梅雨はまだ わっしょいわっしょい 夏神輿

 アジサイはもうあちらこちらで咲いていますが、梅雨入りはもう少し先でしょうか。初夏の風の中、鎌倉の6月は祭りで明けました。

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 六地蔵の複雑な交差点の角にある由比ガ浜公会堂前です。大小三基の神輿が並び、テントの両脇に葛原岡神社の提灯。ああ、懐かしいなあ。豊かだったとはいえない戦後の復興期に東京は神田で生まれたおじさんの場合、お神輿を見ただけで懐かしさにたちまち涙が浮かんできちゃうのね。神田明神のお祭りは五月だったけれど、鎌倉はこれからですね。
 お神輿がざぶざぶと海の中を進んだり、提灯を掲げた夜神輿がずらりと並んだり・・・それぞれに特徴のあるお祭りがこれから続きますが、由比ガ浜のお神輿は、わりとオーソドックスです。おっ? 窓の外から、聞こえてくるのは、わっしょいわっしょいの掛け声ではないか。いいねえ、祭りはこれじゃなければ、と勝手に思う。美空ひばりさんだって歌っていたでしょう。
 葛原岡神社は、由比ガ浜地区からはかなり北に離れた源氏山公園の隣にあり、『後醍醐天皇を助けて、鎌倉幕府を倒そうとした公家の一人』(かまくら子供風土記)である日野俊基を祀っています。計画が発覚して葛原岡で処刑された悲運の忠臣ですね。
 離れてはいますが、この葛原岡神社が由比ガ浜地区の鎮守なので、6月の頭には町にお神輿と山車が繰り出します。今年は6月1日(土)宵宮祭、2日(日)由比ガ浜地区神輿祭、そして3日(月)が神社で神前祭・墓前祭のラインアップですね。
 鎌倉は処刑、暗殺、謀反、裏切り、滅亡といった悲しい歴史がぎゅっと詰まった土地なのですが、その鎮魂の思いがひそかに受け継がれてきたせいでしょうか。観光で訪れる皆さんは「癒される」といいつつ、穏やかな笑顔で町を歩いています。