HIV感染報告が大きく減少・・・エイズ動向委員会報告 2020年速報値 エイズと社会ウェブ版554

 厚生労働省の第156回エイズ動向委員会が3月16日(火)、オンラインで開催され、2020年の新規HIV感染者・エイズ患者報告の年間速報値が明らかになりました。

 https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/index.html

 

 新規HIV感染者報告数 740件(過去20年で17番目)

 新規エイズ患者報告数  336件(過去20年で16番目)

  合計        1076件(過去20年で17番目)

 

 2000年以降の報告の推移をグラフにすると次にようになります。

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 夏の終わりには確定値が発表される予定です。今回の速報値より少し増えるでしょうが、それでも年間報告の合計は前年(1999件)よりも大幅に減って、1100件を下回りそうです。2003年以来のことですね。感染者報告は700件台でしょう。前年の確定値は合計が1236件、感染者報告は903件でした。

 エイズ患者報告数はほぼ横ばいなので、結果として、エイズを発症するまで、感染に気付かなかった人の割合は高くなります。参考までに、HIV感染者報告数とエイズ患者報告数の合計が1500件に達した2007年以降の報告数の一覧表も観ていただきましょう。

 

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 合計報告数に占めるエイズ患者報告の割合は2019年までかなり下がってきていましたが、昨年はリバウンドしています。

 それにしても・・・と思います。エイズを発症したことでHIV感染が分かる人の割合が31%を超えてしまいましたか。保健所などでのHIV検査の件数もHIV相談の件数も大幅に減少しました。

 正直なところ、HIV検査や予防啓発を担当する現場の皆さんの工夫で、感染報告の減少も、よくこの程度で抑えられたと個人的には思います。それでも、コロナの流行の影響は顕著だと考えざるをえません。

 

 

 

おじさん閑居して、火に油を注ぐ・・・

 新型コロナウイルス感染症の流行に対する緊急事態宣言の解除を菅首相が発表しました。その首相記者会見の席で、若者に情報をどう伝えるかといった内容の質問が紋切型であり、首相の答えも、SNSを使って・・・みたいな紋切型でした。
 私ならどう答えるか、考えてみました。
 例えば・・・、ずいぶん前の、しかも内輪のアイデア出しの段階とはいえ、渡辺直美さんに対する心ない演出のアイデアが批判を受け、辞職した東京オリンピックパラリンピックの開会式・閉会式の責任者がいらっしゃいます。この方にコロナ対策のプロモーション動画の制作指揮を依頼し、渡辺直美さんにはご本人から直接、しっかりとお詫びをしたうえで、メインキャラクターとして渡辺さんに登場していただくというのはいかがでしょうか。

 何かと評判の悪い高齢のおじさん層による場当たり的な提案なので、顰蹙を買うのは覚悟の上。それでも、首相より1歳年下なので、1年分は若者の感覚に近いかもしれないと思ったのですが、あまり変わらないか。

 それにしても、このところ、どうも後味のよくない話題が多い。もう少し、のびのびやってもいいのではないでしょうか・・・と思ってしまうのも、おじさん的感性のなせる業かもしれません。最近は肩身が狭いよ。

 

『就任初日の署名文書』 エイズと社会ウェブ版553

 世の中に心配事の種が尽きないせいでしょうか。米国のバイデン政権が発足してからまだ、2カ月足らずですが、随分、昔のことのように感じられます。それなりに安定した政権運営で最初の100日を進めているということかもしれません。
 ジョー・バイデン大統領は政権発足の初日に17本の行政文書(大統領令、覚書)に署名しています。あれも変えなきゃ、これも戻さないと・・・ということで、大忙しだったんでしょうね。現代性教育研究ジャーナルの連載コラムOneside/Nosideの第47回では、その17本の中でもとくに『性自認性的指向に基づく差別防止および差別との闘いに関する大統領令』に注目しました。
 No.120(2021年3月15日発行)の19ページに載っています。 

www.jase.faje.or.jp


 『誰であるか、誰を愛しているかに関わりなく、すべての人が尊敬と尊厳を持って扱われ、恐れることなく暮らせなければならない』

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 新政権の初日はニュースが盛りだくさんで、マスメディアも報じるべきことがたくさんあるのでしょうね。この大統領令が大きく報道されることはなかったようですが、政権の発足時点でセクシュアリティをめぐる基本的な考え方を示すことの意味は小さくありません。

 ステレオタイプの書き方になってしまいますが、日本の指導者、ちょっと辛いなあ・・・と改めて思う。これもトランプさんがいなくなったことの副次効果というものでしょうか。

