スライド集でもUNAIDSと連携 エイズと社会ウェブ版411

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトには、年次報告書『Global AIDS Update』2019の特集ページが設けられています。

https://www.unaids.org/en/20190716_GR2019_communities

 その中の関連スライド集(SLIDE DECK)を日本語に訳し、先日紹介したキーメッセージとあわせてAPI-Netに掲載しました。

『主な流行推計スライド』

『流行の状況』

HIV検査から治療開始を経てウイルス量抑制に至るカスケード』

HIV予防のコンビネーションアプローチ』の4セットです。

http://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20190815

 参考までに、こちらはカスケードからの見本の1枚。90-90-90が達成できると、HIV陽性者の73%は体内のウイルス量が検出限界値以下となり、U=Uの状態を維持できるようになります。ただし、UNAIDSの推計に基づく世界の現状は53%です。なんとか半数を超えるところまでこぎつけたわけで、それだけでも大したものだと私などは思いますが、それでもなお90-90-90戦略は道半ばであり、2020年の目標達成はかなり厳しいと言わざるを得ません。

 ま、私の感想はともかくとして、世界の現状と課題を把握し、キーメッセージを理解するうえでも参考になるスライドがたくさん載っています。ぜひご覧ください。

 

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 HIV/エイズ対策に関しては国内で「もういいんじゃないの」的な気分が広がっている・・・というか、そういう感想を持つ機会すら失われているような印象を受けることが最近は増えてきました。

 流行の規模があまりにも違いすぎるので、遠い世界の話と思ってしまいがちですが、キーメッセージやスライドで情報を整理してみると、世界の課題と日本の課題はけっこうつながっているねと思うこともあります。2020年東京オリンピックパラリンピックを1年後に控えたいまは、そして、もうすぐラグビーW杯日本大会が開幕するいまは、とりわけそう思います。

 国境という壁を築いて、その壁の内側だけで対応が可能だと考えてしまう発想にウイルスは常に警鐘を鳴らし続けてきましたし、いまも鳴っています。UNAIDSの特集ページにもキーメッセージの時と同様、『This document is also available in Japanese (courtesy of API-Net)』ということで、リンクを張っていただきました。ささやかながら情報の壁を克服する試みではないかと自負する思いもあります。個人的には、このスライドの中の一枚、二枚でもいいから、活用できる人と機会があれば、どんどん活用していただけたらいいなあとも思っています。

 HIV/エイズ関連のシンポジウムや発表会などで日本語版のスライド集もしくはその一部の使用を希望される方は、お手数ですが公益財団法人エイズ予防財団にご連絡ください。 

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