キャンペーンフィルム『エイズ終結に向けた世界の指導者へのメッセージ』 TOP-HAT News第155号(2021年7月)  エイズと社会ウェブ版578

 

 6月のエイズに関する国連総会ハイレベル会合は、2025年エイズターゲットを盛り込んだ政治宣言を採択しました。今後5年間の世界のエイズ対策の方向性を示す重要な宣言なのですが、世界はいま新型コロナウイルス感染症COVID-19パンデミックの対応に追われ、あまりHIV/エイズパンデミックには関心が集まりません。日本ももちろん(という言い方は適切ではないかもしれませんが)、ほぼ無関心です。

 これではまずい・・・ということで、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が、世界の著名人の参加を得て、キャンペーンフィルム『エイズ終結に向けた世界の指導者へのメッセージ』を作成しました。

 TOP-HAT News第155号(2021年7月)の巻頭は、ハイレベル会合の政治宣言とキャンペーンフィルムの紹介です。

 《エイズ流行終結に本気で取り組むよう世界の指導者に求めるキャンペーンで、フィルムにはロックスターのエルトン・ジョン卿や女優のシャーリーズ・セロンさん、マリのコラ奏者トゥマニ・ジャバテさん、インドネシアの女優アティカ・ハシホランさん、サッカーの元フランス代表でFIFA 財団最高経営責任者ユーリ・ジョルカエフさんら趣旨に賛同する多数の著名人が参加し、メッセージを発信しています》

 残念ながらフィルムは日本語版がないので、7月1日に発表された際のUNAIDSのプレスリリースを日本語に訳しました。API-Net(エイズ予防情報ネット)でフィルムと合わせてご覧いただけます。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet052.html

 

 

 

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メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)

        第155号(2021年7月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに 『エイズ終結に向けた世界の指導者へのメッセージ』

 

2 『世界の対策 それぞれの活動』 お詫びと訂正

 

3  多言語で情報提供 H.POT(HIV multilingual info Japan)

 

4  研究班冊子『HIVや梅毒をはじめとする性感染症のすべてが簡単にわかる本』

 

5 COVID-19の流行による影響は? HIV予防連合が報告書

 

◇◆◇◆◇◆

 

1 はじめに 『エイズ終結に向けた世界の指導者へのメッセージ』

 国連総会のエイズに関するハイレベル会合が2021年6月8-10日に開かれ、初日の8日に国連加盟国の圧倒的多数による賛成で、新たな政治宣言が採択されました。

この会合は2001年6月の国連エイズ特別総会で採択されたコミットメント宣言以降の成果を検証し、同時に世界のHIV/エイズ対策の新たな方向性を打ち出すために5年に1度、開かれてきました。その4回目となった今回は、エイズ流行の40周年であると同時に、コミットメント宣言の採択からも20周年の節目であり、同時に新型コロナウイルス感染症COVID-19という新たな感染症パンデミックの真最中という時期に開催されています。

ニューヨークの国連本部では、世界中から多数の参加者が集まるのを避けるため、公式日程の全体会議、分科会とも各国代表団の出席人数を各1名に制限し、ネットによるバーチャル参加を大きく取り入れたハイブリッド開催となりました。

他の国際会議でも当分は、この方式が続くことになりそうです。

ハイレベル会合では初日(8日)の全体会議で新たな政治宣言に対する採決が行われ、加盟国の圧倒的多数の賛成で、2021年政治宣言が採択されました。

国連エイズ計画(UNAIDS)は採択当日、いち早くプレスリリースを発表し、『エイズ終結に向け、コミュニティや HIV に影響を受けている人たちが直面するすべての不平等を解消する新たな誓約を世界が採択』という見出しを付けています。エイズ予防情報ネット(API-Net)に日本語仮訳が掲載されているので、詳しくはそちらをご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet050.html

 これまでにも何度かお伝えしてきたことですが、世界のHIV/エイズ対策の「現在」を把握するため、簡単に2021年政治宣言の採択に至る背景を説明しておきましょう。

UNAIDSは、今後5年間の新たなHIV/エイズ対策のターゲット(2025年エイズターゲット)を昨年11月に公表し、今年3月にはその実現をはかるための世界エイズ戦略2021-2026を理事会で採択しています。

6月のハイレベル会合で採択された政治宣言では、2030年に(公衆衛生上の脅威としての)エイズ終結を果たすという持続可能な開発目標(SDGs)の約束を再確認するとともに、その約束の実現に向けた中間目標として2025年ターゲットと世界エイズ戦略2021-2026が全面的に承認され、日本も含む国際社会の共通目標となりました。