 

ハイレベル会合に向け、マルチステークホルダー・タスクフォース(多様な関係者による特別委員会)メンバーの推薦を UNAIDSが要請

 6月のHIVに関する国連総会ハイレベル会合に向けて、幅広く意見を集約するための手続きが動き出しました。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに4月のヒアリングに向けたマルチステークホルダー・タスクフォース(多様な関係者による特別委員会)の設置と、その人選のための協力を呼びかける記事が掲載されました。委員会メンバーの候補者を3月16日までに推薦するよう求めています。

www.unaids.org

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 あまり時間がありませんが、日本からも「これは」と思う人がいたらノミネートしてはいかがでしょうか。応募要項をみると、HIV陽性者のノミネートはとくに期待されているということで、GIPAの原則を踏まえ、少なくとも5人はHIV陽性者に加わってほしいとしています。

 以下、UNAIDS公式サイトに掲載された記事に日本語仮訳です。 

 

 

HIV陽性者、キーポピュレーション、および影響の大きいコミュニティに向け、HIVに関するハイレベル会合のマルチステークホルダー・タスクフォース(多様な関係者による特別委員会)メンバーの推薦を呼びかけ UNAIDS

 

 国連総会のHIVに関するハイレベル会合が2021年6月8-10日に開かれます。2016年以来5年ぶりの開催となります。

この会合に向け、コミュニティなど複数の利害関係者による双方向のヒアリングが2021年4月末までに行われる予定です。これらの関係者はハイレベル会合の事前および開催中の様々な活動にも参加することになります。

ハイレベル会合に市民社会が確実に関与できる枠組みと、透明性が高く、開かれた参加型のプロセスを確保するため、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は3月末までに市民社会と民間部門の代表者で構成するマルチステークホルダー・タスクフォース(多様な関係者による特別委員会)を発足させます。タスクフォースはUNAIDSに対し、ヒアリングの形式やテーマ、プログラムについて助言を行います。また、ヒアリングやハイレベル会合の本会議、パネルディスカッションにおけるスピーカーの人選にも力を貸します。

さまざまなネットワークが、独自の情報網と選択プロセスを活用し、タスクフォースの委員候補者を指名してください。委員の選定は、UNAIDSとプログラム調整委員会の非政府組織代表団が以下のカテゴリーにしたがって行います。

  • HIV陽性者ネットワークから、HIV陽性であることを公にしている人を1名
  • 女性HIV陽性者のネットワークから、HIV陽性であることを公にしている人を1名
  • HIV陽性の若者のネットワークから、HIV陽性であることを公にしている人を1名
  • 各キーポピュレーション(薬物使用者、セックスワーカートランスジェンダーの人たち、ゲイ男性など男性とセックスをする男性、受刑者)からそれぞれ1名
  • UNAIDSプログラム調整委員会の非政府組織代表団から1名
  • 女性組織、とりわけ性と生殖に関する健康と権利に取り組む組織の代表
  • 若者の組織、とりわけ性と生殖に関する健康と権利に取り組む組織の代表
  • 民間部門の代表
  • 宗教に基盤を置く組織の代表
  • 先住民のネットワークまたは組織の代表
  • 障碍者のネットワークまたは組織の代表
  • 結核HIVに取り組む組織の代表

 

HIV陽性者、キーポピュレーション、その他のコミュニティの関与は、ハイレベル会合が成功するための基本です。コミュニティは流行の初期段階からHIV対策を先導してきました。HIVの新規感染を防ぐため、そしてHIV陽性者が充実した生活を送れるようにするには、何が必要なのかを知っているのです。タスクフォースは、会議の準備に携わる重要なプラットフォームです。タスクフォースの人数には自ずと限界があるため、コミュニティ間や地域間のつながりが密なネットワークからの候補者指名を得て、深く、そして広い視野を確保できる委員会になることを期待しています。HIV陽性者やキーポピュレーション、影響の大きい集団には、ハイレベル会議に至るまでの間に、さらに関与の機会を増やしていきたいと思います」とUNAIDSのローレル・スプレイグ特別補佐官(コミュニティ担当)は述べています。

 市民社会ネットワークおよびその関連分野の関係者は2021年3月16日18:00CET(中央ヨーロッパ時間)までに、こちらに推薦状を提出してください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScTNFelTKIZ9ACAVxFvZQSwCw6kXSyvxoqdBt5CLnYZ96tOjA/viewform

 

応募要項は、こちらで。

https://www.unaids.org/sites/default/files/media/documents/2021-hlm-mstf-call-for-nominations_en.pdf

 

 

 Call for nominations of people living with HIV, key populations and other affected communities to join the multistakeholder task force for the high-level meeting on HIV

 

The United Nations General Assembly will hold its first high-level meeting on HIV since 2016 on 8–10 June 2021. 

