『#PEPFAR15:アメリカ人の寛容とパートナーシップが多くの人の生命を救った15年』 エイズと社会ウェブ版322

米国の国際的HIV/エイズ政策の基本となる米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)が発足から15周年を迎え、米国務省のサイトにデボラ・バークス大使(グローバル・エイズ調整官)が『#PEPFAR15:アメリカ人の寛容とパートナーシップが多くの人の生命を救った15年』という文章を掲載しています(下の方の◇から後はその日本語仮訳です、参考までに)。

 英文はこちらでご覧ください。blogs.state.gov

 

 PEPFARは世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)と並んで、この15年、世界のHIV/エイズ対策が目覚ましい成果をあげる原動力となってきました。

 PEPFARの起点は『ジョージ・Wブッシュ大統領2003128日、一般教書演説で「アフリカの人たちを助けるために現在の国際支援を大きく超えた慈悲の心を示さなければならない」』と述べたことであり、米議会は『この歴史的な発表から4カ月もたたないうちに、PEPFARを承認する超党派の法案を可決』しています。

3政権にわたり、超党派の議会による強い支持のもとでPEPFAR15周年(#PEPFAR15)を迎え、米国政府は何百万という人の命を救い、生活の質を改善しただけでなく、危機の状態から制御に向けてHIV/エイズ対策の在り方を大きく変えてきました』

これはまあ、その通りだと思います。でも、こちらはどうなんでしょうか。

『私たちはワクチンも完治療法もなく、パンデミックを制御する機会を迎え、HIVの実質的な排除または根絶するための基礎を築こうとしているのです』

抗レトロウイルス療法だけで、ワクチンもなしにエイズ流行を「公衆衛生上の脅威としての」という条件付きでも、終結に導くということは困難なのではないでしょうか。流行の制御には、治療の普及も、ワクチン開発もどちらも必要なのではないでしょうか。もちろん、そうした医学上の進歩を支え、また逆にその進歩に力を得ていくための、社会的な支援の充実も不可欠です。そんなことは百も承知で書いていらっしゃるのではないかと拝察しますが、政治の言葉は何かを強調するためには無茶ぶりも辞さないということなんでしょうね。

何かと気苦労も多いであろう政治環境の中で、バークス大使も1年、何とか持ちこたえました。個人的にはそれだけでもすごいと思います。

 

     ◇

 

#PEPFAR15:アメリカ人の寛容とパートナーシップが多くの人の生命を救った15

  201826日、デボラ・バークス

 

 ドナルド・トランプ大統領のリーダーシップのもとで、そしてアメリカの人たちの広い心のおかげで、HIVの流行に最も深刻な影響を受けてきた13カ国が現在、2020年に流行の制御が可能なところに到達しつつあります。レックス・ティラーソン国務長官が発表した米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)のHIV/エイズ流行制御推進戦略(2017-2020)で概要を示したように、こうした成果の積み重ねによってPEPFARが支援する50カ国以上の流行を制御するロードマップが生み出されていくのです。

 15年前には、HIV感染の診断は多くの国で死の宣告に等しいものであり、家族やコミュニティ全体が病に落ちたのも同然でした。グローバルヘルスと開発分野の成果も失われてしまうのです。最も深刻な打撃を受けているサハラ以南のアフリカ地域では、新生児死亡が2倍、子供の死亡は3倍も増加し、平均余命は20年も短くなりました。南部アフリカのいくつかの国では、成人の3分の1HIVに感染し、何百万という子供たちが親を失って遺児となりました。

 このようなおびただしいた死と惨状を目の当たりにして、米国政府は決然と対応しました。ジョージ・Wブッシュ大統領2003128日、一般教書演説で「アフリカの人たちを助けるために現在の国際支援を大きく超えた慈悲の心を示さなければならない」と述べ、米国の思いやりと希望に向けた姿勢を示しました。それがすなわちPEPFARです。米国議会も素早く対応し、この歴史的な発表から4カ月もたたないうちに、PEPFARを承認する超党派の法案を可決したのです。

 3政権にわたり、超党派の議会による強い支持のもとでPEPFAR15周年(#PEPFAR15)を迎え、米国政府は何百万という人の命を救い、生活の質を改善しただけでなく、危機の状態から制御に向けてHIV/エイズ対策の在り方を大きく変えてきました。死と絶望から希望と生に大きく取って代わっているのです。私たちが単独で実現したわけではありません。他国政府や民間企業、慈善団体、国際機関、市民社会、宗教関連団体、HIV陽性者その他の多くの人たちとの緊密な協力により実現できたのです。

 PEPFARが始まった当時、アフリカで生命を救う治療を受けられる人は5万人にとどまっていました。現在は世界で1330万人がPEPFARの支援で治療を受けています。HIV陽性のお母さんから生まれた220万人以上の赤ちゃんがPEPFARによりHIVに感染することを免れました。そしてHIVで親を失った子供、弱い立場に置かれている子供、およびその世話をしている人たちに対する支援提供は640万人を超えています。

 PEPFARの投資は透明性が高く、責任ある説明ができ、費用対効果の高いことがこうした成果に反映されています。アメリカ人が持つ大きな思いやりの心を具現化しているのです。米国の二国間援助資金は、世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)や対象国自身の資金ともあわせて活用されています。米国政府はグローバルファンドの最大のドナーでもあるのです。

 PEPFARが米国による最も効果的、効率的な海外援助プログラムの一つとして広く認められていることを私たちは誇りに思っています。最新のデータと科学を活用することで、託されたお金の1ドル1ドルが最大の効果を得られるように努めていきます。また、最も流行が大きく、必要性の高いところに力を注ぐことで、流行終結を早めるだけでなく、HIV/エイズ対策の持続に必要な将来的な費用も削減することもできるのです。

 #PEPFAR15の機会に、しっかりと将来を見据え、かつて不可能なことを可能にしていきます。近代史上初めて、私たちはワクチンも完治療法もなく、パンデミックを制御する機会を迎え、HIVの実質的な排除または根絶するための基礎を築こうとしているのです。アメリカの人たち、そしてアメリカのリーダーシップのおかげで、世界はかつてなく公衆衛生上の脅威としてのエイズ終結に近づいています。