HIVと加齢 日本の場合は(追加) エイズと社会ウェブ版364(続き)

 追加情報です。

 統計的な分析はともかく、医療の現場ではすでに患者として診療に訪れるHIV陽性者の高齢化および加齢に伴う様々な症状への対応は、喫緊の課題になっています。

 API-Netを見ると、資料室の関連事業というページに公益財団法人エイズ予防財団のエイズ治療啓発普及事業として、平成28年度には国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターの田沼順子先生の報告書『高齢化社会HIV』、平成29年度は第31回日本エイズ学会学術集会・総会のシンポジウム講演録『HIV感染症Aging』が掲載されています。

 HIV陽性者の高齢化に伴う治療、ケア、社会的支援について具体的な実践例と今後の課題を指摘したレポートです。「お前はエイズ予防財団の理事なのに、そんなことも知らなかったのか」とお叱りを受けそうですね。すいません。リソースとして紹介させていただきます。こちらをご覧ください。

 

高齢化社会HIV

http://api-net.jfap.or.jp/library/alliedEnt/images/H28-jigyo.pdf

 

HIV感染症Aging』講演録

http://api-net.jfap.or.jp/library/alliedEnt/images/H29-jigyo.pdf

 

 社会的な対応としては、特定非営利活動法人パープル・ハンズもこの分野では先駆的な活動を続けています。 

purple-hands.net

 『ひとり暮らし、同性ふたり暮らし、トランスジェンダー、ゲイに多いHIV陽性などなど、さまざまな生きづらさをかかえる性的マイノリティの「安心できる暮らしと高齢期」をつくりだす活動を、社会の人びとと協力して進めています』

 

 昨年12月に開催された第32回日本エイズ学会学術集会・総会の公式サイトでは、そのパープル・ハンズの事務局長であり、著名な編集者でもある永易至文氏が学会のシンポジウム『HIV感染症Aging(臨床)』を傍聴し、学術集会の公式ブログに『医薬の発達でHIV陽性者の余命が平均寿命に近づく「祝福すべき」状況とともに、さまざまなセッションで、高齢化に伴う課題が深刻さを増していることが報告されている』と書いています。

ameblo.jp

 『ACCで患者数のピークは、2002年には20代であったが、いま(2017年)は40代であり、50代以上の患者は34%とのこと。じつに3人に1人は50代以上となった現実に、かつての「エイズは若い人を蝕む病」のイメージは完全に消えた観がある』

 ACCの照屋勝治医師、北海道医療センターの上村恵一医師の発表を取り上げたこのブログ報告も必読です。