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トランプ予算案に強い危機感 国際エイズ学会(IAS)

 トランプ政権の発足で、米国はどう変わるか。少なくとも国際保健の分野では、かなり困った事態が進行しつつあるようです。国際エイズ学会(IAS)もともと科学の側に立つ組織なので、言わずもがなの感もなくはないのですが、科学擁護論の特集ページを設け、三人の研究者の話を聞いています。大統領の第一次予算提案で、国立衛生研究所(NIH)の予算の大幅削減が示されているからです。やむにやまれる気持ちからの特集でしょうね。

 その前文の日本語仮訳です。

《今日では、HIV完治や予防ワクチン、長期持続型の抗レトロウイルス薬などの開発の可能性を含め、HIVとの闘いの歴史的な成果をほぼ手中に収めようとするところまでこぎ着けている。それなのに米大統領の第一次予算提案(2018年度大統領予算案骨子)はそのために必要な医科学研究予算を大幅に削ろうとしているのだ》

 IASによると、NIH予算は《フォガティ国際センターの廃止を含むNIH予算の18%削減》が提案されているということです。フォガティ国際センターは外国人研究者が研究を進められるように支援を行っているセンターのようです。私はよくしらないのですが、NIHで研究生活を送った方なら詳しいかもしれませんね。

 3人の研究者の発言は、IASサイトでご覧下さい。英文です。余裕がなくてすいません。短い前文を訳すのが精一杯でした。

 

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科学の側に立つ

http://www.iasociety.org/IASONEVOICE/Standing-up-for-science

 米国の支援と投資は、保健分野における最も画期的であり、世界の歴史にも残る成果を担ってきた。国立衛生研究所(NIH)は、抗レトロウイルス治療や曝露前予防抗レトロウイルス薬など、極めて効果の高い治療法を生み出し、死に至る感染症を慢性の管理可能な疾病へと変えてきた。米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)と世界エイズ結核マラリア対策基金(グローバルファンド)を通じてその医学的成果を実用化することで、何百万という人の命が救われたのだ。いくつかの国では、その成果によりHIVの母子感染を排除することにも成功している。米国はこうした信じがたい成果により、人々の健康を守るための意欲的で創造性豊かなアプローチを推進する世界のリーダーとして認められ、尊敬を集め、称賛されてきた。

 今日では、HIV完治や予防ワクチン、長期持続型の抗レトロウイルス薬などの開発の可能性を含め、HIVとの闘いの歴史的な成果をほぼ手中に収めようとするところまでこぎ着けている。それなのに米大統領の第一次予算提案(2018年度大統領予算案骨子)はそのために必要な医科学研究予算を大幅に削ろうとしているのだ。撤退している場合ではない。加速の時なのだ。研究にさらに進め、科学的な発見を積み上げ、同時にその成果を最も必要としている人たちに届けられるようなシステムの基盤と協力体制を気づいていかなければならない。

 私たちがいままさに直面している保健課第に挑み、多くの人の生命を救うために必要なツールを生み出していくには、NIHが複数年の研究資金を確保できるようにしなければならない。フォガティ国際センターの廃止を含むNIH予算の18%削減提案は、新たな研究助成の道を阻み、重要な研究成果をもたらす努力を損なうことになる。フォガティセンターの廃止で浮かせる予算はわずかなものだ。NIH予算の0.1%に過ぎない。だが、それは恐ろしい結果を招くことになる。極めて重要な研究の担い手となる新しい世代の研究者を世界が失うことになるのだ。

 米国の予算削減の影響の大きさを理解していただくために、IASメンバーである3人の主導的な医科学研究者から話を聞いた。以下にご紹介しよう・・・。

 

 

 

Standing up for science

 

The support and investment of the United States has been responsible for some of the most groundbreaking and historic health milestones in the world. The National Institutes of Health (NIH) has led to highly effective treatments, such as of life-saving antiretroviral therapy and pre-exposure antiretroviral prophylaxis, turning a fatal infection into a chronic, manageable one in many places. Millions of lives have been saved by implementing those scientific advances through the US President's Emergency Plan for AIDS Relief (PEPFAR) and The Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria, including the elimination of mother-to-child HIV transmission in several countries. These incredible achievements have positioned the US as a global leader in aspirational and innovative approaches to human health, garnering respect and gratitude from the world.

 

Today, potentially historic gains against HIV are within our grasp, including the possibilities of an HIV cure, a preventive vaccine and long-acting antiretroviral regimens. Yet, the US President’s first budget proposal threatens to slash support for the necessary life-saving scientific research that would get us there. This is not the time to pull back, but to put our foot on the gas to advance research and scientific discovery, as well as the delivery platforms, systems, and partnerships to make the research meaningful to reach the people who need it.

 

To generate the tools we need to save lives and tackle the health issues we face today, the NIH needs to be secure in its funding to make new commitments for multi-year research grants. The proposed 18% cut to the NIH budget – which includes the elimination of the NIH’s Fogarty International Center – would prevent the awarding of new grants and cripple important research endeavours. The budget savings from elimination of the Fogarty Center will be minimal – representing only 0.1% of the NIH budget – but the costs will be staggering, depriving the world of new generations of researchers who would undertake studies of vital importance.

 

To better understand the full ripple effects from the US funding cuts, we talked to three IAS Members and leading scientific researchers. Here is what they had to say…