『ウイルス量が検出限界以下のHIV陽性者からのHIV性感染のリスク』 コンセンサス声明

米国のU=Uキャンペーンなどが発表している『ウイルス量が検出限界以下のHIV陽性者からのHIV性感染のリスク』というコンセンサス声明の日本語仮訳です。

 翻訳リクエストもいただいているので、取り急ぎ声明部分および冒頭の基本メッセージだけ紹介します。専門家のコメントがその後にどっさりあるので、そちらは作業が進み次第、追加し、後ほど整理したかたちで掲載しなおしますのでよろしく。

 

コンセンサス声明  賛同者更新2017.2.3現在

 https://www.preventionaccess.org/consensus

 

ウイルス量が検出限界以下のHIV陽性者からのHIV性感染のリスク

     基本メッセージとコンセンサス声明

  #UequalsU   #FactsNotFear  #ScienceNotStigma 

  賛同者更新2017.2.3現在

 

ウイルス量が検出限界以下のHIV陽性者からのHIV性感染のリスク

     基本メッセージとコンセンサス声明

 

 抗レトロウイルス治療(ART)を受け、血液中のウイルス量が6カ月以上、検出限界以下となっているHIV陽性者(PLHIV)からのHIV感染のリスクは、存在しないと見なせることはすでにビデンスに基づいて確認されています。検出可能なレベルでもHIVは常に感染するわけではないとはいえ、HIV陽性のパートナーのウイルス量が検出限界以下であれば、本人の健康を守ると同時に新たなHIV感染を防ぐことにもなります。[i]

 しかし、PLHIV、医療提供者、そしてHIVに感染する潜在的リスクのある人たちの多くは、治療の成功がHIV感染の予防に与える効果の大きさについて十分に認識できていません。 [ii]  HIV感染のリスクに関するメッセージの多くは、時代遅れの研究に基づき、組織と資金確保上の制約や永続的なセックス否定の政策、HIV関連のスティグマと差別の影響を受けているのです。

 ウイルス量が検出限界以下となったHIV陽性者からのHIV感染リスクに関する以下のコンセンサス声明は、この課題の検証に当たった主要な研究の各主任研究者から支持を得ています。HIV陽性者とその親しいパートナー、医療提供者にとって、ARTがうまくいっている人たちからのHIV性感染のリスクに関する正確な情報を得ることは重要です。

 同時に、HIV陽性者の多くが、治療のアクセスを制限する様々な要因(たとえば、不適切な保健医療システム、貧困、人種差別、拒否感情、スティグマ、差別、犯罪化)や先行するARTの治療による耐性ウイルス、ARTの毒性などにより、検出限界以下のHIV量に達しているわけではないということも認識する必要があります。治療しないことを選ぶ人もいるでしょうし、治療開始の用意ができていない人もいます。

 

 ARTの成功で感染が防げることを理解すれば、HIVに関連するスティグマを減らし、HIV陽性者が有効な治療を開始し、継続することを助けることにもなります。

 

 以下の声明は、以下の個人および組織から支持されています(訳注:個人、団体名は略。英文サイトをご覧下さい)

 

ARTを受け血液中のウイルス量が検出限界以下となっているHIV陽性者からの性感染のリスクは、無視できるレベルとなっています。使用する医薬品によっても異なりますが、少なくとも6カ月間、治療を続ければ、ウイルス量は検出限界以下になるでしょう。HIV量を継続して信頼できる状態で抑制していくには、適切な治療薬を選び、治療をきちんと継続できるようにしていく必要があります。HIV量が抑えられているかどうかは、個人の健康を維持するためにも、公衆衛生上の利益をもたらすためにも、モニターしていく必要があります。

 注: 性パートナーへのHIV感染を防ぐには、HIV量は検出限界以下に抑える必要があります。コンドームもHIV感染の予防を助けるとともに他の性感染症(STIs)と妊娠を防ぐ助けになります。どのようなHIV予防の手段を選択するのかは、それぞれの人の性行為やその状況、関係によって異なるでしょう。たとえば、複数の相手とセックスをする人、一夫一婦ではない関係の人の場合、他の性感染症も予防するためコンドーム使用を考えることになるでしょう。

 

「NEGLIGIBLE(無視できる)」= 非常に小さい、あるいは考える必要がないほど重要性が低い;ほとんど意味のない。