国際エイズ学会(IAS)声明:人種差別終結は私たちすべての使命(要旨) エイズと社会ウェブ版482 

 米ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官に殺害された事件をきっかけに世界中で人種差別に基づく暴力への抗議が広がる中で、国際エイズ学会(IAS)も6月5日、「人種差別終結は私たちすべての使命(Ending racism involves us all)」とする声明を発表しました。

 声明は冒頭で『健康の権利を守る者として、私たちはジョージ・フロイドさん、アマード・アーベリーさん、ブレオナ・テイラーさん、および数えきれないほど多くの人たちの殺害に対する世界的な非難に加わり、その要因となった社会的な人種差別構造を糾弾します』と述べています。

 ジョージ・フロイドさんは2020年5月25日に米ミネソタ州ミネアポリス近郊で警察官に手錠をかけられ、頸部を膝で強く抑え込まれ、亡くなっています。呼吸ができないと訴えても警察官はその訴えを聞き入れようともしない映像がSNSで流され、全米、そして世界中に抗議が広がりました。

 アマード・アーベリーさんは2020年2月23日、米ジョージア州ブランズウィックの路上で、ジョギング中にトラックに乗っていた親子から銃で撃たれ死亡しました。

 ブレオナ・テイラーさんは2020年3月13日、米ケンタッキー州ルイビルの自宅で、恋人と就寝中に踏み込んできた警察官3人から銃で撃たれ、死亡しています。

 IASがこの声明を公式サイトに投稿したのは6月5日です。奇しくも39年前に米疾病管理予防センター(CDC)の死亡疾病週報(MMWR)にエイズの最初の公式症例報告が掲載された日です。HIV/エイズパンデミック(世界的流行)はいまなお続いています。声明は短いものですが、IASとしても黙っているわけにはいかないということでしょうね。

 なかなか訳しにくい書きぶりだったので、正確に文意伝えられるかどうか自信がありませんが、要旨を日本語仮訳で紹介します。あくまで参考です。声明自体が短いものなので、ぜひ原文をIASサイトでご確認ください。こちらですね。

www.iasociety.org

 

国際エイズ学会(IAS)声明:人種差別終結は私たちすべての使命(要旨)

 2020.6.5 3:14PM 国際エイズ学会投稿

 

 健康の権利を守る者として、私たちはジョージ・フロイドさん、アマード・アーベリーさん、ブレオナ・テイラーさん、および数えきれないほど多くの人たちの殺害に対する世界的な非難に加わり、その要因となった社会的な人種差別構造を糾弾します。

 今週は根深い社会的病理に対する怒りと絶望感が渦巻きました。社会のすべてのレベルでことの重大性を認識し、断固として立ち向かわない限り、黒人層はこうした無法に甘んじ続けることになります。

 世界のどこで起きても、人種差別は公衆衛生に対する最大の脅威の一つであり、エイズ終結を妨げる主要因だとIASは考えています。

 スティグマと差別は世界の健康格差を広げ、ケアや効果的な治療、健康に生きるための情報を得られる人と得られない人を選別することになります。

 人種差別に直面し、その現実を変えようとする人たちとIASは連帯します。人種差別、スティグマ、差別と対峙し、どこであれ格差があればその解消に尽くします。