていますが、立場によってその受け止め方が微妙に異なっているようでもあります。

 参加の意義を否定して成り立つ競技はたぶんない。あれこれと情報を集めながら、私はそのように感じました。ただし、この点について誰もが納得できるような説明ができるかというと、その自信もまたありません。

 コラムの最後の3行はちょっと逃げたかなあ・・・という感じもあり、さまざまなご批判を受けることになるかもしれませんね。