ロヒンギャ難民への医療支援 日本記者クラブ会見から

 政界大激震といいますか、昨日はいろいろなニュースが錯綜し、今日もまた、「えっ、どうなってるの?」といいたくなるような情報が飛び交いそうな雲行きです。窓の外は雨があがって、日が差してきましたが、こういうときに「希望」などという言葉を不用意に使えないご時世になっています。

 日本記者クラブも大忙しの秋の陣になりました。一介の個人会員である私にも、緊急で「司会をお願いします」という連絡が入ってくるぐらいですから大変さがしのばれます。

 世の中は、一つのニュースに関心が集まれば、他の様々な難問、課題はお休みして待ってくれている・・・というわけではもちろんありません。

・・・ということで、昨日は午後2時からロヒンギャ難民の医療支援に関する記者会見の司会をお引き受けしました。会見されたのはバングラディシュ、ミャンマー国境地帯で医療支援のための現地調査にあたり、26日に帰国されたばかりの日赤支援団先遣隊のお二人です。

横江正道・名古屋第二赤十字病院総合内科部長兼国際医療救援部副部長

矢野佐知子・大阪赤十字病院麻酔科・集中治療部看護係長

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1時間余りの記者会見の様子は日本記者クラブの上記サイトからYou tubeによる会見動画を観ることもできるので、そちらをご覧いただいた方がいいですね。

www.jnpc.or.jp

 

 

ここで大急ぎで付け加えておきますが、国際赤十字・赤新月社連盟では「ロヒンギャ」という呼称を使っていません。「政治的・民族的背景および非難されている方々の多様性に配慮し」というのがその理由だそうです。保健医療支援の場で、活動の妨げになるような摩擦や軋轢が生じるのを避けたいということでしょうね。

ただし、他の人および機関が「ロヒンギャ」という名称を使用することは妨げないということなので、会見でも、お二人は「バングラディシュ南部避難民救援」でしたが、司会者はマスメディアや他の国際機関などで広く使用されている「ロヒンギャ」を使うというやや変則的なかたちになりました。

日赤の医療チーム派遣は、急激な避難民増加に対応するための国際赤十字の緊急アピールに対応したもので、先遣隊に続き(部分的に日程が重複するかたちで)現在は本隊の第一班が現地で巡回診療活動を続けています。日本赤十字社のプレスリリースも参考にしてください。

www.jrc.or.jp

 

会見をされたお二人は、自然災害における医療支援活動の経験も豊富な方ですが、自然災害と今回の難民支援との相違点として「昨日見たことと、今日見ることが、まったくちがうということがありうる」と語っておられたのが私には印象的でした。サービスの提供を必要とする人の数が急激かつ現在進行形で増え、そのために必要なニーズも日に日に変わっていくということです。

医療に加え、あるいは医療の一環として、心のケアへの対応の必要性が極めて高いという指摘も大切だと思います。

ロヒンギャ難民危機についてはUNHCR駐日事務所の公式サイトでも新しい情報を得ることができます。

高等弁務官がバングラデシュを視察 - Japan — UNHCR Japan