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上野の皆さん、おめでとう。鎌倉が引き出すべき教訓は、諦めないのひと言に尽きます 今度こそ遙かなる世界遺産3

  東京・上野の国立西洋美術館が17日、フランスの建築家ル・コルビュジエの作品群の一つとして世界遺産登録されることが決まりました。トルコのイスタンブールで開かれている世界遺産委員会では前日決定の段取りだったそうですが、トルコ軍によるクーデター騒ぎがあったため17日にずれ込みました。過去2回のチャレンジで登録が認められず、それでもわが町から世界遺産をと応援し続けた地元の人たちにとっては喜びもひとしおでしょうね おめでとうございます。

 ということで、鎌倉の世界遺産チャレンジに対する教訓なんですが、これはもう、諦めない!のひと言につきます。以前も書いたように、推薦書作成への理論構築は専門の担当者におまかせし、思う存分、構築してもらうよう期待しつつ、手を変え、品を変え、いろいろと楽しいことを考え出して「鎌倉を世界遺産に」というモチベーションを(いまは細々とではあっても)切らさない。下を向かない。なんとなくスポ根調の嫌いはありますが、これでいきましょう。

 今回、世界遺産登録が決定したル・コルビュジエの17建築作品は世界にまたがっています。フランス政府の主唱で7カ国が共同推薦し、大陸を超えた資産群がひとつの共通項のもと登録されるのは初めてのことだそうです。

 2009年と2011年の2度の推薦は認められず、3度目の正直となりました。ここで、2度あることは3度あるからなあ・・・などと弱気にならないのは、自らが正しいと信じて疑わないフランスという国家が中心軸になっていたからでしょうね、きっと。

  これは私の勝手な想像に過ぎませんが、落としても、落としても、推薦してくるので、専門家機関として世界遺産委員会に勧告を行ったイコモス(国際記念物遺跡会議)の担当者も、ひょっとして自分が間違えているのかもしれないとだんだん不安になってきたのではないでしょうか。いや、そんなことはないか・・・でも、ありそうですね・・・どっちやねん。

  建築家で鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会事務局長の福澤健次さんがFacebookで紹介されていたマイナビニュースというサイトには、「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員、本田陽子さんのインタビューが載っています。三度目の正直に関するくだりをちょっとだけ引用してみましょう。

 http://s.news.mynavi.jp/articles/2016/07/17/heritage/001.html

 《登録されなかった理由なのですが、最初の推薦はコルビュジエという天才建築家を前面に出した推薦内容で、「世界遺産は人に対して与えるものではない」と指摘されたんですね。次の推薦では「近代建築運動」への貢献を強調したんですが、「近代建築運動はル・コルビュジエだけが貢献したものではない」とされてしまいました》

 なるほど、ほとんど難癖というか、屁理屈というか。それでも一応、それらの指摘を踏まえて《今回は、作品それぞれがどのように近代建築運動に影響を与えたかを明示した推薦書にした》ということです。中身はほとんどかわっていなくても、屁理屈を逆手にとってもうひとつの理屈を組み立てればいい。この辺は鎌倉再チャレンジの実務にあたる方もしっかりと頭にたたき込んで理論構築作業を進めていただきたいと思います。

 「分かりました。そちらがそのつもりなら、こちらにも考えがありますよ」ぐらいのふてぶてしい態度も(心の中では)ある程度、必要でしょう。

 時間が経過してくると、そんな作業がだんだんあほらしく見えてくる時期もある(ひょっとするといまがそうなのかもしれませんね)。そんなときこそ応援団の出番です。「あほらしくても大事な作業です。鎌倉の将来、ひいては日本の文化の行く末がこの作業にかかっている・・・かどうかは分からないけど、イコモス専門家の一人や二人、煙に巻くこともできないでどうする」といった声の一つもかけられるように、応援にもある程度の知的関心は必要かな。