たぶん今晩発表 UNAIDS最新報告書 エイズと社会ウェブ版256

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が本日(11月21日)、新たな報告書『Get on the Fast-Track: The life-cycle approach to HIV』(高速軌道に乗る:HIVに対するライフサイクル・アプローチ)を発表するそうです。日本時間だと夜になりそうですね。発表はナミビアで行われます。 

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www.unaids.org

『報告書には世界で抗レトロウイルス治療を受けている人の最新推定数、HIVが人の人生の各段階に及ぼす影響などが内容として含まれる。HIVサービスが人びとに届くようにすることがいまなお、大きな課題になっている地域があること、そしてその理由についても報告書は取り上げ、そうした課題を克服して生涯にわたるサービスへのアクセスを確保できるようにするための方法についても具体例をあげて詳しく報告する』 
 The report will contain the new global number of people on antiretroviral treatment and will examine how people are being affected by HIV at different stages of their lives. It will show where and why there are still major challenges in reaching people with HIV services and give detailed examples of how these challenges can be overcome to enable people to have continued access to services throughout their lives.

 ・・・ということです。日本の現状にどこまで当てはめて考えることができるのか。まだ、分かりませんが、期待して発表を待つことにしましょう。

 例年だと、世界エイズデー(12月1日)の直前に発表される報告書には、世界のHIV陽性者数や新規感染数などの最新の推計値も発表されるのだけど、そのことには触れていません。ということは、治療の普及で新規感染が劇的に減少しましたみたいな威勢のいい話には、引き続きなっていないということなのでしょうか。

 高速軌道というのは、UNAIDSが今後5年間の集中目標としている「90-90-90」の実現です。2020年までにこの高速対応が実現しなければ、持続可能な開発目標(SDGs)に掲げられている「公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行の2030年における終結」も期待はできない。これは今年6月の国連総会ハイレベル会合で国連加盟193カ国が確認した共通認識でもあります。

 念のためにもう一度おさらいしておきましょう。90-90-90目標は、HIVに感染している人の90%が検査でHIVの感染を確認し、そのうちの90%が必要な治療を受けられるようになり、さらにそのうちの90%が治療の継続により体内のHIV量を検出限界以下に抑える状態(つまり他の人にHIVが感染するリスクがほとんどなくなる状態)を実現させようという目標です。

 そのためには当然、検査の普及の努力を続け、HIVに感染しているかもしれない人が積極的に検査を受けられるようにする必要があります。

 でも、それだけではありません。HIV陽性者が手頃な価格で安心して治療を受けられる環境を整え、その結果、治療を生涯にわたって続けていけるような方策(つまりライフサイクル・アプローチ)が検査普及と同等かあるいはそれ以上に大切になります。

 また、人生の様々な時期における影響への対応ということになると、HIV陽性者にとっての影響だけでなく、HIVに感染していない人が受ける影響といったものにも予防の観点から言及されているかもしれません・・・などと、いまから報告書の内容をあれこれ憶測してみても始まりませんね。

 発表は今晩あるとして、プレスリリースぐらいは近日中に日本語仮訳を紹介できるかもしれません。報告書そのものは翻訳するとなると時間がかかりそうなので、私の力ではちょっと難しいかな・・・。