『シャノン・ヘイダー新事務局次長(プログラム担当)の任命を歓迎 UNAIDS』 エイズと社会ウェブ版370

1年近く空席になっていた国連合同エイズ計画(UNAIDS)のプログラム担当事務局次長兼国連事務局長補に米疾病管理予防センター(CDC)のHIV結核担当ディレクターのシャノン・ハイダー博士が任命されました。

昨年の米中間選挙では米下院議員にワシントンD.C.の選挙区から立候補を目指しましたが、民主党の候補者指名の段階で敗退しているようです。UNAIDSのプレスリリースでは2017年の選挙となっていますが、これは2018年の中間選挙でしょうね、きっと。

国連のアントニオ・グテレス事務総長が任命しているのは国連本部の事務次長補クラスの人事だからでしょうか。したがって、UNAIDSのプレスリリースは「任命を歓迎」となっています。自分のところの人事を歓迎してどうする・・・といった違和感はありますが、そんなものなのかな。

UNAIDSのプログラム担当の事務局次長は、前任者がセクハラの疑いをかけられ、昨年3月に任期切れとなった際、自ら再任を求めなかったという経緯があり、それ以来、空席になっていました。UNAIDSの中でもNo2あるいはNo3あたりの位置づけとなるポストなので、不在のままというのも不自然でしたが、それだけ内部が混乱していたのでしょうね。

すでにお伝えしていますが、ミシェル・シディベ事務局長はこのセクハラ疑惑への対応を批判され、さらに組織の私物化に対する第三者委員会の調査報告を受けて、任期より半年早く、今年6月末で退陣することを表明しています。

半年前倒しして辞めるから、そのかわりきちんと後継者を決め、何とか名誉ある撤退に持ち込みたいということでしょうね。

これに対し外部からは、半年も待っている余裕はない、事務局長の任命権者であるグテレス国連事務総長はシディベ氏を即時退任させたうえで後継人事の検討を急ぐべきだとする意見も出ていました。

ただし、この時期にプログラム担当局長を任命したということは、事務総長もシディベ氏には6月末まで在任してもらおうという意思を示したということでしょうね。

新しいプログラム担当の事務局次長は米国のCDCで国際的なHIV結核対策を統括している女性です。この人事が後継事務局長選びにどう影響するのか、しないのか。そのあたりをどなたか解説していただけるとありがたいのですが、いかがでしょうか。

以下、任命を歓迎するUNAIDSのプレスリリースの日本語仮訳です。

 

 

www.unaids.org

シャノン・ヘイダー新事務局次長(プログラム担当)の任命を歓迎 UNAIDS

 

ジュネーブ 2019.2.12 国連のアントニオ・グテレス事務総長はシャノン・ヘイダー氏を国連合同エイズ計画(UNAIDS)のプログラム担当事務局次長および国連事務次長補に任命した。

 「シャノンはエイズ結核分野のたぐいまれなリーダーであり、保健システムの改善にも豊富な経験を有しています」とUNAIDSのミシェル・シディベ事務局長はいう。「ワシントンD.C.からジンバブエまで、彼女はこの流行に対しコミュニティレベル、国レベル、世界レベルでどんな対策が必要なのかを理解しています。その視野と知識はUNAIDSおよび2030年のエイズ流行終結に極めて重要です」 

 ヘイダー博士は米疾病管理予防センター(CDC)でキャリアをスタートさせ、最近ではPEPFARの主要実行機関として45カ国に2000人のスタッフを擁するグローバルHIV結核部門のディレクターを務めていた。

 CDCに戻る前はフューチャーズグループ(現パリダム)の保健システムとソリューションセンターの副所長兼ディレクターだった。ワシントンD.C.ではHIV/エイズ、肝炎、STD結核対策上級副部長の任にあった。2017年には米議会選挙に立候補している。

 公衆衛生医として、ヘイダー博士のキャリアは研究、プログラム、政策部門に及んでいる。内科、小児科、感染症科の認定医でもある。ヘイダー博士は1999年にCDCに入って以来、アフリカ各地で勤務している。

 UNAIDS事務局次長としての任期は3月から。

 「プログラム担当の事務局次長代行を務めてきたティム・マルティノーにも感謝の言葉を贈りたい」とシディベ事務局長は語った。

 

 

 

UNAIDS welcomes Shannon Hader as new Deputy Executive Director of Programme

 

GENEVA, 12 February 2019—United Nations Secretary-General António Guterres has appointed Shannon Hader as the new Deputy Executive Director of Programme of the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS) and Assistant Secretary-General of the United Nations.

 Shannon is an exceptional leader in AIDS and TB—with extensive experience in improving systems for health,” said UNAIDS Executive Director Michel Sidibé. “From Washington DC to Zimbabwe she understands the epidemic and the response needed at the community, country and global levels—her vision and knowledge will be critical for UNAIDS and to ending AIDS by 2030.”

Dr Hader started her career at the US Centers for Disease Control and Prevention (CDC) and most recently served as the Director of the Division of Global HIV and TB, a key implementing agency of PEPFAR, with more than 2000 staff across 45 countries.

Prior to re-joining the CDC, she held the position of Vice President and Director for the Center for Health Systems and Solutions at the Futures Group (now Pallidum). She led the HIV response in the District of Columbia while serving as Senior Deputy Director, HIV/AIDS, Hepatitis, STD and TB Administration. And in 2017, she was a candidate for US Congress.

A public health physician, Dr Hader’s career has spanned the research, programme and policy spectrum. She is board certified in Internal Medicine, Paediatrics and Infectious Diseases. Dr Hader has worked in the response to HIV in a number of duty stations throughout Africa since she first joined the CDC in 1999.

Dr Hader will assume her new role in March 2019.

I wish to extend my sincere appreciation to Tim Martineau for serving UNAIDS as Acting Deputy Executive Director of Programme,” said Mr Sidibé.