読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼちぼち再始動 今度こそ、遙かなる世界遺産 1

今度こそ遙かなる世界遺産

 「鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会」が6月29日(水)午前、鎌倉市扇ガ谷の鎌倉風致保存会で総会を開催しました。んっ!世界遺産登録って、鎌倉はダメだったんじゃないの? とお思いの方もいるかもしれませんね。最近の町の中の雰囲気からすると、確かにそう思われてもしょうがないのかなあと言わざるを得ない面もないこともないのですが、決してダメでも、終わったわけでもありません。これからです。
 英国が国民投票EU離脱を決めてしまったように、世界には「なんでこうなるの」と思うようなことが時々、起きます。思い起こせば3年前、鎌倉も不条理な事態に直面しました。世界遺産登録を申請していた「武家の古都・鎌倉」に対し、ユネスコ関連の専門家機関イコモスが2013年4月、「不記載が相当」(つまり世界遺産登録の必要なし)という報告をまとめ、発表したのです。
 このまま7月の世界遺産委員会の審議にかけ逆転を狙うのか、それともいったん申請を取り下げるか。鎌倉に関するイコモス報告は、4段階の評価のうち最低ランクをつけていました。ここからの逆転はかなり難しいだけでなく、そのまま不記載相当が確定してしまうと、鎌倉には二度と世界遺産登録のチャンスはなくなる。すっぱり諦めるという手ももちろんありますが、個人的には「それはないだろう」と思ったことをいまも憶えています。そう思った人が少なくなかったのでしょうね。鎌倉市も結果として申請を取り下げてもらうよう文化庁にお願いし、再チャレンジへの含みを残すことになりました。
 つまり、その時点(取り下げ時点)で再チャレンジするぞという意思表示が明確になったわけですが、それでも地元の落胆はあまりにも大きく、世界遺産登録に向けて《鎌倉の市民団体、宗教関連団体、商工関連団体、教育機関、行政などが一体となって》活動を進めていた鎌倉世界遺産登録推進協議会はほぼ半年後の2013年11月30日をもって活動休止となりました。実質的な解体と言っていいでしょう。
 「鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会」は、その推進協議会の参加団体の一つであり、2006年に推進協議会が発足する以前から世界遺産登録に取り組んできたグループです。個人で推進協議会の活動に加わりたいと考えている人にとっては、その窓口となる団体でもありました。
 私のように「会費はただ」といわれ、最近はやりのセコい動機からついふらふらと入ってしまったという極めて不熱心な会員も少しはいたのでしょうが、多くは長い年月にわたり世界遺産を目指して熱心に活動されてきた方々です。活動の期間が長かったということは、その分、年齢も高くなるということでもあります。もう一度、長い時間をかけて再チャレンジへの準備を進めることは、さすがに体力的にも厳しい。この苦難の時期(つまり2013年の秋ということですね)には、そう感じる方も多く、もう解散すべきではないかという声がかなり強くなりました。無理もないと思います。熱心に取り組んでこられた方ほど、その思いは強かったかもしれません。 
 私の場合、優柔不断の先送り体質と事なかれ主義で貫かれた日々を送ってきた割に、こういう時になるとついつい余分なひと言を差しはさみたくなるという困った性格がもろに災いし、「看板だけでも残しておいたら」といってしまったのが運の尽きといいますか、そのまま今日に至っております。
 おっと、愚痴ともぼやきともつかない前置きが長くなって申し訳ありません。ここで強調しておきたいのは、鎌倉の世界遺産登録への動きはまだ終わったわけではなく、不肖私が齢67にしてなお、若手といわれるほど(つまり、それ自体が世界遺産級)の組織ではありますが、諸先輩方の意気はますます軒昂であります。
 軒昂すぎて一人一人の発言がともすれば長引き、会議の予定時間を大幅にオーバーすることも、まれにちょくちょくありますが、そこは長い苦難の日々を思えば許される範囲の過剰でしょう。古都保存法制定のきっかけとなった鎌倉の御谷騒動あたりから説き起こす「未完の世界遺産登録推進活動史」がパノラマのように眼前に繰り広げられる議論は、ああ、そうだったのかと、大いに勉強ができて得した気分になる(・・・こともたまにはあります)。
 ということで、本日の総会では、この3年間の長い心理的停滞期間を脱し、「鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会」の活動も徐々に充実への軌道を目指そうということになりました。その手始めにという意味合いも少しかねて、総会開催に先立ち、本日は鎌倉市の担当職員の方にお出でいただき、世界遺産登録再チャレンジに向けた研究の中間報告である「出前講座」の開講をお願いしました。
 いまはあまり目立ちませんが、鎌倉市世界遺産登録再チャレンジに向けての動きも着々と進められています。担当職員のモチベーションは落ちてはいないということも確認でき、かなり心強いなあという印象も受けました。
 鎌倉の大きな課題の一つは、先ほどの不記載ショックもあり、地元が世界遺産登録に対し、いまひとつ盛り上がっていないことです。黙っていても観光で訪れる人ががんがん集まってくる町なので「なにもいまさら世界遺産登録でもないだろう」「いまのまんまで、いんじゃね?」といった雰囲気があることは否定できません。
 そうした現状を踏まえつつ、どのように再チャレンジへの関心を高めていくことができるのか。そのあたりが当面の課題であることも鑑み、「動かざること山のごとし」である私も、休眠状態になっていた当ブログの連載コラム『遙かなる世界遺産』改め『今度こそ、遙かなる世界遺産』を復活させることにしました。枯れ木も山の賑わいというか、まずは関連情報の流通量を増やすことですね。次回は鎌倉市出前講座聴講記、乞うご期待。