In the run-up to the meeting, before the end of April 2021, an interactive multistakeholder hearing will be held with the participation of communities and other stakeholders, who will also participate in other activities before and during the high-level meeting itself. 

To ensure the involvement of civil society and ensure an open, transparent and participatory process, UNAIDS is forming, by the end of March, a multistakeholder task force comprised of representatives of civil society and the private sector. The task force will advise UNAIDS on the format, theme and programme of the multistakeholder hearing and will help to identify speakers for the hearing and high-level meeting plenary and panel discussions. 

Different constituency networks are asked to use their own networks and selection processes to nominate people to be considered for the task force. UNAIDS and the Programme Coordinating Board nongovernmental organization delegation will select individuals for each of the categories of members:

 

・One representative openly living with HIV of networks of people living with HIV.

・One representative openly living with HIV of networks of women living with HIV.

・One representative openly living with HIV of networks of young people.

・One representative of each of the key populations (people who use drugs, sex workers, transgender people, gay men and other men who have sex with men, people in prison settings).

・One member of the UNAIDS Programme Coordinating Board nongovernmental organization delegation.

・A representative of a women’s organization, particularly working on sexual and reproductive health and rights.

・A representative of a young’s people organization, particularly working on sexual and reproductive health and rights.

・A representative of the private sector.

・A representative of a faith-based organization.

・A representative of networks or organizations of indigenous people.

・A representative of networks or organizations of people with disabilities.

・A representative of an organization working with tuberculosis and HIV.

 

“The engagement of people living with HIV, key populations and other priority communities is fundamental for the success of the high-level meeting. Communities have led the way in the HIV response since the beginning and know what is needed to make sure that all people everywhere have what they need to prevent new HIV infections and to ensure that people living with HIV can survive and thrive. The task force represents an important platform for participation in the preparatory phase for the meeting. As the task force is necessarily limited in size, we are particularly interested in nominations of people from networks, who are closely linked across their communities and across regions, to be able to bring a deep and broad perspective. Additional opportunities for people living with HIV, key populations and other affected groups to engage with be made available throughout the lead-up to the high-level meeting,” said Laurel Sprague, UNAIDS Chief/Special Advisor, Community Engagement.

Civil society networks and relevant stakeholders are asked to submit nominations here by 16 March 2021 at 18.00 CET. The call for nominations with detailed information can be accessed here.

TOP-HAT News第150号『COVID-19ワクチンとHIV』 

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        第150号(2021年2月)

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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部

 

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 『COVID-19ワクチンとHIV

 

2 日本人とグローバルファンド

 

3 「性自認または性的指向に基づく差別防止および差別との闘いに関する大統領令」に署名

 

4 Words of LOVE:You Tubeで映像を公開

 

5 「東京都南新宿検査・相談室」が移転、「東京都新宿東口検査・相談室」に

 

6 コンドームは『とても控えめなヒーロー』

 

◇◆◇◆◇◆

 

1 はじめに  『COVID-19ワクチンとHIV

 新型コロナウイルス感染症COVID-19のワクチンが、国内でも承認手続きを経て接種開始となりました。最初は医療従事者等、次いで4月以降は高齢者を対象にした接種も進められる見通しです。厚労省の公式サイトに「接種についてのお知らせ」が掲載されているので、参考までにご覧ください。 

www.mhlw.go.jp

 昨年12月8日に英国で最初のワクチン接種が開始されて以来、海外での接種状況がしばしば報じられてきました。「HIV陽性者はCOVID-19のワクチンを接種しても大丈夫なの?」という声を聞くこともあります。国際的にも、日本国内でも、HIV陽性の医療従事者は少なくありません。先行して接種を受ける立場としては、感染予防や重症化防止への期待と同時に、副反応に対する心配も出てきます。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトには2021年1月12日付で『COVID-19ワクチンとHIV』という1ページのPDF文書が掲載されました。『HIV陽性者にとってCOVID-19ワクチンは安全ですか?』『HIV陽性者はCOVID-19ワクチンを受けるべきですか?』という2つの疑問を取り上げ、承認されたワクチンのこれまでの臨床試験結果や接種開始後の各国からの報告を集約したうえで、UNAIDSの見解をまとめた文書です。