 ・・・とはいえ、政治宣言やそのプレスリリースの文章は、正確を期するために表現がかえって回りくどくなり、すんなり入ってこない印象もあります。ましてやCOVID-19パンデミックの最中です。ただでさえ「エイズはもういいだろう」という気分が広がりやすい状況の中で、宣言の採択には賛成したものの後は知らん顔といった国も出てきかねません。

UNAIDSもそのあたりが気になっていたのでしょうか。7月1日には、新たなキャンペーンフィルム(動画)『エイズ終結に向けた世界の指導者へのメッセージ』を発表しています。エイズ流行終結に本気で取り組むよう世界の指導者に求めるキャンペーンで、フィルムにはロックスターのエルトン・ジョン卿や女優のシャーリーズ・セロンさん、マリのコラ奏者トゥマニ・ジャバテさん、インドネシアの女優アティカ・ハシホランさん、サッカーの元フランス代表でFIFA 財団最高経営責任者ユーリ・ジョルカエフさんら趣旨に賛同する多数の著名人が参加し、メッセージを発信しています。4分余りのフィルムはUNAIDSのキャンペーン特設サイトでご覧ください。

https://endinequalitiesendaids.unaids.org/

残念ながら英語が中心で日本語字幕などはついていません。ただし、同時に発表されたプレスリリースには、参加した著名人のうち14人のメッセ―ジが(部分的にですが)、引用集として紹介されています。

そのプレスリリースの日本語仮訳を作成しました。API-NetでPDF版をダウンロードできます。

https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet052.html

そちらも参考にしながらフィルムを観ていただくと、どんなメッセージなのか、ある程度の感じはつかめるのではないかと思います。

 

 

2  『世界の対策 それぞれの活動』 お詫びと訂正

 東京都エイズ通信第166号(6月28日発行)のTOP-HAT News《1 はじめに 『世界のコミュニティ それぞれの活動』》の記事中、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告書『GLOBAL COMMITMENTS, LOCAL ACTION(世界のコミュニティ それぞれの活動)』について、UNAIDSの2021年版年次報告書として紹介しましたが、この報告書は年次報告ではなく、国連総会ハイレベル会合に向けた報告書でした。お詫びして訂正します。

 また、この報告書については、日本語仮訳版を作成し、タイトルを「世界の対策 それぞれの活動」(2021年ハイレベル会合に向けたUNAIDS報告書)と改めてAPI-Netに掲載しました。こちらでご覧ください。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/booklet051.html

 

 

3  H.POT(HIV multilingual info Japan)

 日本語を母語としないゲイ・バイセクシュアル男性のために、HIV/AIDSの基本情報をそれぞれの言語で分かりやすくまとめたウェブサイトです。2018年11月に開設されました。

 https://hiv-map.net/h.pot/

 中国語(簡体字繁体字)、韓国・朝鮮語タイ語、フィリピン語(タガログ語)、ベトナム語ネパール語スペイン語ポルトガル語、英語、日本語の11言語に対応しています。日本語サイトをみると、平易で分かりやすい表現が使われており、漢字にはすべてルビがついていました。

 

 

4 『HIVや梅毒をはじめとする性感染症のすべてが簡単にわかる本』

 厚労省HIV母子感染予防研究班が作成した34ページの冊子です。研究班では、若い人たち向けて、クイズ形式のリーフレット『クイズでわかる性と感染症の新ジョーシキ』も発行しています。

 どちらも、研究班の公式サイト、またはAPI-Net(エイズ予防情報ネット)のマニュアル・ガイドラインのページでPDF版をダウンロードできます。

 HIV母子感染予防研究班

  http://hivboshi.org/manual/index.html

 API-Net(エイズ予防情報ネット)

  https://api-net.jfap.or.jp/manual/index.html

 

 

5  COVID-19の流行による影響は? 世界HIV予防連合(GHPC)が報告書

 新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックによるHIV感染予防対策への影響について、世界HIV予防連合が報告書『新たなパンデミック期におけるHIV感染予防』をまとめました。

 HIV予防連合は2017年10月、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国連人口基金UNFPA)が中心になって結成しました。HIV予防関連の市民社会組織や国際組織などが参加し、HIVの流行によって、とりわけ深刻な影響を受けている28カ国に焦点を当てて対策に取り組んでいます。

