『多様性の中の一人一人』 エイズと社会ウェブ版425

 記録的な大雨となった台風19号は各地に甚大な被害をもたらしています。被災された方には心からお見舞い申し上げます。
 現代性教育研究ジャーナルの2019年10月号が発行されました。連載コラム『多様な性の行方』第30回は13ページに掲載されています。
 タイトルは『多様性の中の一人一人』です。 
 

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 『地上から美術館地下1階にあるロビー入口前の広場へ。炎天下の屋外エスカレーターでしずしずと下りる間は、グリルの中でじっくり焼きあげられるローストチキンの心境になる』
 この時期に真夏の話ですいません。でも大切なテーマなので、少し時間が経過したとしても伝えておきたい。

 東京・上野の東京都美術館ではは8月16日から20日まで、TURNフェス5『Pathways 身のゆくみち』という催しが開かれ、そのプログラムの一つとして、おそらくこの夏の猛暑の中でも最も暑い日の一つだった17日午後、『The のど自慢 YES ! FUTURE ―性について語ろう―』が開催されました。
 『プログラムを企画し、司会も務めたマダム・ボンジュール・ジャンジは、様々な扮装で登場するドラァグクィーンのパフォーマンスアーティストであり、新宿二丁目のコミュニティセンターaktaで性的少数者の支援やHIV/エイズ性感染症の予防啓発に取り組んでいる』
 その重要な活動の一つであるLiving Together のど自慢は、HIV陽性者の手記の朗読とカラオケのど自慢を合体させた不思議なイベントです。もう50回以上も続けられ、私も一度、出演したことがあります。
 『名乗り出ることのできない HIV 陽性者の思いを第三者に伝える。その行為とカラオケの落差が、喧騒の中の粛然ともいうべき雰囲気を生み出す』
 ・・・調子に乗って自分の書いた感想の引用を続けていると、誰もコラムを読まなくなってしまいますね。東京都美術館のTheのど自慢は、そこからのスピンオフ企画といいますか、性についての語りとカラオケを合体させたイベントです。
 具体的にどのような方が登壇し、どんなお話と歌の空間があったのか。コラムにはその一端しか伝えきれていませんが、それでもぜひお読みください。
 『最後にジャンジさんは「多様性の中の一人一人は本当に一人一人」と語った。その通りだと思う』
 おじさんは1人で勝手に納得しながら冷房の効いた会場を後にし、再びローストチキンになりながら灼熱のああ上野駅に向かったのでありました。