『政治を抜きにした科学は影響力を持てず、科学を無視した政治には危険が伴う』 エイズと社会ウェブ版286

 北海道釧路市で息の長いHIV/エイズ対策の講演・啓発活動を展開しているイルファー釧路の宮城島拓人代表(釧路労災病院副院長)が、公式サイトのブログ『代表徒然草』で、ピーター・ピオット著『NO TIME TO LOSE エボラとエイズと国際政治』(慶應義塾大学出版会)を取り上げてくださいました。

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 樽井正義・慶応義塾大学名誉教授、元NHK国際放送キャスターの大村朋子さん、そして私の3人がかりで翻訳した大著です。ピオット博士はエボラウイルスの発見者の一人であり、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の初代事務局長も務めた著名な研究者ですが、その回想録は波乱万丈のストーリーでもあります。

 今年6月、北海道の道東エイズ拠点病院等連絡協議会・研修会に講師としてお招きいただいた際に、よかったら皆さんで読んでくださいと一冊、お渡ししていたのですが、まず代表が読んでくださったのですね。お忙しい中をありがとうございます。訳者の一人として、ピーターになりかわりまして、お礼を申し上げます。

 そのコラムの中で宮城島先生は、『政治を抜きにした科学は影響力を持てず、科学を無視した政治には危険が伴う』というピオット博士の言葉を引用し、次のように指摘しています。

HIV/エイズは単に感染症という問題にとどまらず、大きな社会現象を生み出しました。エイズが私達に様々なことを教えてくれたのです』

 僭越ながら訳者としても、我が意を得たり、であります。

 宮城島先生ご自身も、ケニアHIV/エイズ対策の最前線に立つ稲田頼太郎博士のもとを毎年のように訪れ、医療キャンプで活動されています。アフリカにおけるピオット博士の体験には、時期こそ違え共有できる部分がたくさんあるのでしょうね。秋には稲田先生も一時帰国されるようです。東京で開かれる第31回日本エイズ学会学術集会・総会あたりで、お二人と再会できるのではないかと私もひそかに楽しみにしております。

 『是非、ご一読ください。我々はどうやって生きるべきか、人生の指南書としても最適な作品です』

 重ねてありがとうございます。皆さんもぜひ。