UNAIDSの公式サイトには、報告書の概要を紹介するフィーチャーストーリー(特集記事)が掲載されており、COVID-19の流行によって予防対策の現場は極めて大きな混乱を経験してきたものの、サービス提供の工夫と改革により影響は最小限に抑えることができるとしています。フィーチャーストーリーの日本語仮訳をエイズソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに掲載しました。

https://asajp.at.webry.info/202107/article_1.html

 

 

 

こういう時期だからこそ、地道な努力を 東京都エイズ通信167号

 メルマガ東京都エイズ通信の第167号(2021年7月28日発行)が配信されました。新規HIV感染者・エイズ患者の報告数は、昨年同時期と比べると、HIV感染者報告が少し増加、エイズ患者報告数は減少という傾向は変わっていません。 

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 令和3年1月1日から令和3年7月25日までの感染者報告数(東京都)

  ※( )は昨年同時期の報告数

 HIV感染者      169件     (163件)

 AIDS患者        36件      (51件)

  合計           205件      (214件)

 HIV感染者数は昨年度より増加しているが、AIDS患者は昨年度よりも減少している。

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 新型コロナウイルス感染症COVID-19の新規陽性者報告が急増する中で、HIV/エイズ対策も苦しい状況ですが、検査を必要とする人に検査の機会を提供する工夫は一段と重要になります。

『都内保健所におけるHIV性感染症の検査・相談は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在休止しているところもありますので、ご注意ください』ということですが、東京都新宿東口検査・相談室では平日夜間、土日にもHIV検査が無料・匿名・予約制で受けられます。

 https://www.tmsks.jp/index.html

また、東京都多摩地域検査・相談室でも土曜日にHIV検査が無料・匿名・予約制で受けることができます。

 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/aids/kensa/tt_kensa.html

月並みな指摘で恐縮ですが、こうした時期だからこそ地道にやっていきましょう。

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https://www.mag2.com/m/0001002629

 

 

UNAIDS年次報告書2021『Confronting inequalities(不平等に立ち向かう)』 エイズと社会ウェッブ版577

 6月はついつい早とちりをしてしまいました。すいません。
 今度こそ、間違いありません。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の年次報告書2021『Confronting inequalities(不平等に立ち向かう)』が7月14日、発表になりました。公式サイトにプレスリリースと報告書のPDF版が掲載されています。

  f:id:miyatak:20210716235013p:plain 

www.unaids.org


 386ページもある大作なので、ダウンロードするのにも、けっこう時間がかかります。翻訳はちょっと大変(というか体力的に無理ですね)・・・ということで、プレスリリースでお茶を濁しました。API-Netに日本語仮訳を掲載してもらったので、ご覧ください。 

api-net.jfap.or.jp


 『HIV陽性者はCOVID-19に対し脆弱な立場に置かれているのに、不平等の拡大でCOVID-19ワクチンやHIVサービスを利用できないでいることを強調し、そのエビデンスを示しています』
 地球規模のワクチン格差に対し、UNAIDSのウィニー・ビヤニマ事務局長は憤りを隠さず、厳しいコメントを寄せています。
「何百万もの人が救命薬を拒否され、アクセスの不平等のために亡くなっていった。あのHIVの教訓から学ぶことができていないのです。こんなことは到底、受け入れらません」
 エイズ40周年の節目にあたり、医療分野の研究者の間では、抗レトロウイルス治療の開発と普及に対し、かなり頑張りましたと互いに評価しあう雰囲気も強いのですが、アフリカ出身の政治家であり、アクティビストでもあったビヤニマさんに言わせれば、成功の教訓ではありません。命を救える薬があるのに、なぜこれほど多くの人たちが死ななければならなかったのかという「繰り返してはならない教訓」です。
 再びプレスリリースから。
 「億万長者は地中海でヨットを浮かべています。その同じ海で、移住を求める人たちが溺れているのです」とビヤニマ事務局長はいいます。「この状態を『ニューノーマル』などと呼び、座視できますか。私たちはこの恐ろしい不平等に立ち向かい、基本的人権の尊重という基本に立ち戻らなければなりません」
 相当、怒っています。

 早くワクチン、打ちたいと焦りに焦り、おたおたした挙句にようやく2回の接種を終えた日本の高齢者として、その怒りを受け止めきれるのか。個人的には自信がありません。答えは出せそうで出せず、切なくもあります。

