さすがに困った UNFPAのカネム事務局長が資金援助求める エイズと社会ウェブ版367

 国連人口基金UNFPA)のナタリア・カネム事務局長が、123日、ニューヨークの国連本部で開催されたUNFPAの執行理事会で、深刻な資金不足に陥っている現状を訴え、各国に支援を呼びかけました。

 トランプ政権が2017年のトランプ政権発足以降、米国政府がUNFPAへの資金拠出を停止しているのが、現在の窮状の原因ということです。UNFPA東京事務所の公式サイトによると、カネム事務局長は『世界中の途上国で求められている家族計画や母子保健、特に緊急人道支援分野で十分な活動をするためにも、多くの国々のご協力が不可欠である』と訴えています。

 私は見逃してしまいましたが、このニュースは24日のNHKお昼のニュースで報じられたそうです。国連関係のニュースは国内ではあまり注目率が高いとは言えませんが、さすがにNHKの全国ニュースともなれば「ああ、やっていましたね」とご存知の方も多いかもしれません。 

www3.nhk.or.jp

 米国では1980年代のレーガン政権以降、共和党が政権につくと、人工中絶に関わる活動をしている海外の団体には、米国の国際援助資金を提供しないという政策をとっています。グローバルギャグルールと呼ばれている政策ですが、トランプ政権の場合、適用対象を広げた拡大版ギャグルールになっているので、さすがにUNFPAもやりくりが厳しくなったのではないでしょうか。

 NHKニュースによると、UNFPAは今年1年間に医療や食料などの緊急援助で1億3000万ドルが必要だということです。

ニュースの受け売りで恐縮ですが、日本政府はさっそく支援の姿勢を示しています。

《日本の川村泰久国連次席大使は、ことしは日本が、G20サミットやTICAD=アフリカ開発会議を主催すると説明したうえで、「誰もが保健医療サービスを受けられる制度の普及を通じて基金の支援に関与していく」と応じました》

G20サミットは628日(金)~29日(土)大阪、TICAD828日(水)~30日(金)横浜。そして9月にはラグビーW杯が開幕し、翌2020年はいよいよ東京オリンピックパラリンピックの年です。様々な面で、世界との緊密な連携のもとに日本という国も社会も成り立っているというごくごく当たり前の認識に照らして考えれば、こうしたニュースも海の向こうの誰かの話というわけではありませんね。