それによると『HIV陽性者にとってCOVID-19ワクチンの安全性は他の多くの人と変わりません』。したがって、UNAIDSは『HIV陽性だからということでワクチンを受けてはならないという理由はありません』との見解を示しています。

 まれにではありますが、接種後に深刻なアレルギー反応がみられることがあるため、『ワクチン接種後15分から30分の間、経過を観察すること』の必要性も強調しています。これはHIV陽性かどうかにかかわらず、COVID-19ワクチンを受けるすべての人に共通して必要なことです。

 日本語仮訳のPDF版もAPI-Net(エイズ予防情報ネット)に紹介されているので、参考までにご覧ください。 

api-net.jfap.or.jp

HIV陽性者は効果的な抗レトロウイルス治療を継続すべきです』『ワクチン接種後も、すべての人がSARS-CoV-2ウイルスの感染予防策を継続する必要があります』といった指摘も最後に付け加えられています。

ワクチンは有効な予防対策のツールではありますが、それですべてが解決するわけではありません。医学研究の成果を生かし、同時に社会の中の様々な立場の人たちの事情に即した予防の選択肢を組み合わせていく『コンビネーション予防』の必要性は、実はHIV/エイズ対策にもCOVID-19対策にも共通しています。

 

 

2 日本人とグローバルファンド

 世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)の戦略・投資・効果局長として活躍する國井修医師のインタビューがグローバルファンド日本委員会(FGFJ)のウェブサイトに掲載されています。 

fgfj.jcie.or.jp

「ぼく、現場にいたときはグローバルファンド嫌いだった」

 そう語る國井さんがあえてグローバルファンドの中心を担うポストに就いたのはどうしてなのか。豊富な国際支援の現場体験を通し、日本の若い人たちへのメッセージが伝わってきます。

 

 

3 『性自認または性的指向に基づく差別防止および差別との闘いに関する大統領令』に署名

 米国のバイデン新政権が1月20日に発足し、ジョー・バイデン大統領はさっそく17本の大統領令・覚書に署名しました。米国の大統領が就任初日にこれほど多くの行政文書に署名したのは初めてということです。世界保健機関(WHO)脱退撤回、地球温暖化対策「パリ協定」復帰、メキシコ国境の壁建設中止などトランプ前政権との違いを際立たせるかたちになりました。

 その17文書の中には『性自認性的指向に基づく差別防止および差別との闘いに関する大統領令』も含まれています。ホワイトハウスの公式サイトで、この大統領令(英文)を読むことができます。 

www.whitehouse.gov

『誰であるか、誰を愛しているかに関わりなく、すべての人が尊敬と尊厳を持って扱われ、恐れることなく暮らせなければならない』

米国の新政権がこうした考え方を明確に示し、再確認したことは、性をめぐる差別や偏見の克服が新規感染の予防や支援、治療の提供を進めるうえで大きな課題となっている国際的なHIV/エイズ対策にも重要な意味があります。

 

 

4  Words of LOVE:You Tubeで映像を公開

 2020年12月11日の『Words of LOVE streaming live』およびHIV/エイズ性感染症についての知識をより深めることができる特別編『HIV/エイズの歴史と現在 ~HIV陽性者の立場から~』の映像が、You Tubeで公開されています。  

wordsoflove.jp

wordsoflove.jp

 《「Words of Love」は若い世代を対象に、音楽やトークショーなど、エンターテインメントを通してエイズ性感染症についての正しい知識を身につけてもらいたい、HIV陽性者とともに生きることについて考えてもらいたい、そんな想いからうまれた、東京都が企画する番組》

 配信期間は3月31日までです。

 トークゲストとしてお話をされてた特定非営利活動法人ぷれいす東京理事の佐藤郁夫さんは2021年1月18日に亡くなられました。多くの人を勇気づけてきた長年の活動に深く感謝するとともに、ご冥福をお祈りします。

 

 

5 「東京都南新宿検査・相談室」が移転、「東京都新宿東口検査・相談室」に

 無料・匿名でHIV検査が受けられる「東京都南新宿検査・相談室」が新施設に移転し、名称も「東京都新宿東口検査・相談室」に変わります(HIVの検査を受ける人は梅毒の検査も同時に受けることができます)。

www.metro.tokyo.lg.jp

《新施設では、多言語対応の取組を拡充し、これまでの英語での検査対応に加え、新たに中国語・韓国語での検査対応を開始します》

 