2つのパンデミック経験をどう生かすのか TOP-HAT NEWS第154号 エイズと社会ウェブ版577

 エイズ40周年が過ぎ、エイズに関する国連総会ハイレベル会合も終わり・・・と思ったら、国内ではまたCOVID-19の感染が広がり始め、7月に入ると東京は再び緊急事態宣言下の日常に逆戻りですね。

 『40年後の2021年6月を迎え、世界は(そして日本も)、COVID-19というもう一つの困難な新興感染症パンデミックに直面して再び大きな不安と動揺に包まれています。

この新たな事態に対し「いまはもうエイズどころではない」と考えるのではなく、先行するパンデミックの40年に及ぶ経験をいまこそ生かすべきではないか・・・』

 TOP-HAT NEWS第154号(2021年6月)の一節です。HIV/エイズ対策も、COVID-19という新たなパンデミックからの影響も織り込みつつ、2021年政治宣言のもとで再出発ですね。

 『COVID-19パンデミック対策はコミュニティ主導の組織の重要性を強調することになりました。困難で変化の激しい環境に対応し、厳しい影響を受けているコミュニティにCOVID-19 の検査とワクチン接種、HIV の予防・検査・治療、その他の保健・社会サービスを提供できるようにするには、その力が不可欠だからです』(ハイレベル皆具に向けたUNAIDS報告書から)

 2つのパンデミックが同時進行する時代から受けるのは負の影響だけではないということも肝に銘じ、地道にやっていきましょう。

 

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        第154号(2021年6月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html  で。

エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

 

1 はじめに 『世界のコミュニティ それぞれの活動』

 

2 新規感染者推計は年間150万人 1日平均だと4100人

 

3 ファストトラックシティのワークショップを7月10日に開催 日本エイズ学会など

 

4 今年もハイブリッド開催 第28回AIDS文化フォーラムin横浜

 

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1 はじめに 『世界のコミュニティ それぞれの活動』

 これまでに何度か紹介していますが、2021年6月はHIV/エイズの流行開始から40周年の節目です。その起点となるのは1981年6月5日に米疾病管理予防センター(CDC)の死亡疾病週報(MMWR)にカリフォルニアのゲイ男性5人の肺炎症例が報告されたことでした。

 ただし、ニューヨークやサンフランシスコなど米国の大都市圏では、その前の年ぐらいから若いゲイ男性の間で珍しい肺炎や皮膚がんが広がっていることに医師らが気づき始めています。

 したがって、流行はもう始まっていたわけですが、最初の症例報告があった日を起点にすることがエイズ対策の一応の了解事項になっています。参考までに付け加えておくと、その謎の病気がAIDSと呼ばれるようになるのは、さらに1年後の1982年夏でした。

 40年後の2021年6月を迎え、世界は(そして日本も)、COVID-19というもう一つの困難な新興感染症パンデミックに直面して再び大きな不安と動揺に包まれています。

この新たな事態に対し「いまはもうエイズどころではない」と考えるのではなく、先行するパンデミックの40年に及ぶ経験をいまこそ生かすべきではないか・・・。エイズ対策に携わってきた人たちの多くはいま、そう考え、行動しています。エイズの流行を経験し、HIV治療やケアに取り組んできた医療従事者にも、そうした思いでコロナの診療や研究に取り組んでいる人は少なくありません。

 40周年の2日前の6月3日には、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が国連総会ハイレベル会合に向けた報告書『GLOBAL COMMITMENTS, LOCAL ACTION(世界のコミュニティ それぞれの活動)』を発表しました。

https://www.unaids.org/en/resources/documents/2021/global-commitments-local-action

 国連は2030年に「公衆衛生上の脅威としてのエイズ」の終結を目指し、2020年までの中間目標として90-90-90ターゲットを掲げてきました。HIV陽性者の90%がHIV検査を受け、そのうち90%が治療を開始し、さらにその90%が治療の継続により体内のHIV量を検出限界値未満に抑える状態を維持する、という目標です。

 残念ながら世界全体としては、2020年末にそのターゲットを達成することはできませんでした。目標に遠く及ばなかった国が多く「大きく軌道を外れた状態」だったからです。

 ただし、極めて大きな成果を上げ、ターゲットに到達した国も数十カ国に達しました。報告書はそうした国々に共通した特徴をあげ、こう指摘しています。

 『政治の強いリーダーシップ、適切な資金の確保、コミュニティによる真の関与、人権を重視した多部門のアプローチ、そして、科学的なエビデンスに基づき焦点を絞った戦略です。これらはHIVやCOVID-19にはもちろん、その他の数多くの感染症、非感染症対策にも極めて重要な要素なのです』

