さすがは西内さん 人口推計記者会見リポート

 世界人口推計2019については、国立社会保障・人口問題研究所の林玲子・国際関係部長が79日、日本記者クラブで記者会見を行いました。日本記者クラブの公式サイトには、会見の動画とともに、共同通信論説委員の西内正彦さんによる会見リポートが掲載されています。

『世界人口、サハラ以南中心に増加続くが、2100年に110億で頭打ち』

 

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  西内さんは人口問題をライフワークとする著名なジャーナリストです。私が面識を得たのは、もう10年以上も前でしたか。開発や保健分野のNGOと外務省との懇談会でNGO側のメンバーだったからです。

西内さんはジャーナリストの大先輩であり、当時、共同通信をすでに退いてNPO法人205020173月に解散)などで活躍されていました。

私の方はまだ、現職の記者だったのですが、エイズ対策の取材を続けていたので、九州・沖縄サミットが開かれた当時の外務省担当課長から「お前もちょっとは勉強しろ」と勧められ、懇談会の末席に連なるようになりました。

人口問題とエイズ対策には共通する課題が多く、西内さんにはご教示をいただくことも多いのですが、この会見リポートはさすがですね。一定の字数制限もある中で、必要なことが過不足なく取り上げられています。

1987711日、当時のユーゴスラビアで男の赤ちゃんが生まれた。国連は「50億人目」と認定、事務総長が現地へ出向いて祝福。1989年に、世界の人口問題に関心を深めてもらうため、この日を「世界人口デー」と定めた》

専門分野の方には常識に類するようなことかもしれませんが、私のように付け焼刃の知識で生きている人間には、書き出しでこうした基本から説明していただくと非常に助かります。最初の世界エイズデー1988121日。そして、世界人口デーがそのほぼ半年後の1989711。新たな発見というほどではありませんが、こんなところにも課題の近接性といったものをついつい感じてしまいます。

「世界人口は1960年代、70年代に、爆発的に増えた。これが地球規模課題だった。国連人口基金UNFPA)はそのころ出来た。世界全体で家族計画への取り組みが行われた。その後、女性の教育水準が上がり、出生率が下がって、増加率は1%程度になっているが、2100年ごろはゼロになるという推計。人口爆発の危機は回避できたが、まだ人口は増えている」

「」の中は、林さんの会見からの引用。西内さんはそれに続いて次のように書いています。

《今後、世界のどの地域でも65歳以上の人口割合が高まり、平均寿命も延びる。特に速いスピードで高齢化を経験してきた日本の経験をどう生かすかが課題とし、人口研究所にアジア、アフリカ諸国から日本の経験を学びたいという要望が多いことを紹介した》

なるほど、内容をぎゅっと凝縮し、こうやってまとめるのかと改めて感心します。実は私も会見の翌日、当ブログで腰の引けた傍聴記を掲載してありますが、西内レポートの方がはるかによく分かりますね。会見に出た人も、出なかった人も、ぜひお読みください。