 移転後の住所は以下の通りです。

  東京都新宿東口検査・相談室

  新宿区歌舞伎町2-46-3、SIL新宿ビル2階

 現在の「南新宿」では2021年3月2日(火)まで業務を継続し、3~5日は移転のため休止。3月6日に「新宿東口」が始動します。

 

 

 

6 コンドームは『とても控えめなヒーロー』

バレンタインデー前日の2月13日は、国際コンドームデーです。今年は国連人口基金UNFPA)とグローバルファンドが、コンドーム普及に向けたプロモーションビデオを作成しました。YouTubeにはグローバルファンド日本委員会が翻訳を担当した日本語字幕版も公開されています。 

www.youtube.com

ビデオによると、コンドームは目立たないけれどHIVおよび性感染症の感染予防、望まない妊娠の防止という3つの予防機能をもつ優れモノです。

 

 

『End inequality(不平等に終止符を)』 エイズと社会ウェブ版552


 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が提唱する2021年「差別ゼロデー」(3月1日)キャンペーンのテーマは『End inequality(不平等に終止符を)』です。UNAIDSの公式サイトに掲載されているキャンペーン資料からブローシュア(啓発冊子)の日本語仮訳を作成しました。PDF版をAPI-Netでご覧いただけます。   

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api-net.jfap.or.jp


 《今年の差別ゼロデーは、不平等の解消に向けた行動がいますぐ必要なことを強調しています。収入や性別、年齢、健康状態、職業、障害、性的指向、薬物使用、性自認、人種、階級、民族、宗教などを取り巻く不平等は、いまも世界中で根深く残っているのです》
 冊子自体にも書かれているように《不平等との闘いは新たな課題というわけではありません》。それでも今年、あえて「不平等をなくすこと」をメインテーマに掲げたのは、新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行がいま、社会の分断や不平等を一段と深刻化させているという事情があるからでしょう。

 《そしていま、COVID-19の流行が最も脆弱な人びとに最も大きな打撃を与えています。新しいワクチンが利用可能になったとはいえ、そのアクセスには大きな不平等があるのです。多くの人がこの状態をワクチンアパルトヘイトとみなしています》

 また、エイズ対策の文脈ではこう指摘しています。

 《世界が2030年のエイズ終結という約束に向けた軌道から大きく外れているのは、必要な知識や能力や手段がないからではなく、HIVの予防と治療に効果が実証されている解決策の実施が構造的な不平等のために妨げられているからなのです》

 冊子の紹介とは少し話がそれますが、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は今年1月28日、ニューヨークの国連本部で行われた加盟国への非公式ブリーフィングで10項目の2021年優先課題をあげています。その4番目の課題が《貧困と不平等のパンデミック》でした。比喩的な表現なのでしょうが、世界規模で広がっていくものは感染症でなくてもパンデミックと呼ばれるのですね。
 参考までに紹介しておくと、優先課題の1番目は『COVID-19への対応』、2番目は『包摂的で持続可能な復興』。コロナ対策で大きなダメージを受けている経済の復興ということでしょうね。
 3番目は『自然との平和の実現』。これは気候変動対策が中心になります、自然との折り合いをつけるという点では新興感染症対策も視野に入ります。
 4番目が不平等の解消で、5番目以降は、人権の尊重、ジェンダー平等・・・と続きます。新たな感染症パンデミックであるコロナの衝撃で、これまで抱えていた課題の重要性が再照射されている印象です。そうした中でHIV/エイズ対策の重要性も改めてとらえなおす必要があります。
 ということでAPI-Netの日本語仮訳、16ページ、写真どっさりの冊子なので、全部読んでも、それほど時間はかかりません。しかも、首都圏の緊急事態宣言、また2週間延びちゃったよ、ま、やむを得ないか・・・という我が国の現状をとらえるうえでも、参考になる情報がけっこうあるように思います。よかったら会合やプレゼンテーションの資料としてもご活用ください。

 

 

報告の減少傾向続く 東京都エイズ通信第162号

 メルマガ東京都エイズ通信の第162号が2月26日に配信されました。東京都内のHIV感染者報告は引き続き、前年同時期より減少しています。微増だったエイズ患者報告も微減に転じています。

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● 令和3年1月1日から令和3年2月21日までの感染者報告数(東京都)
  ※( )は昨年同時期の報告数

HIV感染者   34件    (40件)

AIDS患者     11件    (12件)

合計   45件   (52件)

HIV感染者数及びAIDS患者は昨年度よりも減少している。

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 新型コロナウイルス感染症対策としての緊急事態宣言の影響がHIV対策にどんなかたちで、どの程度、影響しているのか。引き続き推移をみていく必要がありそうです。
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