 また、その中でもとくに『コミュニティの関与』に焦点を当てた次のような指摘も行っています。

 『COVID-19パンデミック対策はコミュニティ主導の組織の重要性を強調することになりました。困難で変化の激しい環境に対応し、厳しい影響を受けているコミュニティにCOVID-19 の検査とワクチン接種、HIV の予防・検査・治療、その他の保健・社会サービスを提供できるようにするには、その力が不可欠だからです』

 社会の中で生活している一人一人の力がなければ、そして困っている人に手を差し伸べることができなければ、パンデミックに対抗することはできない。そのためにはコミュニティが積極的に対策にかかわれるような仕組みと環境が必要になる。

 このことはいま、日本国内でも現在進行形で経験中です。ただし、じゃあ、どうしたらいいの・・・という点で、総論的な「さわり」だけでなく、もう少し具体的内容も知りたいところですね。

 報告書は全体で50ページを超え、かなり長いのですが、UNAIDSの了解を得て、その核心部分の30ページ余りを現在、日本語に翻訳中です。翻訳と編集の作業を終えたらAPI-Netで読んでいただけるようにしたいと思います。いましばしお待ちください。

 

 

2 新規感染者推計は年間150万人 1日平均だと4100人

 UNAIDSの特設サイトには『エイズ流行、世界の現状2020』というパワーポイント資料も紹介されています。

 https://www.unaids.org/en/resources/documents/2021/core-epidemiology-slides

その一部を日本語仮訳で紹介しておきましょう。

 

世界のHIV陽性者数   3760人 (3020万~4500万人)

    成人       3590万人(2890万~4300万人)

       女性(15歳以上) 1920万人(1550万~2300万人)

       子供(15歳未満)  170万人 (120万~ 220万人)

 

年間新規HIV感染者数   150万人(110万~210万人)

     成人        130万人( 94万~180万人)

       女性(15歳以上)  67万人(46万~94万人)

       子供(15歳未満)  16万人(10万~2万4000人)

 

エイズ関連の死亡者数   69万人(48万~100万人)

      成人             59万人(40万~88万人)

       女性(15歳以上)  25万人(17万~37万人)

       子供(15歳未満)  10万人(6万9000~16万人)

 

新規感染者数は1日平均4100人

・ 58%がサハラ以南のアフリカ地域

・ 10%は15歳未満の子供

・ 90%は15歳以上の成人、このうち:

   - 50%は女性

  - 30%は若者(15~24歳)

  - 19%は若い女性(15~24歳) 

 

 

3 ファストトラックシティのワークショップを7月10日に開催 日本エイズ学会など

 2030年のエイズ終結のカギを握るのは世界の大都市である。Fast Trac City構想は、こうした認識のもとに2014年の世界エイズデー(12月1日)にパリ宣言を発表し、スタートしました。

 この構想への理解を広げるため、一般社団法人日本エイズ学会と米ワシントンDCに本部がある国際エイズケア提供者協会(IAPAC)が7月10日(土)、Fast Track Cities Workshop Japan 2021をオンライン(zoom使用)で開催します。

 ワークショップのタイトルは英語ですが、使用言語は原則日本語です。英語のスピーカーが話をするときには、あらかじめ収録された動画に邦訳が入る予定になっています。

 参加費は無料ですが、参加希望者は7月7日(水)までに予約申し込みが必要です。

 予約方法およびプログラムの詳細は、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター(ACC)のウェブサイトの案内をご覧ください。

 http://www.acc.ncgm.go.jp/news/20210604100722.html

 

 

4 今年もハイブリッド開催 第28回AIDS文化フォーラムin横浜

 夏の恒例イベントとして定着している第28回AIDS文化フォーラムin横浜のテーマと開催形式などが公表されました。

開催日は8月6日(金)~8日(日)の3日間。テーマは《ともに生きる つながりの参加者になる》です。

コロナの流行に対応するため、昨年に続き、会場(あーすぷらざ)+オンライン(ZOOMウェビナー)、およびオンライン活動紹介(映像掲載)のハイブリッド開催となります。会場は昨年と変わっています。

詳細は公式サイトでご覧ください。

https://abf-yokohama.org/

 

 

 

 

 

HIV予防連合が報告書『新たなパンデミック期におけるHIV感染予防』 エイズと社会ウェブ版576  

 HIV予防連合は2017年10月、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国連人口基金UNFPA)が中心になって結成し、国連加盟国やHIV予防関連の市民社会組織、国際組織などがパートナーとして参加しています。HIVの流行が深刻な28カ国に焦点を当てて、2020年までに高速対応目標の90-90-90ターゲットを達成し、HIVの新規感染を75%減らすことを目指していました。

 残念ながら90-90-90ターゲットの達成は果たせませんでしたが、2021年以降も引き続きHIV予防対策に取り組んでおり、7月1日にはCOVID-19の流行が与えたHIV予防対策への影響とその対応をまとめた報告書『新たなパンデミック期におけるHIV感染予防』を発表しています。その報告書を紹介したUNAIDS公式サイトのフィーチャーストーリーを日本語に訳しました。英文はこちらでご覧ください。

www.unaids.org

 報告書は《2020年のCOVID-19パンデミックの間にHIV対策が経験したプログラムの混乱と事態への対応をまとめた統合報告書で、HIV予防プログラムが置かれた状況を総括し、その弱点とリスク、サービスの中断状況などを把握するとともに、対応策についても記録しています》ということです。以下、報告書そのものではなく、フィーチャーストーリーの日本語仮訳です。

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COVID-19の流行によるHIV予防対策の混乱は大きかったものの、サービスの改革で対応は可能 HIV予防連合報告書が強調

2021年7月1日、UNAIDSフィーチャーストーリー

 

 COVID-19のパンデミックにより、十年以上にわたってHIV/エイズ対策が何とか達成してきた公衆衛生の成果も脅威にさらされています。その中でHIV陽性者やHIVに影響を受けている人たちが、COVID-19パンデミックついて必要な情報と支援を確実に受けられるようにする極めて重要な役割をUNAIDSは担っています。また、HIV予防・治療サービスが途切れることなく利用するために必要な手段の開発と支援も進めています。

2017年に発足した世界HIV予防連合(GHPC)は、HIVの流行から最も大きく影響を受けてきた28カ国に焦点を当て、HIV予防対策に新たな勢いを生み出すためのより明確な方向性を示すことを目指しています。7月1日には報告書『新たなパンデミック期におけるHIV感染予防』を発表しました。2020年のCOVID-19パンデミックの間にHIV対策が経験したプログラムの混乱と事態への対応をまとめた統合報告書で、HIV予防プログラムが置かれた状況を総括し、その弱点とリスク、サービスの中断状況などを把握するとともに、対応策についても記録しています。報告書はとくにコミュニティレベルのプログラム改革に重点を置き、情報収集を進めました。

 UNAIDSのシャノン・ハイダー事務局次長(プログラム担当)は「年間の新規HIV感染が2010年当時と比べると23%減少しています。HIV予防は苦労を重ね大きな成果を上げてきました。COVID-19パンデミックによって、その努力が台無しになるおそれがあります。HIVの新規感染をさらに減らしていく努力が必要な時期にこういうことになってしまったのです。成果を阻んでいるギャップは、社会の中に大きな不平等が存在することを示しています。COVID-19がもたらすHIV予防サービスへの影響は極端に大きく、キーポピュレーションや思春期の少女、若い女性など最も取り残された人たちが不釣り合いに大きな社会的障壁の影響を受けているのです」と話しています。

 必然的に、HIV予防サービスは大きく混乱し、コンドーム、潤滑剤、抗レトロウイルス薬など重要なHIV予防用品のサプライチェーンは限界に達しようとしています。自発的男性器包皮切除の件数が前年同月比で大きく減少するなど、COVID-19の流行初期の数カ月で重要なHIV予防プログラムを受ける人の数が落ち込んでいることも報告書には反映されています。同時にCOVID-19は、社会の不平等と保健分野の不公正をはっきりと示し、拡大させる一方で、医療その他の公的制度がエイズ流行終結に向けた課題を克服するため、より公平かつ包摂的に対応する方法も示しました。保健医療提供者とコミュニティ組織はHIV予防サービスの提供方法を変え、重要なサービスの中断を最小限に抑えることで、危機に対処してきたのです。

 報告書は、COVID-19の影響を緩和するための革新的方策、およびそれをHIVサービスにどう適応させるかという課題に焦点を当てています。数カ月間使用できるだけの量のコンドームと潤滑剤、注射針・注射器の配付、曝露前予防(PrEP)のための抗レトロウイルス薬の複数月調剤、利用者の事情に合わせた分化型サービスの提供、自己検査の普及、予防用品配付のための代替アクセスポイントの開設などが含まれます。対象となる予防用品はコンドームや曝露前予防(PrEP)、注射薬物使用者のオピオイド代替療法のための持ち帰り用代替薬などです、また、キーポピュレーションや思春期の少女・若い女性のためのアウトリーチサービスの継続に向けた安全性の確保、予防対策のための仮想プラットフォーム開設なども革新的な方策に含まれます。これらの対策は、 COVID-19パンデミックに対応するだけでなく、当面の課題解決を超えて規模拡大を進めていく必要があります。報告書はさらに、COVID-19のパンデミック対策が、HIV分野の専門家やコミュニティの教訓を生かして、早期に決然とした行動をとり、弱い立場の人たちへの対応と医療サービスの維持に向けて2つのパンデミック対策の相乗効果を高めていったことも強調しています。

 「30年以上にわたって効果の高いHIV予防対策を追求してきたことで、低・中所得国の政策決定者および保健プログラムの実施者が新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の感染予防に最善の選択をするための豊富な知識と経験も獲得できました」とハイダー事務局次長は述べています。「コミュニティから届く最も差し迫ったニーズは、生計の維持です。どうすれば、食事を確保し、生活し、自らのケアを続けながら、COVID-19の流行の中で生き残れるのでしょうか。UNAIDSはそのために必要なサービスと人びととの仲立ちをすることができます」と彼女は付け加えました。

 報告書は、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)のCOVID-19対応メカニズムから助成を受けようとするすべての利害関係者のために提案書作成チームを編成し、準備作業の支援にあたることを明らかにしています。世界のHIV予防対策が勢いを取り戻し、COVID-19パンデミックによる影響を軽減するには、HIV予防対策のさらなる改革を支援し、規模拡大をはかる必要があるからです。

 

 

 

Feature Story

Report shows big COVID-19-related HIV prevention programme service disruptions, but highlights that HIV service innovations and adaptations are possible

01 JULY 2021

 

The COVID-19 pandemic is threatening decades of hard-won development and public health gains. UNAIDS is committed to playing a pivotal role in ensuring that people living with and affected by HIV have the information and support they need during the COVID-19 pandemic and is promoting the development and support measures needed to ensure that access to HIV prevention and treatment services continues uninterrupted.

Launched in 2017, the Global HIV Prevention Coalition aims to bring fresh momentum and clarity to HIV prevention programmes, focusing on 28 countries carrying the highest burden of the HIV epidemic. The Global HIV Prevention Coalition has published a new report, Preventing HIV infections at the time of a new pandemic: a synthesis report on programme disruptions and adaptations during the COVID-19 pandemic in 2020, which provides a synthesis of the status of HIV prevention programming during the COVID-19 pandemic, identifies critical vulnerabilities, risks and major service disruptions and documents responses in a range of settings. The report places a significant focus on gathering information on programme innovations at the community level.

“The COVID-19 pandemic risks reversing the hard-won gains made in HIV prevention, including the 23% reduction in new infections since 2010. And this is at a time when much more still needs to be done to drastically reduce new HIV infections. Gaps and threats to progress show great inequalities, and HIV prevention services and societal barriers for the people most left behind, such as key populations and adolescent girls and young women, have been disproportionately impacted by COVID-19,” said Shannon Hader, the UNAIDS Deputy Executive Director for Programmes.

Inevitably, significant disruptions on HIV prevention services have been observed, and supply chains for crucial HIV prevention commodities, including condoms, lubricants and antiretroviral and other medicines, have been stretched. The report reflects on the early dips observed in the monthly numbers of people served by critical HIV prevention programmes, including huge drops in the number of voluntary medical male circumcisions performed compared to previous corresponding months.

At the same time, while it has vividly exposed and widened inequalities and health inequities, COVID-19 has also shown how to make health systems and other public institutions fairer, more inclusive and better able to meet the challenges of ending the AIDS epidemic. Health-service providers and community organizations have responded to the crisis by changing how they provide HIV prevention services and minimizing disruptions of essential services.

The report highlights COVID-19 impact mitigation innovations and adaptations of HIV services, including multimonth dispensing of condoms, lubricants, needles, syringes and pre-exposure prophylaxis (PrEP), differentiated service delivery and self-testing approaches, alternative access points for prevention commodities such as condoms and PrEP, take-home dosages of opioid substitution therapy for people who inject drugs, the safe continuation of outreach services for key populations and adolescent girls and young women and virtual platforms for prevention interventions—and calls for their scale-up even beyond the COVID-19 pandemic. The report further highlights how the COVID-19 pandemic response has drawn from HIV experts and communities and has taken early decisive action to address critical vulnerabilities, maintain health services and build synergies between the colliding pandemics.

“In over 30 years of developing effective prevention approaches, we have gained substantial knowledge and experience that decision-makers and health programme implementers can use in low- and middle-income countries to make the best possible choices in preventing SARS-CoV-2,” said Dr Hader. “The most pressing needs we hear from communities are the protection of livelihoods: how do people eat, live, care for themselves and survive COVID-19? UNAIDS can help broker services for people,” she added.

The report will support all stakeholders in their preparation of Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria COVID-19 Response Mechanism applications, ensuring that proposal writing teams identify key HIV prevention innovations and adaptations that could be supported and scaled-up to regain global HIV prevention momentum and mitigate the impact of the COVID-19 pandemic on HIV services.

 

『世界の対策、それぞれの活動』 エイズと社会ウェブ版575

   エイズに関する国連総会ハイレベル会合の期日は6月8-10日だったので、もうとっくの昔に閉幕しちゃいましたね。周回遅れではありますが、その直前に出された国連合同エイズ計画(UNAIDS)報告書の日本語仮訳作成がようやく終わり、API-Net(エイズ予防情報ネット)に本日、アップしていただきました。これでも急いで訳したつもりなんだけど・・・世の中のスピードについていけません。 

   f:id:miyatak:20210702210814j:plain

api-net.jfap.or.jp

 《報告書は2020年を目標年とした90-90-90ターゲット(高速対応目標)について、大きな成果を上げたものの目標達成には至らなかったと総括しました。また、政治宣言の骨格をなすUNAIDSの新ターゲット(2025年ターゲット)を紹介し、2030年の(公衆衛生上の脅威としての)エイズ終結という国際共通目標への達成軌道に戻すことを各国に呼びかけています》
 

 今回の報告書については、私の早とちりで、最初に2021年のUNAIDS報告書として紹介し、あわてて訂正を出すなど、すったもんだがありました。それでも、あまり注目されず、したがってそれほど問題にもされず、嬉しいような悲しいような反響ですが、記録の文書としては残しておきたい。
 日本語版タイトルもあれこれと考えた結果、『世界の対策、それぞれの活動』としました。ちょっと違うなあ・・・と思われる方もいるかもしれませんが、悪しからず。
 2025年エイズターゲットも要領よくまとめて紹介されています。これから5年間、なにかにつけて引用されることが多くなると思うので、ぜひご覧ください。
 《報告書は52ページありますが、地域別報告(REGIONAL PROFILES)を除く、39ページまでを日本語に訳しました》
 さすがに疲れた。

 

 

事態はますます読みにくい 東京都エイズ通信第166号

 メルマガ東京都エイズ通信の第166号(2021年6月28日発行)が配信されました。今年もほぼ半分が過ぎています。新規HIV感染者・エイズ患者の報告数は、昨年同時期と比べると、HIV感染者報告が少し増加、エイズ患者報告数は減少しています。

 

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  • 令和3年1月1日から令和3年6月20日までの感染者報告数(東京都)

  ※( )は昨年同時期の報告数

 

HIV感染者      140件     (131件)

AIDS患者        30件      (38件)

  合計           170件      (169件)

 

HIV感染者数は昨年度より増加しているが、AIDS患者は昨年度よりも減少している。

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 ただし、ここで注意しておかなければならないのは、昨年の6月時点では、新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行が国内に広がっており、HIV検査もすでに大きく影響おw受けていることです。数字がごちゃごちゃと並んでしまい、恐縮ですが、1年前の6月(21日現在)の報告と比べてみましょう。

 

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令和2年1月1日から令和2年6月21日までの感染者報告数(東京都)

  ※( )は昨年同時期の報告数

 

HIV感染者     130件   (161件)

AIDS患者       38件    (30件)

   合計           169件   (191件)

 

HIV感染者数は昨年度よりも減少し、AIDS患者は増加している。

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 新規HIV感染報告数はすでに大きく減少しています。今年は若干、増えているとはいえ、2019年と比べるとなお、減少傾向が顕著です。これが感染を心配する人が検査を受ける機会が減っていることの表れだとすると、その影響が出てくるのは、1年後でしょうか。2年後でしょうか。私には予測できませんが、影響は確実にでてくるのではないかと思います。